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この作品を読むにあたっての注意⚠※男監督生
※監督生愛され
※腐向け
※誤字脱字はお友達
※語彙力は友達じゃなかったみたいですねとても残念です
※監督生が皆から謎に好かれているため、エースがセコム役として見守っている話です
※監督生は不思議ちゃんです
今回監督生が泊まる先はハーツラビュル寮です
少しエー監♂要素がでてきますので、エー監♂のタグつけました。
時間感覚バグですのでおきをつけを…………。
それでも構わないという方ありがとうございます!
この物語はあらゆる人から気に入られる監督生をエースが見守って追っかけているエースセコム回になっています
ハーツ編は1日目と2日目にわけます
それではどうぞ!
✧…✧…✧…✧…✧…✧
最近監督生がヤバい人達に好かれまくってる件について【10】〜inハーツラビュル寮編1日目〜
目次
1, 安心パーティー
2, 結構危機
3, 楽しい時間
4,意外と近くて
1, 安心パーティー
今日は監督生がハーツラビュルに泊まりに来る日だ。
ハーツラビュル寮生には、監督生に告白したものは何人かいるが、要注意人物は今のところいないためひとまず安心して迎えられそうだ。
朝から監督生たった一人と一匹のグリムの歓迎のために準備する者たちが続出していた。トレイも、監督生のマブである自分たちに、監督生はどんなスイーツが好きか聞かれた。リドルの顔は普段よりもずっと明るく、笑みを浮かべながら鼻歌を歌っているくらいだ。
(もうすぐ来るはず…)
エースはデュースと共に、ハーツラビュルの玄関まで駆けた。
玄関に行くと監督生が2日分の荷物を背負い、グリムと楽しそうに会話しながら此方へ歩いてきている様子が見えた。
「監督生ー!」
「まってたぞ!」
二人は玄関から飛び出し、監督生達を出迎えた。
「おー!エースにデュース!」
「お邪魔します!」
明るい二人の返しにこちらも楽しみになってくる。
リドルたちは監督生達のためにパーティーやお茶会を予定しているため、沢山美味しいものが食えるとエースにとっても好都合だった。
エースとデュースは監督生達をリドル達の元へ案内した。
✧
「やぁ、監督生、今日はわざわざありがとうな」
「やっほーっ!監督生ちゃん!今日から2日、よろしくねっ!」
談話室に入った途端出迎えてくれたトレイとケイトに監督生は笑顔でお礼を言い、リドルのところへ行った。
「今日から2日間の間、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。監督生」
ペコリと頭を下げる監督生に、リドルは普段見せないような笑顔を浮かべて返す。
「この後ハーツラビュルの庭でパーティーを開くんだ。キミも参加してくれるかい?」
リドルの言葉にパァッと顔を明るくさせて「勿論です!」と答える。
「よーしっ!きまりだね!んじゃっ、これから準備があるから、一年生ちゃんたちは部屋でゆっくりしてて♪」
「俺らもいいんすか?!」
「当たり前だ。監督生と仲が良いのは君達だからね。」
『ありがとうございます!寮長!』
2人は元気よく礼を言うと監督生を部屋に連れていき、パーティーの準備が完了したという知らせが入るまでの間、皆で遊ぶことにした。
暫く遊んでいると、トレイとケイトから準備が出来たとの報告が入り、エース達は庭に向かった。
✧
庭に着くと、豪華なケーキや、輝く苺がたっぷりとのせられた苺タルトに、焼きたてのクッキーやカップケーキ等が、色とりどりに配置されていた。
料理はとても美味しそうで、甘い匂いが食欲を増加させる。
「うっひょ~!!うまそ〜〜〜!!!!」
「本当だ!どの料理もすごく美味しそうだ!」
「ね!食べるのが楽しみ!これ全部手作りかと思うと恐ろしいほどだね…!」
「オレ様、待ちきれないんだゾ!早く食べたい!!!」
目の前の料理に目を輝かせながら喜ぶ一年生達の姿をトレイとケイトは微笑ましそうに見つめた。
✧
「うっまー!!!」
苺タルトを食べたエースが目を輝かせた。
