(注意点)
今回はリクエストをいただいたので、なるべく添えるよう書いてみました。
100%妄想です
苦しんだり辛そうな表現があります
怪我や出血吐血などの表現もあります
言葉遣いなど解釈違いでしたらすみません
長文で申し訳ないです
大丈夫な方はこのままお進みください
深い森の中、その一部で地響きが何度も聞こえる。
砂埃が舞い、4人のヒーロー達の声も混じって聞こえた。
今日の任務は、森の中で暴れている大蛇2匹の討伐。
白い大蛇と黒い大蛇が、尻尾を木々や地面に叩きつけながら威嚇している。
巨体にしては俊敏な動きで攻撃を避けたり弾いたりされ、4人は苦戦を強いられた。
伊波「クソッ!全然ハンマー当たらないんだけど!星導ちゃんと蛇抑えててよ!」
叢雲「おい!こっちの尻尾もしっかり掴んどけよ!危ないやろ!」
星導「2匹同時は無理ですってー!やばい触手ちぎれそう!」
2匹の尻尾の威力が強いので、星導が触手で掴んで食い止めている。
大蛇も逃れようと暴れているので、触手はギチギチと嫌な音を立てて限界を示す。
そう長くはもちそうにない。
小柳「ライ!頭下げろ!」
伊波は即座に体勢を低くし、その頭上で刀が振られた。
その位置にあった黒蛇の首から血が流れる。
小柳「チッ、浅かったか。」
伊波「隙あり!」
斬られて身を捩った一瞬を狙って、伊波が黒蛇の後頭部にハンマーを振り下ろした。
鈍い音と共に、黒蛇の頭部は地面に叩きつけられた。
しかしまだ意識はあるようで、その場から逃げようとズルズルとゆっくり地を這い出す。
星導が掴んでいる尻尾をグイっと引き寄せて元の位置に戻すと、トドメを刺そうと小柳が一気に詰め寄った。
その時、もう1匹の白蛇が目を見開き、口を大きく開けた。
そこから放たれた威嚇音が、4人の鼓膜をビリビリと劈く勢いで響く。
4人は咄嗟に耳を塞ぐが、まるで不快な超音波を浴びているようで頭がクラクラする。
やっと音が止まった頃には、聴力の高い小柳が立っていられなくなり片膝をついた。
伊波「大丈夫!?」
小柳「これくらい平気だ、少ししたら治る。」
威嚇音に鼓舞されたのか、ダウンしていた黒蛇がまた攻撃態勢に戻っていた。
小柳を守るように伊波がハンマーを構える。
白蛇の相手をしている叢雲が、チラチラと心配そうにこちらを見ていた。
星導が力一杯に黒蛇の尻尾を引っ張り、伊波達から離そうとしてみる。
するとギッと黒蛇は星導の触手を睨みつけ、口から大量の液体を撒き散らした。
4本ずつで2匹の尻尾を掴んでいた触手8本にたっぷりとかかり、その液体を浴びた部分はジュワジュワと音を立てて溶けた。
星導「熱っ!!痛い痛い溶けてる!!」
伊波「毒?!酸?!わかんないけど皆んな気を付けて!」
叢雲「危な!また尻尾振り回し始めたで!」
触手から解放された尻尾が猛烈な勢いで4人を襲う。
なんとか動けるようになった小柳が、まだ少しふらつく体で攻撃を避けた。
伊波が近くで援護しながら攻撃する。
叢雲が高い位置に飛び上がり、白蛇の両目にクナイを突き刺した。
両目を失明した白蛇はさらに激しく暴れ出し、豪速で横振りされた尻尾は星導を捉えた。
触手の再生が間に合わず、まともに食らうことしかできなかった。
体が吹き飛び、木に叩きつけられ意識を失った。
その様子を確認しに行くタイミングなんて無く、3人は戦いに集中した。
もがく白蛇の両目に刺さっているクナイを、さらに深く押し込むように、伊波がハンマーを叩きつけた。
悲鳴に近い声を上げた瞬間、その口内へ叢雲がクナイ2本を投げ、喉奥に刺さった。
巨体は脱力し大きな音を立てて倒れる。
まだ僅かにピクピクと動く白蛇に、叢雲がトドメを刺した。
その光景に動揺したのか、黒蛇の動きがやや鈍くなった。
その瞬間を見逃さない。
