テラーノベル
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えー、本当は第一話で言っとくべきだたっんですけど、忘れてました(^^\)えへへ
この作品は絶望などをモチーフに作っているためで途中で感情移入したりして辛くなるかもしれませんが、全て自己責任でお願いします。
それでは、幻想的な世界へいってらっしゃいませ
第2章・第1話:堕ちた英雄
雨が、すべてを洗い流そうとするかのように激しく叩きつけている。
東京の喧騒は、雨音にかき消されていた。だが、街中の至る所に設置されたデジタルサイネージだけは、どぎつい光を放ちながら「そのニュース」を繰り返し流し続けている。
『……繰り返します。かつて「喰い狩り」の英雄と呼ばれた瀬戸レン(せと・れん)容疑者は、依然として逃走を続けています。当局によりますと、彼は保護対象であった一般人の魂をあろうことか「魂喰い」に横流ししていた疑いがあり――』
街頭モニターに映し出される、疲れ果てた男の顔。
一ヶ月前まで、その顔は「聖者」として、あるいは「最強の盾」として、日本中で称賛されていた。
瀬戸レン。
「喰い狩り」の中でも、戦うことよりも「守ること」に特化した数少ない能力者。彼に命を救われた市民は数知れない。
だが、今やその名は、この国で最も忌み嫌われる「裏切り者」の代名詞となっていた。
「……はは、笑わせるなよ」
路地裏の、悪臭が漂うゴミ溜めの影。
レンは泥水にまみれた背中をコンクリートの壁に預け、乾いた笑いを漏らした。
頬には深い切り傷があり、右腕は力なく垂れ下がっている。かつて誇りを持って身に纏っていた「喰い狩り」の制服は、今や見る影もなくボロボロに引き裂かれていた。
真実は、ニュースが伝えるものとは正反対だった。
レンは、自分が所属していた組織「喰い狩り」の上層部が、活動資金と名声を得るために、人為的に「魂喰い」を市街地へ放流している決定的な証拠を掴んでしまったのだ。
彼はそれを告発しようとした。だが、組織の根はあまりに深く、権力はあまりに強大だった。
一夜にして、彼は「英雄」から「大罪人」へと仕立て上げられた。
信頼していた仲間たちは一斉に刃を向け、かつて命懸けで守った市民たちは、彼に向かって石を投げた。
そして何より彼を打ちのめしたのは、唯一の肉親である妹、結衣(ゆい)の瞳に宿った絶望と軽蔑の色だった。
『お兄ちゃんが、そんなことするはずないって思いたかった……。でも、もう信じられないよ!』
妹の泣き叫ぶ声が、雨音に混じって脳裏にリフレインする。
彼女は今、周囲から「犯罪者の身内」として執拗なバッシングを受けているはずだ。自分が正義を貫こうとしたせいで、最も守りたかったはずの妹を地獄へ突き落としてしまった。
「……もう、どうでもいい。全部、消えてしまえばいいんだ」
レンは立ち上がった。
足元がふらつき、視界が歪む。
失血のせいか、あるいは心が壊れてしまったせいか。
雨に打たれながら歩く彼の背中は、もはや死人のように生気がなかった。
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彼が向かったのは、以前に自分が「魂喰い」から人々を救った場所――大きな公園の川にかかる橋の上だった。
そこから濁流を見つめる。
(ここから飛び降りれば、少しは楽になれるか……?)
だが、その時。
彼を取り巻く雨の音が、ふっと消えた。
いや、音だけではない。重力も、温度も、湿った風の匂いすらも。
「……なんだ、これ」
レンが顔を上げると、そこにはもう公園の景色はなかった。
足元には、どこまでも続く平坦な漆黒。
空もなければ地平線もない、完全な無の世界。
その闇の奥から、ぼうっとした紫の灯火が揺らめいているのが見えた。
レンは吸い寄せられるように、その光へと歩を進めた。
しばらく歩くと、闇の中に一軒の洋館が浮かび上がった。
黒い木造の壁に、毒々しくも美しい紫のアクセント。
入り口には、古びた真鍮の看板が掲げられている。
――『ソウル・グランデ』
「レストラン……? こんな場所に?」
レンは絶望の淵に立ちながらも、その建物が放つ異様なまでの「格式」に圧倒されていた。
もう、戻るべき場所などどこにもない。
レンは震える手で、重厚な扉をゆっくりと押し開けた。
カウベルの、乾いた、澄んだ音が店内に響き渡る。
「いらっしゃいませ。かつての英雄、瀬戸レン様」
扉を開けた先に待っていたのは、暗闇に溶けそうなほど美しい白銀の髪を持つ青年だった。
アメジストのような瞳が、面白そうにレンを見つめている。
「お待ちしておりましたよ。その、熟しきった極上の『絶望』と共に」
その青年の微笑みを見た瞬間、レンは直感した。
ここは、まともな人間が来るところではない。
そして、今の自分には、ここ以上にふさわしい場所もまた、どこにもないのだということを。
(第2章・第1話 完)
【第2話の予告】
支配人ヴァレンシアから語られる、残酷な「魂の取引」。提示されたメニューには、組織への復讐や無実の証明が並ぶ。しかし、レンが最後に選んだのは、あまりにも悲しい「愛」の形だった。
コメント
5件
コメ失! 本当に神作っ!こういう作品めっちゃすきっ
うわあ、これは重い…!「英雄」が突如「裏切り者」に仕立て上げられ、絶望のどん底で謎のレストランに辿り着く流れ、めちゃくちゃ引き込まれました。組織の闇、妹の信頼喪失、すべてを失った男が最後に選ぶ「愛の形」——次が気になりすぎます。支配人ヴァレンシアの存在感もすごくて、不気味だけど惹かれる雰囲気、いいですね。