「だろう?これは自信作なんだ。あとこのケーキも美味いぞ?」
「食べます食べます!!!」
「やっぱりクローバー先輩が作るスイーツは格別ですね」
「さっすがトレイなんだゾ!」
「本当においしいです!ありがとうございます!」
全員が白いテーブルクロスの上にのるタルトやスイーツを頬張っていた。
「ああ、そういえば監督生、リドルがお前にあるものを作ってきたそうだ」
トレイがチェリーパイを食べる監督生に言った。
「え?なんでしょう?」
「さぁな、見てのお楽しみだ」
トレイはフッと笑い、リドルをこちらへ連れてくる。
「か、監督生…」
リドルは口籠りながら少し恥ずかしそうにしている。
「そ…その…これ……」
リドルは監督生へ白い箱を差し出した。
「これは?」
キョトンとする監督生に、リドルは開けてみてほしい。と一言。
パカっとその中を開くと、そこには少し不格好なフルーツタルトがあった。
「わぁっ!美味しそう!」
キラキラと光るフルーツが上に不格好な形にカットされていて、生クリームがタルトの生地から少しとび出る感じに絞ってある。
「フフッ、もしかして、リドル先輩が作ったんですか?」
監督生はリドルが不器用ながらも頑張って作った感のあるタルトを見て笑みが溢れる。
リドルに問うと、「そ、それが何か」と照れながら返された。
「が、頑張って作ったんだ…。食べてくれるかい?」
「はいっ!勿論です!」
不格好でも、一生懸命作ってくれた思いが込められていると思うと、その不格好さが心を温かくしてくれる。
「リドルくん、結構前から作り方の勉強して、めっちゃ頑張って監督生ちゃんのために作ってたんだよっ☆」
ケイトの付け足しにリドルは顔をさらに赤く染めた。
「そうそう、リドル、沢山失敗してたよな。俺が手伝おうかと言っても、一人でやるって聞かなかったんだよな」
ニヤニヤと笑う3年生2人にリドルはからかわないでくれと恥ずかしそうに叱っていた。
「そうだったんですか?!わざわざありがとうございます!!美味しくいただきます!!」
監督生が無邪気な笑顔を見せてお礼の言葉を述べると、リドルは照れくさそうに笑った。
「なになに!?リドルの手作りタルトか!?」
「あっ!あの時のリベンジっすか?」
「これは…フルーツタルトか?!」
タルトをきり分けている途中、グリムやエースやデュースが寄ってきて、リドルのタルトを興味津々に見る。
「まあね、前はオイスターソースを入れて失敗をしてしまったから、今回はなるべく気をつけたのだが…。口にあうかどうかはわからないけれど…」
「3人も食べる?」
『食べる!!!!』
監督生はリトルの作ったタルトを等分に切り分け、皿によそる。
「監督生が…上手くきり分けられてる!!??」
「なんだか少し安心するな…」
「コイツ、この前は指切ったり鍋一つ再起不能にさせてたかんな!この前は爆発音がして怖かったんだゾ…」
「鍋を再起不能に!?」
3人の言葉にケイトがありえない!と声をあげる。
グリ厶は笑いながら配られたタルトを見た。
「にゃははっ!やっぱり子分は料理ヘタクソなんだゾ!リドルもだけどな!」
「んなっ!一生懸命作ったんだ…!別にいいだろう!」
リドルはムスッとした表情をみせる。
「あははははっ!!」
皆で笑うと、リドルと釣られて笑っている。
「んじゃっ、リベンジがうまくいってるか、俺らが審査しよーぜ」
「ああ。食べるのが楽しみだ!」
「よっしゃー!いただきなんだゾ!!」
「いただきます!」
パクリと一切れのタルトを口に入れた。
「!!!!」
「ど、どうだい?」
『めっちゃくちゃ美味しい!!!/美味しいです!!!』
皆一斉に笑顔を浮かべてリドルの作ったタルトを称賛した。
リドルもそれを見て嬉しそうだ。
「見た目はアレだけど中身は美味しいんだゾ!!」
「なっ、!グリ厶!!余計なことを言うんじゃない!」
「まっ、味よければ全てよしだろ!」
エースの呑気な言葉に全員が声を上げて笑った。
ケイトとトレイはニコニコしながら後輩達の楽しそうな姿を見守っていた。
✧…✧
ガヤガヤと賑わうパーティーの中、エースとデュースは話し合っていた。
「おい、エース」
「あ?何だ?」
