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あまみゃside.
「ん……ぅ」
体が重たい。……寝てる。柔かくて温かい……でもなんだか、冷たい……?
「……っ! はぁっ、はぁ……」
跳ねるように飛び起きて、辺りを見回す。清潔で簡素な、落ち着いた雰囲気の部屋だった。しばらく見回していると、その途中にある意味異質な色彩が混ざる。
「あ、起きた?」
「っ、くずは、せんぱい……?」
ゆらめく血の色の瞳が、わたしを捉える。先輩はわたしよりドアに遠いところに座っていて、頑張れば先に出られそうな気もする。
「おはよ、あまみゃ」
その声が、言葉が、自分のどこか大事な部分を溶かすように、ゆっくりと、舐めるように染み込んでいく。
「……ぁ」
止められない。止まらない。誰よりも、何よりも大切なものが、溶けて、崩れて、そうして何もなくなったわたしに、甘い声が反響する。
「おは、よ……わたし…」
雷に打たれたように思い出し始める。
ねぇ、誰だった?
いつも隣にいたあの人は……
「だーめ」
鋭いような、それでいて何かに包まれたような鈍重さを伴う痛み。この人の牙が首に刺さったんだと理解するのには少し時間がかかった。
「ひ……ぁ…っ」
ずるりと、身体から力が抜けていく。何も、考えられない。ただ──
「──ぷはっ」
「っ、ぅあ……」
ふはっ、と、吸血鬼が嗤う。
「気持ちよかったっしょ?」
「ぁ……」
──ただ、気持ちよかった。
何も考えずに、この人に身体を預けて、頭がくらくらするまで血を吸われた。
ただ、それだけのことが……こんなにも気持ちよかった。
「──おやすみ、あまみゃ」
おやすみなさい、吸血鬼さん。
Next──♡100