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⚠一次創作

⚠百合/GL

⚠ちょい曲パロ



























私の親友は明るく優しい。

皆に分け隔てなく接して、普段からクラスの中心にいるような、そんな子。

太陽みたいに明るい性格、蝶のような可憐さ、向日葵のような笑顔。誰もが惹かれる、狡い人。


「おはよう、翠」

「藍花おはよー!」


朝、教室に入ると一番に目に入るのはクラスメイトに囲まれた翠。

男女共に人気があって、彼女の周りにはいつも人がいる。

比べて私は教室の端の席で、いつも一人。


それでもいい。私は翠が一番で、翠も私が一番なのには変わりないから。


中学の頃まではそう思っていた。









高校に上がって、翠に好きな人が出来た。


サッカー部のエース、3年生の先輩。

端正な顔立ちとリーダーシップのあるしっかり者な彼は、お調子者の翠にぴったりだと、不覚にも思った。


翠は毎日のように放課後、部活をするその先輩を教室の窓越しに眺めては、ため息を吐いていた。


「今日もかっこいいなぁ、速水先輩」

「また言ってるの?」

「そりゃあね。藍花も応援してよね!」


そう笑う君の顔は、儚く美しく可憐で、

然して、迚も憎たらしかった。







翠と私は小学一年生の頃からの仲だった。


翠の家の隣に私が引っ越してきたのが出会い。

いつも家で一人本を読んでいた私を、外に連れ出しては相手をしてくれていたのが翠だった。


今でも人付き合いは得意じゃないけど、昔よりだいぶマシになったのは、翠のおかげだろう。








高校に上がって恋をしてから、翠は一段と笑うようになった。

昔から常に笑顔で天真爛漫だったけど、そうじゃなくって。なんというか、青春を謳歌しているというか、恋する乙女って感じで女の子らしくなった。

メイクをしてみたり髪を巻いてみたりして、毎朝のように


「どう?可愛い?速水先輩見てくれるかなぁ?」


なんて見せびらかしてくる。

うん、可愛いよ。とっても。なんて、言えなく て。


「いいんじゃない?」


なんて素っ気なく返す。


もう冷たいんだから、と頬を膨らます翠。

可愛くなろうと努力して、ひたすらに上を向いて、 そのたび輝いていくのは素敵なことだけど、

本当は応援してあげたいけど、

その”理由”が私じゃないのが、如何にも気に食わない。


そうか、私は翠のことが■■なのか。


その感情に自覚を持ったものの、もう遅い。

時候外れ。消費期限切れ。








「速水先輩に差し入れ持っていこうかな」


その名前を出さないでよ。


「喜ぶかな?何がいいかな?」


私を見てよ。


「ねえ藍花、如何思う?」


私だけを───




















茜色に染まる教室で、ふたつの影が重なった。






















目を丸くして、驚いた顔の翠。

顔が赤いのは、夕日の所為か、はたまた…




君に、二度と忘れられぬ降参キスを。



















引用____可愛いあの子が気にゐらない / なるみや

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