「その…あれ…オンボロ寮の夜に話した話だ。」
エースは「あー、それか!」と手を叩く。
「ああ。一応、ハーツラビュル寮の時は大丈夫なんだよな?」
「……いやぁ〜………」
難しい顔をするエースにデュースは「もしかしてこの寮にも、?」と問う。
「いや、まあハーツラビュル寮にも沢山いんだけどさ、それは俺でも対処できるから大丈夫なわけ。でも、例外がいるわけ。それがリーチ先輩とかレオ先輩とか。危険人物。何考えてるか分かんねーし監督生に手出しまくってるし。」
エースはあれこれ思い出して溜息をつく。
「まあ、そういうやつらから監督生を守ってほしいの」
「でもなんでシェーンハイト先輩やバイパー先輩がそこに入ってたんだ?」
「あー、それは、あの人達はまっじで慎重派だから危険。ヴィル先輩に関してはこの前監督生にキスしたって言ったじゃん!!」
「ああ!忘れてた!!」
「いや忘れんなし!!!」
エースはニ度目の溜息をつく。
「まあ、今のところまだ目立った奴はいないけど…」
「けど?」
「今さっき気づいたんだけどリドル寮長とトレイ先輩あたり少し怪しい気ぃすんだよなぁ〜」
「ええ!?あの二人が!!?」
「なんっか怪しーんだよな、」
デュースは小さな頭で思い返してみる。
「確かに、ローズハート寮長は監督生のためにタルトを作っていたな。」
「っそ。それ。リドル寮長はその時の態度が明らかに変だったわけ。」
「じゃあクローバー先輩は?」
「それは日常かなー」
「日常?」
エースは近くにあった一口サイズのマカロンを口に放り投げてから話す。
「なんか、トレイ先輩やけに監督生に過保護なんだよな」
「それはただ監督生が心配なだけじゃないのか?」
「いやぁ~俺の目をなめてはいけませんねぇ〜デュースくん。」
エースはニヤリと笑った後、またまた溜息をついた。
一体今日だけで何回目だろうか。
「何回見てきたと思ってんだよ、そんなの一瞬でわかる。明らかに監督生をずっと見てるしハーツラビュルでも監督生の好きな食い物俺にしょっちゅう聞いてくんもん。それを隠れて監督生にあげてるところ見てさ、これぜってぇ〜好きやんってなったわけ。」
「なる程、、、、な……?」
「いやぜってぇーわかってねーやつじゃん!!」
「いやっ、ま、まあ、取り敢えずローズハート寮長とクローバー先輩をマークしておけばいいか?」
「ん~…ああ、よろしく頼むぜ」
エースはそう言うと、皿を持って向こうにあるケーキを取りに行った。
デュースの頭にはいまだに「?」が浮かんでいた。
2, 結構危機
ハーツラビュルのパーティーが終わり、監督生とグリムはエース達の部屋でトランプゲームや人狼ゲームを楽しんでいた。
パーティーはスイーツなどを食べるだけではなく、特別にクロッケー大会をしたり庭にいる全員で色々なゲームをしたりなど、皆が楽しめる事をした。
身も心も腹も満足したままパーティーは終わり、フリータイムの今はこうしてゲームをしているわけだ。最初は同じ部屋の人達はエース達とは別の行動をとっていたが、最終的には一緒にゲームを楽しんでいる。
遊んでから暫くして、一回休憩に入り、夕飯を済ませてダラダラとくつろいでいた時。
「お前たち、そろそろ風呂にはいれよ」
と、トレイが部屋にいる皆に声をかけた。
「え??!もうそんな時間?!」
エースの言葉にデュースも「時が経つのはあっという間だ…」と驚く。
「それじゃっ、そろそろ風呂はいるかっ」
エースは伸びをしながらベッドの上からおりた。
「監督生も一緒にはいるか?」
「え、僕?うーん…どうしようかなぁ…」
(………は?)
デュースの言葉にエースは一瞬呆然とした。そしてすぐに自分の意識を取り戻し、監督生の肩を掴んで言った。
「いやいやいやいや!!!か、監督生は一人で入りたいよな!!??な??」
「え?あ、うん、そのほうが安心するかも」
「ほら、、!やっぱ監督生は一人で入るから、俺らで先に入ろーぜ、、!!」
(あっぶねー……!!!!あの監督生の事だから大浴場に全裸でいたら変な奴らに見てないとこで犯される可能性大だろ…!!!そういう事が起きなかったとしても面倒事が増えるだけだし!!!!!!)
