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「はぁ…今日も勉強が終わった~。」
放課後、私は颯真と一緒に帰る予定だったけど、今日はちょっとだけ用事があって、教室を出るタイミングが少しずれてしまった。
「…まぁ、いいか。」
今日はなんだかモヤモヤしてるわけじゃないけど、少しだけ心の中がざわざわしていた。
颯真と一緒に帰るのが楽しみで仕方がないから、すぐにでも会いたいんだけど、なんだか急に焦る気持ちが湧いてきていたんだ。
「……でも、今日は何だかおかしい気がする。」
教室を出て、校門の前に歩いていると、突然、聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「あれ、萌音ちゃん?」
その声は…同じクラスの、少し美人系でおっとりした雰囲気の…まさに「完璧な」美女だった。
彼女の名前は**高橋梨乃**。クラスでも目立っているけれど、私にとっては、あまり馴染みのない存在。
「うん、何?」
思わず振り返ると、彼女はニコッと笑って話しかけてきた。
「実は、颯真くんに用事があって…今日、一緒に帰る約束してるんでしょ?」
その言葉に、私は一瞬固まってしまった。
「え?うん、そうだけど…」
梨乃ちゃんは微笑んだまま続けた。
「実は、颯真くんに話したいことがあって、少しだけお願いしてもいいかな?」
「え…」
突然のことで頭が真っ白になってしまう。
「まぁ、ちょっとだけだから。私は先に行っておくから。」
そう言うと、梨乃ちゃんは颯真がいる方向に歩き出していった。
その姿を見送ると、私の胸がドキドキと早くなっていく。
「…なんで、梨乃ちゃんが颯真に話しかけるの?」
私の中で急に不安が湧き上がってきた。
梨乃ちゃんはクラスの中でも人気があるし、目立つ存在。もちろん、颯真のことも気になっているんだろう。
でも、私が思っている以上に、颯真のことが気になっている自分に気づいて、心の中で焦ってしまう。
「だ、大丈夫だよね?」
気づかないフリをして、私は颯真の元へ急いだ。
颯真と会うと、彼はちょうど私が来るのを待っているような顔をしていた。
「やぁ、萌音。遅くなっちゃったね。」
「ううん、ちょっと用事があって。」
彼に笑いかけながら言うけれど、正直に言うと、さっきの梨乃ちゃんのことが気になって仕方がない。
颯真が私を見て、少し驚いた顔をした。
「どうしたの、そんな顔して?」
「え?」
「なんか…気になることでもあった?」
颯真がそう言ってきたから、私は思わず言葉を止めた。
「いや、なんでもない。」
その時、梨乃ちゃんが私たちのところに戻ってきた。
「颯真くん、これ、お願いしてもいいかな?」
彼女が手に持っていたのは、ちょっとしたノートみたいなもの。
「うん、わかったよ。」
颯真は快く受け取ったけれど、そのやり取りを見ていた私は、なんだか居心地が悪くて…少し顔を伏せてしまった。
梨乃ちゃんが帰り道に颯真と歩いていく姿を見ると、何故か胸が苦しくなった。
「…大丈夫、私。」
小さな声で自分に言い聞かせるけれど、心の中の不安が収まることはなかった。
その夜、私の頭の中では、梨乃ちゃんの存在と颯真のことがぐるぐる回り続けていた。
この先、私たちの関係はどうなるんだろう。
彼に対する想いがどんどん大きくなっていくのを感じていた。