小柳「抜刀。」
力強く踏み込み、刀は閃光の如く敵を斬る。
黒蛇の大きな頭部はボトリと落ちた。
止めていた息を吐き、息を吸い直した。
その時、黒蛇の首の断面から勢いよく血が吹き出し、小柳の顔にかかった。
なんなら息を吸っていたので少し飲み込んでしまった。
最悪だと呟きながら目元の装備を外す。
袖で顔を拭き、不快な味のする口内の唾液をペッと地面へ吐く。
返り血なんていつもの事なので、気にせず刀を鞘に収めた。
伊波と叢雲は星導の手当てをしているようだ。
酷い怪我も無さそうで、伊波が背負って帰る準備をしている。
2人のところへ歩き出した時、喉にチリチリと謎の違和感が沸いた。
喉から、さらに奥の方もジリジリと焼けるような熱さを感じ始める。
胃のあたりが煮え爛れるような痛みで、歩く足が止まった。
これはなんだと考えているうちに、喉奥から溢れてきた血が口からゴボリと流れ出る。
急な吐血にむせながらどんどん地面を赤く濡らしていく。
苦しさで両膝は地に着いた。
小柳「ゴホッ、んだこれ、、ゴホッゴホッ、、止まんねぇ、、」
小柳の異常事態に気付いた叢雲が駆け寄ってきた。
叢雲「どうした?!怪我か?!何があった?!」
小柳の正面にしゃがみ、慌てて外傷の確認をする。
星導を背負った伊波も驚きながら声をかけた。
伊波「今救急に連絡するから!どこが痛い?!」
思い返してみると、黒蛇が星導に浴びせた液体は蛇自身の血液だったのかもしれない。
触手の溶け具合を見るに、少量とはいえ飲み込んでしまった自分の体内も、グズグズに溶け始めているのだろうと感じた。
小柳「ゲホッ、、多分、蛇の血が、ゥグッ、、口に入っで、、体ん中、溶げでる、、。」
叢雲「触手溶けたんは蛇の血のせいか!え、なんでそれが口に入んねん?!」
小柳「、がぇりぢ、、あびだ、、ゴホッ、。」
伊波「あ、首切り落とした時!、、ロウ、喉っていうか声が、、無理に話さないでいいよ!」
その液体は今も徐々に体内を溶かしていく。
焼け爛れる喉、食道、胃、色々な内臓が次々と悲鳴をあげる。
声を出すのも辛い。
何度も何度も吐血を繰り返す。
なんとか大量の自分の血液と共に、蛇の血液を吐ききったが、溶けた部分の内臓が痛み、体の自由を奪う。
力が入らなくなってきた。
2人が何か叫んでいるが、遠くの方でくぐもって聞こえる。
そのうち目の前が霞み始め、叢雲に倒れ掛かった。
なんとか瞼を開けていようと努力するが、もうその虚な瞳は何も捉えられない。
2人の必死な表情が暗闇の中に消えていった。
目を開けたら病院の天井があった。
あれから随分と時間が経過していたらしい。
医者に聞かされたのは、命が助かったのは奇跡的で、まだ危険な状態であること。
内臓が回復するまでは絶対安静にと。
なんとか助かる事ができたこの白狼の回復力に感謝しかない。
既に立ち上がれるまでは回復していた。
しかし、身じろぎひとつで爛れた臓器が擦れて激痛が走る。
諦めて暫くは病院のこのベッドで安静にしておこうと思った。
毎日お見舞いに来てくれる3人が色々言葉をかけてくれたが、喉が痛くてあまり返せない。
無理に絞り出した声はガラガラに枯れている。
そんな痛々しい声を聞いた3人は心配そうな顔をし、いつもみたいに茶化したりダル絡みもしなくなった。
それどころか励ましてくれる。
そんな気遣いをされることが気分悪く感じた。
居心地悪いというか、申し訳なさもあった。
たかが返り血、いつものこと、などと余裕かまして慢心していたから今こんなザマになっている。
自分の甘さが招いた事だ。
そして任務に穴を開けて他の3人に迷惑をかけている。
なのに無様な自分に気を使ってくれている。
早く治れよ、と自分にイラついた。
同時に、マジでダセェ、と悔しくなった。