エースは監督生の変に遠慮をしない素直な返しに胸を撫で下ろす。
前は個室も使えたのだが、一部が故障したらしく、現在は修理中なため使用ができなかった。
監督生に大人しく部屋でスマホでもいじっていろと言って、エース達は大浴場に向かった。
監督生は近くにあったエースのベッドの上でゴロゴロとくつろいでいた。
✧…✧…✧
「もう全員入ったな?」
ガチャリと部屋の扉が開く音がして監督生は咄嗟に起き上がる。ドアの先にいたのはトレイだった。
一人だけ部屋にいる監督生を見て少し驚いたような表情を見せた。
「お前は1年達と入ってないのか?」
トレイの問いに監督生はこくりと頷く。すると、トレイは少し微笑み、部屋へ上がってきた。
「丁度良い。監督生、お前に食べてほしいスイーツができたんだ。試少し食べに来てほしいと思ったんだが、どうだ?」
トレイの言葉に、監督生は一気に顔色を晴れやかにさせて「食べたいです!!!」と元気よく答えた。
監督生はトレイの作るスイーツが好きだ。毎回、その言葉を発する度に監督生が喜ぶ姿をトレイは微笑ましく見ている。
✧
ハーツラビュルのキッチンに着くと、そこには沢山の料理器具やお菓子の材料、フルーツが置いてあった。その景色を見るだけでも不思議と楽しさを感じる。
トレイがキッチンの奥にあるオーブンを開けると、同時にスイーツのいい匂いがした。
「これは少し飾り付けを変えた苺タルトだ。そしてこっちはお前が好きなスイーツがのったカップケーキだ。沢山種類があるから好きなやつから食べてくれ。あとはここにココアクッキーも用意してあるぞ。余ったスイーツを合わせて作ったミックスジュースもあるから良ければ口直しに飲んでくれ。」
どんどんと監督生の座る目の前の机の上にお店で見るようなスイーツが沢山運ばれてくる。相変わらずスイーツを振る舞うときのトレイの表情は楽しそうだ。
監督生はスイーツを見て目を輝かせた。
「これ全部食べていいんですか!?」
「ああ。なんてったってお前のために作ったんだからな」
トレイは眼鏡を触りながら微笑む。
監督生は沢山お礼を言うと、用意された、持ち手の上に小さなうさぎの形があるナイフやフォークでタルトやカップケーキに手をつけた。
始めに、生クリームと苺がたっぷりとのった苺タルトを口に運んだ。
「どうだ?」
トレイは監督生の反応を毎回期待しながら見守っている。
「んん!!!めっちゃくちゃ美味しいです!!!」
「そうか、!それはよかった。」
「この飾り方もおしゃれで可愛いですし、タルトの生地がサクッとしてて、程よい甘さが口いっぱいに広がって凄い美味しいです!」
反応に満足したトレイは顔中満面の笑みを浮かべる。
笑顔でどんどんと食べ進める監督生の姿は幼い可愛い子供のようだ。
そんなことを考えているうちに、監督生はあんなにあったスイーツをあっという間に食べ終わらせていた。
「ご馳走さまでした!!トレイ先輩!美味しかったです!今回もありがとうございました!」
「ああ。こちらこそありがとうな。そういえば、最後に小さなマーブルケーキがあるんだ。それも食べるか?」
「いいんですか!?」
トレイが頷くと、監督生はパァっと顔を輝かせた。
監督生の目の前に一切れのマーブルケーキを置くと、トレイは監督生の正面から、隣の椅子へと移り座った。そして、その席から彼の姿を見つめた。
ああ。……やっぱり、愛おしい。
トレイの頭の中は、それでいっぱいだった。
「?そんなに見てどうしたんですか?僕の顔に何かついてますか?」
あまりにも鈍感な発言につい笑ってしまう。
「ハハハッ!いやいや、違うぞ。………ただ、お前が可愛いと思ってな。」
「え?可愛い…?僕が?」
「ああ。本当に、愛らしくて、愛おしい。」
「それって…どういう…」
「分からないか?ははっ、監督生は鈍感だなぁ。一応これでも告白のつもりなんだがなぁ。」
苦笑するトレイと反対に、監督生は意味がわかってみるみると頬を赤く染め上げた。
「やっと意味が分かったか」
にこっと笑いながら見つめると、監督生は持っていたフォークを手から落として固まってしまう。
