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倭人の国は帯方郡(朝鮮半島)の東南の大海の中にある。
倭国三十の国を治めているのが邪馬台国と呼ばれる。
邪馬台国は従う国々に己の力の及ぶ兵を置きその占いの力と兵士によって均衡を保っていた。
邪馬台国の王はもともと男子であった。
この男子王の元、倭国は乱れ、従う国々は互いに憎しみの中を争いの年月を幾年も過ごした。
そこで倭人達は話し合い、一人の目鼻立ちの美しい女をたてて倭国を治めようと決めた。
その女の名は卑弥呼と言う。卑弥呼は男ならず女さえも声をあげるほどの美貌を持っていた。
卑弥呼は三つ子で姿形が全く同じ姉と弟がいた。姉の名はエバ。弟の名はスサノウと言った。
姉のエバは狡猾でその魂を悪魔に魅入られた女だった。誰からも愛されず、そして誰をも愛さなかった。
そこで周りの男の王達は姉のエバではなく妹の卑弥呼を王とした。
景初二年六月、卑弥呼が我が国に朝貢したいと伝えてきた。
我が国の帝は卑弥呼に次のように言った。
「汝を親魏倭王卑弥呼として任命する。今汝を親魏倭王とし金印と紫綬を与えようと思う。装封して帯方郡太守に托し汝に授ける。また魏の国が汝を愛することを知らさなければいけない」
知らせを聞いた、卑弥呼そしてスサノウは何故か「時の海」に浮かぶと言うに行くと言い残しの前から姿を消した。
そして卑弥呼と姉、スサノウは空を自由に飛べる「天の鳥船」呼ばれる戦船を操る軍隊と一緒に倭人の前からも消え去った。その後二度と倭人の前には現れなかった。達は三人が死んだと思い深く嘆き悲しみ大きな鉄の塚を作った。
塚は亀の様な形だった。倭人達はとなって卑弥呼達を称えた。それは直径百余歩ほどもあり、その際殉葬された者は奴稗十三人であった。亀の様な塚はある時何処に消え去った。
その後、黒い石をもたない霊力の無い王たちのもと再び国々は乱れ、その上お互いに殺し合った。そこで卑弥呼の弟子のという十三歳の少女壱与を立てて王としたところ、国中はやっと治まった。
壱与の死後。何代もの後、遠く離れた異界の地に毛むくじゃらの野蛮な国が現れた。
その国の名は美国という。
美国の若い王は月に卑弥呼が黒い石を持って行ったことを何故か知っていた。
王は偉大な我ら唐の時代に発明した火薬をつめた筒に家来の美国人を乗せて鉄の塚を探しに月へ向けて放った。
筒は月に着くことなく宙で燃え尽きた。そして燃え尽きた美国人は地上に落ちてきた。
亡骸は炭の様な黒い石となっていた。美国人に控えていた卑しい倭人にその黒い石を与え、この石こそが卑弥呼の秘密の黒い石であると偽った。
卑しく愚かな倭人達は喜び感謝し美国人を兄のごとく敬った。
理想社会
西暦 三千百五十一年 三月十一日
巨大地震から千百三十九後 上海
最初は紫の炎に見えた。
網膜上のスクリーンに微かな光をアダムは感じた。
続いて前頭葉の奥に埋めこまれた日立製のチップスに電機反応が起こった。
まず紫は黄色の光が変わり、それが赤みを帯びた木であることが分かった。木が燃えているのだ。何故か熱くはない。その木にまとわりついている自分の体を感じた。霧がかかっている。火は消えた。
白くっている向こうから影が見える。凹凸が確認できる。若い女性の裸体だ。輪郭が段々はっきりしてくる。白い裸体と茶色の長い髪が確認出来た。えもいわれぬ笑顔を浮かべている。髪の毛と同色の栗色の逆三角形の陰毛が見える。
龍は自分の体が黒い細かなうろこによって覆われていることに気がついた。
そして蛇である自分が木の上にいることに気がついた。
自分を欺き、いや神の教えにそむいた女。知恵の木の林檎を齧ってしまう女。その女が自分に近づいてくる。光は又色を変え、橙色は緑色に変化していった。白い景色が再び紫色に戻っていった。完全な赤に変化したことを感じた瞬間にその光が消え去り再び白い空間、奥行きを感じさせている空間が見えた。
徐々に氷結していた自分の脳が徐々に常温に向かって解凍していくのが自覚出来る。ほぼ完全に解凍したアダムの脳の表皮に電流が走った。
引き起こされた信号は更に力を増して網膜内でスパークした。スパークは更に続いた。
スパークの中から今度は端正な自分の息子アベルの白い顔、自らの記憶にあるアダムと全く同じ顔が網膜上に映像となって現れた。
アベルは仕立ての良い紫のチャイナスーツを着ている。胸の所に金糸が施されている。
オリジナルのアダムと寸分違わない容姿でアベルは立っていた。
「如何句子圣父亲,醒过来||吗?父さん、お目覚めはいかがかですか」
網膜内映像のアベルが切り出した。
「おはよう総書記」
アダムの脳からの電子メールは日立のサーバーを経由して正確にアベルの脳に伝えられた。
「今度は何の夢を見ましたか。またの三人の子供の話でしょう」
「いや違う」
「では、キリストとなっての刑になる光景を夢見た」
「違う、光る女が出てくる夢だ」
二人の脳と脳の間で伝達されるチャットはとりとめもなく続いた。
チャットはアダムの脳内で音声として徐々にだがはっきりと確認が続いた。
脳の表面に湧き出てくる新鮮な酸素を感じながらアダムは息子のアベルの脳に伝えられた電子メールの文字を網膜上の文字としても確認した。
それは一言一句間違いのない正確さだった。
同時に音声が脳内ではっきりと完全に鳴り響いた。
「総書記でなくアベルでいいですよ。私はあなたのクローン、すなわち貴方の息子なのだから総書記と言う呼び方はよして下さい。父さん」
合成皮膚で輝くアベルが誘ったと同時に自動操縦の背もたれがカチっと音がして立ち上がり、膀胱に溜まっていた尿が勢いよく排出された。尿が排出される快感が電気信号となり、いつものようにアダムのゲームのスタートのサインとなった。