ハッピーエンド、要望があったので書きます!
短いですが許してちょ
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暴走魔力が消えた後の広間は、
まるで世界が終わった後みたいに静まり返っていた。
ロヴィーノはフェリシアーノを抱きしめたまま、
その軽すぎる身体に震えていた。
フェリはまだ息をしている。
でも、その呼吸は弱くて頼りない。
「フェリ……おい、聞こえるか……!!」
呼びかけても、返事がない。
――このままじゃ、ほんとうに……!
嫌な予感が背中をぞわりと這う。
胸が押しつぶされるように痛む。
「フェリ!!お前、勝手にいなくなるな!!
やっと…やっと見つけたんだぞ、このやろ……ッ!!」
涙が床に落ちる音がやけに大きく響いた。
その瞬間――
ロヴィーノの腕の中で、フェリシアーノの指先がかすかに動いた。
「……ロ…ヴィ…?」
微かな声。
それだけでロヴィーノの呼吸が一瞬止まった。
「フェリ!!」
ぎゅっと抱きしめると、
フェリシアーノは痛そうに眉を寄せながらも、兄の服を握り返した。
「…ごめんね…ロヴィーノ…俺、また……怖くて…暴れちゃって……」
ロヴィーノはその手を強く握る。
「謝んな!!お前のせいじゃねえ!!
全部…全部俺が……お前を放っといたせいだ…!」
フェリシアーノの瞳が揺れる。
「ロヴィーノの…せいじゃないよ……」
「ある!!俺がもっと早く…
もっとちゃんと探してりゃ…
お前があんな世界で…ひとりで震えてる必要なんか……なかった…!!」
フェリシアーノの胸にあてた手に、ロヴィーノの涙が落ちる。
その温度が――
フェリの魔力の深い闇に染み込むように広がった。
フェリシアーノの胸の奥で、
黒い魔力が“ほどける”ように弱まっていく。
「兄ちゃ…あれ…苦しくない……?」
フェリが驚いたように目を見開く。
ロヴィーノの鼓動が、すぐそばで力強く響いていた。
「戻ってこい、フェリ…俺一人じゃ…もう立ってられねぇ……」
その声は、
どんな鎖よりも強くフェリシアーノを現実へと引き戻した。
「…兄ちゃんが……呼んでる…?」
フェリシアーノは自分の胸に手を当て、
弱りきった呼吸で兄に抱きついた。
「行くよ…兄ちゃんのところに…俺…もう…一人じゃいたくない……!!」
その瞬間――
フェリの体から黒い魔力がふっと抜け落ちるように消えた。
広間に残ったのは、
暖かい、白い光。
ロヴィーノは弟をしっかり抱きしめながら、
安心したのか膝をつき、肩を震わせた。
「フェリ…!生きてて…よかった……!」
「うん……兄ちゃんが…呼んでくれたから……俺…帰れたよ…」
フェリシアーノは弱々しく微笑み、
兄の胸に顔を寄せた。
「兄ちゃんの声…ずっと、好きだった……」
ロヴィーノは涙を流しながら弟の頬を撫でた。
「二度と離さねぇ……絶対にだ…!」
フェリシアーノも、
子どもの頃のようににぎやかで優しい笑顔を浮かべる。
「うん……俺も…兄ちゃんと一緒にいたいよ…!」
こうして、
“魔王”はもうどこにもいなくなった。
残ったのはただ、
やっと再会できた兄と弟の姿だけだった。
ーーー
END
コメント
2件
ちょっと!!涙腺崩壊したんだけど!!責任とってくれる!? (訳:最高に感動する物語でしたハッピーエンド作ってくれてありがとうございます)