さらに翌日、デバイスから救援要請が聞こえた。
仲間たちの負傷状況も聞こえてくる。
敵の数と強さを本部が見誤っていたらしい。
伊波と叢雲と星導がかなり押されているという状況だった。
1人、また1人と負傷という連絡が続く。
オリエンスの状況を確認すると、向こうも交戦中だった。
つまり誰も助けに行けない。
俺、こんなところで寝てる場合じゃないだろ。
それこそダセェよ。
後でどんなに怒られてもいい。
今行かなかったら、俺自身が後悔する。
体に力を入れるとまだ酷く痛むが、今は全くそんなこと気にならない。
すべて二の次だ。
今できる全てを尽くして仲間を助けたい。
カッコ悪い俺に、良いとこ見せるチャンスをくれ。挽回させろ。
でないと自分を許せない。
すぐに戦闘服に着替え変身し、バレないように窓から外へ駆け出した。
幸い戦闘の現場は遠くなかった。
爆発音や何かが壊れるような音が近付いてくる。
3人の姿が遠目に見えた。
巨大な蜘蛛が街中で暴れている。
さらにその周りに小型の敵がたくさん沸いていた。
あちこちに強靭な蜘蛛の糸が張り巡らされていて、非常に戦いにくい様子だ。
糸に触れるとなかなか取れなくて、攻撃範囲の大きい星導の触手何本かは絡め封じられている。
伊波もハンマーを上手く振れず、攻撃できずにいるようだった。
糸の間をスルスルと潜り抜けて戦っている叢雲は、足を酷く負傷しておりいつものスピードが出ていない。
顔を顰めながら走り、蜘蛛の糸をどんどん切った。
巨大蜘蛛だけでも苦戦しているのに、小型の敵たちがさらに戦闘の邪魔をしてくる。
気を抜いたりよそ見をすれば、すぐに足元をすくわれるだろう。
駆けつけて良かった。
今ここには自分が必要だ。
どこまで動けるかは分からないが、
ムカつく自分への憂さ晴らしだ。
いよいよ伊波はハンマーを、叢雲は両腕を、星導は触手を糸に絡め取られてピンチを迎えた。
ここまでかと諦めかけた時、ギリギリ間に合った小柳がみんなに絡み付く糸を素早く切った。
叢雲「おい!お前なんでこんなとこ来とんねん!寝とけよ!」
伊波「いや、まずはありがとう助かった!でもまだ治ってないでしょ!今すぐ戻って!」
小柳「説教はあとで聞く。敵に集中しろ。」
星導「あとでどうなっても知りませんよ。」
まだ掠れている声に3人は不安な顔をしたが、小柳の断固として戻らないという決意に押し負けた。
実際、小柳不在の状況はだいぶキツかったので、来てくれた事はありがたかった。
早く倒して小柳を病院に戻さなければ。3人はそう思った。
次々と張られる蜘蛛の糸を、小柳と叢雲が片っ端から切って戦場を整えた。
随分やりやすくなったフィールドで、伊波がハンマーを振り回す。
巨大蜘蛛にどんどんダメージが入った。
星導は触手をフルに使って小型の敵たちを掴み集め、腕の口の中に放り入れ続けている。
このまま畳み掛けてラストスパートと確信したところで、叢雲の足に限界がきてしまった。
走っている最中に片足に力が入らなくなり、思いっきり転倒した。
チャンスとばかりに3体の小型敵が飛んでくる。
叢雲の頭部めがけて殴りかかろうとしたところを、小柳が刀で切り伏せた。
小柳「立てるか?!」
叢雲「足首固定したらいける!ちょっと時間かせいでくれん?」
答える前にすでに次の敵が襲いかかってきていた。
何体も迫る敵を刀でひたすら斬る。
その途中でまた体の中が熱くなるのを感じ、口の端から血がツゥと流れた。
無理をし過ぎたのか、痛みには耐えていたのに体は随分悪化してしまったようだ。
途端に動きは悪くなり、敵の投げてきた鉄球が小柳の腹部に当たった。
ぅぐっ、と苦しげな声が漏れる。
冷や汗がブワッと流れ、喉奥から迫り上がってくるものを感じた。
