嘔吐注意
黄side
朝アラームで目を覚ます。
メンバーの都合により少し早くなった会議。
僕はアラームをかけないと起きれないくらいの時間だ。
カーテンから漏れ出る光で部屋は結構明るいが、一応カーテンを開けておこう。
そう思い、ベッドから立ち上がろうとした。
黄「ぅあッ……」
なぜか、身体が思うように動かない。
重りがついているかのように、
黄「起きないとッ、」
起き上がろうと手足を藻掻く。
…ベッドの上で僕が転がるだけ。
迫ってくる時間に焦る。
なんとか手で上半身だけ起き上がった。
身体中からダラダラと流れる汗、息は荒れに荒れている。
黄「ぅわ゛ぁぁッッ!?、ごほっごほッ」
息を落ち着かせようとしたけど、腕が持たずベッドから転げ落ちてしまった。
咄嗟に声が出たが、ガッサガサな声。
青ちゃんみたいだ。
もしかしたら青ちゃんより酷い。
息が整ってきたから、壁をつたって立ち上がる。
フラフラとしながらも、リビングまで移動した。
椅子に座って、熱を測る。
脇に挟まれた体温計がとても冷たかった。
ピピピピと鳴った体温計を脇から抜く。
数字を見ようとするけど、視界がぼやけてよく見えない。
でもなぜか、大丈夫だろうという根拠の無い自信が出てくる。
だから会議に行く準備を始めた。
服を着ようにも手が思うように動かなくて。
スマホを持とうとしたら何回も落として。
文字を打とうとすれば誤字の連続で。
連絡も準備もなにもかも遅くなってしまった。
ようやく、準備が出来て玄関へ向かう。
靴を履くけど、靴さえも僕の重りとなってしまう。
1歩が重く感じる。
家の前にタクシーを呼んだ。
いつもなら電車で何駅かする距離だからタクシーでは少し財布が痛い。
僕は運転手さんに事務所の住所を伝えた。
呂律が回らなくて、ところどころ噛んでしまう。
タクシーが動き出した。
ガタンガタンと揺れる車内。
体調が悪いのもあり、すぐに気分が悪くなる。
でも、降りるわけにも行かず、嘔吐しそうなのをなんとか紛らわそうとする。
窓の外を眺めてみたり、音楽を聴いたり。
だんだん事務所が見えてきた。
目があんまり見えないから凄く近くに来ないと気づかなかったけど、
お金を払い、タクシーを出る。
黄「ッッ…」
立つので精一杯。
だけど運転手さんに迷惑掛けるわけにはいかない。
限界突破のつもりでエレベーターまで歩く。
エレベーターの中では、乱れていた見た目をなおし、息を整えた。
これでメンバーにはバレないだろう。
黄「ふぅ…」
一息ついてから扉を開ける。
黄「ごめんなさい、遅れましたぁ」
青「おっそw寝てた?」
赤「会議始めよ始めよw」
黄「うん、えへへ…」
いつも通り話しかけてくるメンバー。
自分で言うのもなんだけど、遅刻常習犯の僕だから体調不良を心配されにくかった。
黄「青ちゃん…眼鏡かして、?」
青「えー?僕の度強いよ?」
黄「大丈夫大丈夫w」
少し青ちゃんに救われた。
これじゃ資料とかも全然見えないところだった。
青ちゃんの眼鏡はほんとに度がキツかった。
普段の僕なら目眩がするくらいだけど、今の僕は掛けてもまだちょっと見えにくい。
会議が始まって15分。
最初は資料が見えなくて話についていけないと心配してた、でも今はそれどころじゃない。
話が全然頭に入ってこない。
何か喋っているのは分かるのだが、どうしてもぼーっとしてしまう。
「黄さんは作曲進んでますか?」
青「おーい黄くーんw」
赤「黄ちゃん?」
黄「え、あ…はい、?」
「作曲進んでますか?」
黄「あ、んぅ?」
桃「黄、」
頭がぐるぐるして、スタッフさんが言っている言葉を上手に処理出来ない。
桃「黄、!」
黄「んー…?」
桃くんがこっちに歩いてくるのが微かに見えた。
眼鏡掛けてるのに全然前が見えなくて、ゴシゴシと目を擦る。
目を擦った手がどんどん濡れていく。
青「ぅえ、!?」
赤「黄ちゃぁん、w」(苦笑
桃「、、」
優しく3人に包まれる。
ちゃんと、お兄ちゃんなんだ、
青ちゃんも、赤も…
桃くんは普段からお兄ちゃんだけど。
赤side
黄ちゃんが会議中に泣き出してしまった。
体調が悪かったんだろう。
桃ちゃんはまだしも、俺も気づくくらい今日の黄ちゃんは様子がおかしかった。
黄ちゃんは溜め込んで、結局爆発しちゃうから。
俺達お兄ちゃんが末っ子を守らないと、
普段はスペックが高い最年少だけど、ちゃんと弱点もある末っ子なんだ。
赤「お熱だね」
黄「んッ…」ぐすっ
青「なんで熱出るまで泣いちゃうまで我慢しちゃうのよw」
桃「無理すんな」
黄「多少の無理は付き物です…w」
震えた声で、そう言う黄ちゃん。
多少の無理は、ね?
