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研究室の午後。
窓から差し込む光は柔らかく、外では風が静かに木々を揺らしていた。機械の低い駆動音と紙をめくる音だけが、空間の中に穏やかに響いている。
ツナっちは休憩スペースの簡易ソファに体を預け、静かにうたた寝していた。体は軽く丸まり、手足も脱力し、髪の先が頬にかかる。その穏やかな寝顔には、いつもの活発さがすっかり影を潜めていた。
くられは手に持ったブランケットをそっと広げ、ツナっちの肩へと手を伸ばす。布が触れる直前、ツナっちのまぶたがわずかに揺れた。
「……先生、かわいいなぁ……」
寝ぼけた声が、まるで夢の続きを語るようにふわりと漏れた。
その言葉と同時に、ツナっちの手がゆるく伸び、くられの腕に触れる。意識のない柔らかな笑みを浮かべたまま、ぼんやりと見つめている。
くられは一瞬、動きを止めた。予期せぬ言葉に思考が一気に途切れ、呼吸さえ忘れてしまう。ほんの数秒、時間そのものが止まったように感じられた。
何か言い返すこともできず、ただその場で固まる。手の中のブランケットがわずかに震え、指先が空気を掴む。頬にかすかな熱が広がるのを感じ、くられは小さく息を呑んだ。
ツナっちは再び目を閉じ、手を膝の上に戻し、静かな寝息へと戻っていく。
くられはしばらくの間、そこから動けなかった。
ブランケットをそっと肩に掛け直しながら、視線を逸らす。
静まり返った午後の研究室。
聞こえるのは機械の音と、ツナっちの穏やかな呼吸だけだった。