今は叢雲を守らなければ。とにかく耐えろ。
自分に言い聞かせて刀を振る。
しかし体は気持ちに着いて来れなくなっていて、死角から飛んできた2本の矢を防ぎ損ねてしまった。
小柳「ゔっ、ぁ、、!」
矢は脇腹に深く刺さった。
ちょうど立てるようになった叢雲が、弓矢を持つ敵を手裏剣で倒した。
グラグラ揺れる体でまだ戦おうとしている小柳の肩を掴む。
叢雲「待て待て!もう無理やろ!休んどけ!」
小柳「、、まだ戦える、、離せ。」
叢雲「見てみ!蜘蛛はライが今トドメさしたし、他の敵も星導が片付けてくれとる!」
あまりに目の前の敵を集中して斬っていたため、視野を広く持てていなかったようだ。
見渡すと戦いはもう少しで終わろうとしていた。
張り詰めていた緊張感がするりと抜け落ちた感覚がした。
その瞬間、先ほど迫り上がり抑え込み続けたものが一気に溢れ出た。
せっかく瞬時に口を手で覆ったのに、それは全く無駄で、指の間からダラダラと血が流れ落ちる。
叢雲はギョッとした顔をし、口から手を離させた。
叢雲「逆流してむせるで!その方が辛いやろ、ほら、肩貸したるで、歩けるか?」
小柳「、、、いい。フツーに歩ける、、。」
叢雲「んなわけないやろ!何なん?!なんでそんなカッコつけようとしとる?!」
叢雲は小柳の肩をペシっと叩いた。
どうも助けに来た時からの立ち振る舞いが鼻につく。
何に意地を張っているのだろうか。
小柳「自分にムカついてただけだ。ケリが着いたからもういいんだよ。ほっとけ。」
叢雲「なんや知らんけど、帰ったら説教やからな。すかしとんのも今のうちやで。」
伊波と星導がすっかり敵を全滅させてこちらへ歩いてきた。
結局倒れる寸前の状態まで悪化した小柳を、伊波がジトっとした目で見つめた。
伊波「またこんな無茶して!なーに駄々捏ねてんの!大人しく背負われなさい!」
両手を広げて「おいで」と近寄る。
小柳「だから歩けるっつーの。」
伊波の手を振り払いフラフラと歩き出す小柳の体を、触手がぬるりと抱え上げた。
そしてゆりかごのようにユラユラ揺らす。
星導「言うこと聞けない悪い子は強制連行でーす。大人しく寝ててくださーい。」
小柳「なにしてんだ!やめろ!揺らすな、ぅ、気持ち悪っ、、。」
星導「おっと、これ以上吐かすわけにもいかないので、まじで大人しくしててください。」
小柳「、、はぃ。」
やっと観念した小柳が力を抜いて体を預けてきた。
伊波と叢雲はやれやれといった顔をしながら、みんなで病院へ向かった。
また暫く入院で絶対安静を言い渡された。
しっかりと医師に叱られ、伊波たちにもガッツリ怒られた。
お説教に対して「すみませんでしたー」と返すわりに、本人はなんとなく満足そうでちょっとムカついた。
まだ話は最後まで終わってないというのに、色々限界だったのか、いつのまにか小柳は寝落ちてしまっていた。
話は強制終了となり、3人は病室を出た。
叢雲「あいつなんやねん。結局あれやろ、返り血浴びてこんなことなって、汚名返上したくて飛び込んで来たんやろ?アホやん!」
伊波「まぁ、ロウってそういうとこあるから。自分に厳しいんだよね。良くも悪くも。」
叢雲「だってほぼ事故やん。僕だって返り血くらい浴びるで。自意識過剰すぎるやろ。」
星導「じゃあ、俺が先日、自分の粘液で滑って転んで頭打って気絶した件、不慮の事故でしたって報告書に書いて良いですか?」
伊波「ダメに決まってるだろ!お前はいつもいつも!ちゃんと反省しろ!」
今日もディティカらしい会話が、病院の廊下にこだました。
コメント
2件
最高っす…マジ神です。いやぁ、言葉が出てきませんね。ありがとうございます。なんて言えばいいんでしょう。全体的に神がかってますね。吐血大好きなんですよ。ありがとうございますまじで。