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終わり。そんな抽象的な言葉の意味を明確に理解したのは、皮肉にもこの人生を終えようとしている今この瞬間だった。


「限界国、元総統ぐちつぼ。」


罪状を読み上げる声は、奇しくも聞き慣れた声であった。それでも、残念ながら表情はわからない。俺の目は純白の布で包まれ、手首は枷が付けられているからだ。


それでも、数ヶ月ぶりの暖かな日光が、涼やかな微風が、地下牢で冷え固まった皮膚をゆっくりと溶かしていく感覚が心地いいと感じる。最期を飾るのがこんな晴れた日だなんて、贅沢にもほどがある。


アイツらは、暗雲に包まれた光のない世界で死んでいったのに。


「ぐちつぼ、何か言い残したことはある?」


俺がしたことは許されない。例え望まれた死であれ、冤罪であれ、俺は親しい人間を2人も手にかけた。この手で殺した。

地下牢ではこの日が来るまでずっと罪悪感に苛まれ続けていた。何度死のうとしたことか。




それでも、俺は死ねなかった。

ある日の、小さな記憶が





俺の願望を留め続けてくれていた。




_________________________




「限界国?」

「そう、だいぶ人脈も広がったし、そろそろ纏まった人間で運営していこうかなって」


折り目で皺が増えた地図を片手に、感心するような目が俺を向く。


「いいじゃん。で、ぐちつぼ以外は誰がいんの?」

「俺含めて6人ぐらい。まあ、他は今度紹介するわ」

「ふ〜ん……」



「ぐちつぼは、総統になったら何がしたいの?」



「俺は、…….」





俺は

みんなと、楽しく生きていけるなら

なんでもしたいと思った。

多くの人と笑い合える、そんな世界があったらいいと思った。

だから、国を建てたんだ。



だから




「……俺についてきてくれる皆んなを、楽しませたい」


その時のらっだぁは、浮ついた俺の回答を笑って流すことも、揶揄うこともなく、満足そうに頷いた。


「ぐちつぼっぽいわ」



_________________________



緩やかな微風が、草原の草花を揺らす。水面のように光が波打ついつしかの光景を思い出す。



「……楽しかったか?」


静かな処刑台に、俺の声が反響した。

返事はない。



「ぐちつぼ、ごめんな」


台の前に跪く俺に、小さく呟かれる言葉。

今度は俺が、返事を返さない。


「これにより、ぐちつぼの刑を執行する」


合図があったと同時に、周りの人間が動く音がする。

俺は死ぬのか。2人の友人を殺した罰の報いを、斧が俺の首を切り落とすことで、罰が下されるのか。



でも、俺はこの罪を自分の死だけで償いたくない。

俺は、俺の罪を、俺の人生で償いたいと思ってしまった。

だから、ごめん





俺はまだ死ねない。






「……たらこ、ごめんな」

「何言って____」



元々外してあった手枷を解き、たらこの手に持たれた斧を奪い取った。


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