赤「黄ちゃんは、無理しすぎかなぁ、」
桃「しすぎはダメって自分でも分かってんだろ?」
青「紫ーくん見てたでしょ〜?」
黄「んぅ、!だって、!」
赤「だって何?w」
なんとか反撃しようとする可愛い黄ちゃんの頭をふわりと撫でる。
負けたくない、怒られたくない、そこは黄ちゃん昔っからだなぁ
黄「おこる、?」
また泣きそうな顔になる黄ちゃん。
桃「そりゃ、怒るよ。でも、今は!」
軽い黄ちゃんをひょいと抱き上げた桃ちゃん。
桃「今は、体調治そうな」
黄「、」
青「眼鏡借りたけど、今目見えてる?」
黄「、??」
赤「聞こえてる、?」
黄「わかんない゛ッ、」
少し震え出す黄ちゃん。
痙攣、?
黄「けほっ、ごほッ、」
我慢してた糸がとけた瞬間溜めていた症状がドッと出てきた。
我慢してた分、酷くなっているんだと思う。
黄「ごぽっげぽッ、ぉえ゛っ、」
赤「あぁあぁ、吐いちゃったか、」
桃「ちょっと青袋、!」
最近食べれてなかったのか、嘔吐物に食べ物が少ししか含まれていない。
桃「大丈夫だからなぁ、」(背中撫
だんだん荒くなっていく呼吸。
額から流れてくる汗をハンカチで拭ってあげる。
でも、本人は寒いみたいで、身体を縮めて桃ちゃんにくっついている。
黄「ぅえ゛ッ、、ッッ」
桃「我慢しちゃダメ、全部吐こ」
吐くのが怖くなってしまったのか、桃ちゃんの呼びかけにも首を振っている。
桃ちゃんの服がしわくちゃになるくらい強く握っている黄ちゃん。
青「袋ッ、それと、あと毛布!」
桃「抱っこの体制きついでしょ、?」
黄「いや゛ぁ、」
桃ちゃんが黄ちゃんを下ろそうとするけど、嫌がる黄ちゃん。
桃「大丈夫、隣にずっといるから」
どうやら、離れちゃうのがいやだったらしい。
流石桃ちゃん。
黄ちゃんのこと、メンバーのこと、全部お見通しだね。
ソファに4人で座る。
桃ちゃんのお膝の上に黄ちゃんが座り、両サイドを俺と青ちゃんで固める。
青ちゃんは袋を持ち、俺は毛布をかけて黄ちゃんの太ももを一定のテンポでトントンする。
3人に囲まれた安心感でまた嗚咽を漏らし始める黄ちゃん。
桃「ゆっくりでいいから、全部吐こうな」
黄「ぉえ゛っ、ごぷッ、」
吐き終わったら、またぽろぽろ涙をこぼす。
普段全然泣かない黄ちゃんだからこそ、ほんとに辛いんだろうなぁと感じさせられる。
桃「吐けた、?」
黄「んッ、」(頷
桃「頑張ったな」(頭撫
赤「口濯ぎに行こっか」
俺の肩に寄りかかって歩く黄ちゃん。
ところどころ立ち止まったりはあるけどなんとかトイレの洗面台についた。
赤「口あーんして」
黄「あー、」(口開
赤「はい、ぐちゅぐちゅー」
口を濯げたら、また俺に寄りかかって歩く。
桃「寝に行くぞ」
黄「ん、」(手広
桃ちゃんが黄ちゃんをお姫様抱っこして、事務所の寝泊まりできるお部屋まで4人で歩く。
歩いてるのは3人だけどw
眠かったみたいで、ベッドに横になったらすぐ、寝息を立て始めた。
そんな姿がどこか幼くて。
青「てかさ、僕達いなくなってたら黄くん拗ねるかな?w」
桃「また、大泣きよ」
赤「可愛いからいいけどね、w w」
青「一緒に寝てやるかぁ」
桃「スタッフさんもいるし俺ら寝てもなんとかなるっしょ」
赤「おいw w」
ちゃんと治そうね黄ちゃん。
もう無理しないでね。
コメント
6件
時差ごめん😢 黄ちゃん最高に弱ってて最高過ぎる👍 大好物!
も う ほ ん と に 天 才 で す か ! ?(?) 最 高 す ぎ る ✨✨