監督生はただ鈍感なだけで、人から明確な好意を向けられたら普通に顔を赤く染めて照れる。
鈍感だから、それまでの小さなスキンシップはよく分からずにいるが、今のトレイのような告白は、彼にもわかる明確なものなため、このような反応になっている。実際ヴィルに口付けされた時も同じだった。一応監督生もまだ高校一年生で、年相応の心を持っているため当然だ。
トレイはそんな彼の熱くなった頬に優しく触れた。その頬の熱さは全て自分に対してのものだと思うと嬉しくなった。
「ト、トレイ…先輩……?」
そっと監督生の方へ顔を近づけた。だんだんと。距離が近くなる。もう少しで唇に触れる所まで来て、トレイがぐっと顔を更に近づけた。
もう唇が触れ合う。そう思った時_____。
「監督生ーーーーーーー!!!!!!!」
その声に、二人は驚いて振り向いた。
3, 楽しい時間
「監督生ーーーーーーーー!!!!!!!」
その声に驚いて二人は振り向いた。
その先にいたのは、なんとエースだった。
エースは風呂上がりなのか、髪はびちゃびちゃに濡れていた。
「エースじゃないか。こんな所でどうしたんだ?」
先程の事がまるで無かったかのような振る舞いをするが、エースは鋭い目つきでトレイを睨んだ。
「どうしたんだじゃないっすよ!!今監督生に何しようとしてたんですが?!!今完全にキスしようとしてましたよね?!俺等の観てないところで!!」
「ははっ、誤解だな。監督生の顔にゴミがついていたから取ろうとしていただけだよ」
「そんな嘘、俺には通用しないっすからね!!」
エースはトレイをもう一度睨むと、監督生の腕を掴み、「早く部屋に戻るぞ」と言って、キッチンから出た。
「………流石だよ。やっぱり監督生のことになると彼奴はどこにでも来るんだなあ。」
そうして、トレイは一人で苦笑した。
✧…✧…✧…✧
「……」
監督生はエースに腕を掴まれたまま廊下を歩いていた。
「…ねえ、エース」
「何?どうかした?」
「……いや、…めっちゃ髪濡れてるなって」
先程から握られた腕に何滴もの水が落ちてきていて気になったため問う。
すると、エースは「はぁ~〜〜〜〜〜〜………!!!!!」と、声を出しながら大きな溜息をついた。あまりにも大きかったので一瞬びっくりしてしまう。
「お前を放っておくと勝手にどっかいって事件が起こるから、わざわざ優しい俺が急いで駆けつけたわけ!なんか風呂はいってたら急に嫌な勘が働いたからさぁ」
「…そうだったんだ……」
「そ!んで、部屋に戻ったらお前がいなかったからもしかしてと思って駆けつけたわけ。そしたら想像以上でトレイ先輩とキスする寸前だったの!」
「はい……勝手に部屋を出ていってごめんなさい」
「まあ今回は悪いのはお前じゃないけど。気を付けろって話」
エースは監督生の頭をわしゃわしゃっとする。
「……なんか申し訳ないからエースの髪乾かすよ」
「え?いいの?」
「うん、そこまで僕のこと考えてくれてるとは思ってなかったからさ」
監督生は少し照れくさそうな表情を見せる。だからこちらもなんだか照れくさくなってしまったから、彼から自然と目を逸らす。
部屋の扉を開けると、デュースが、グリムを肩に乗せながら二人の頭をぽカッと叩いて、二人ともいないから心配した!!と言ってきた。
「エースなんて、俺らが入浴の途中で急に出ていったからびっくりしたぞ」
「そうなんだゾ!コイツ急に「なんか監督生が危ない気がする!!」とかいってびちょ濡れのまま飛び出してったからな!!」
監督生は驚いた顔でエースを見ると、エースは「ま、色々あったんな」と言ってベッドに身を投げた。
「おいエース!びちょ濡れのままベッドに寝るな!」
「あっ!僕が髪乾かすんだった!」
「わりっ、じゃあ頼むわ」
✧…✧…✧…✧
「……エース、監督生に何かあったのか?」
「なんかトレイ先輩が監督生にキスしようとしてた」
「キっ……!!!!!!!!」
「静かに!!!!」
エースはデュースの頭をバシッと叩く。
「……なる程な…だから飛び出したのか…。」
「そうだよ。俺が来た時に丁度寸前で監督生の顔真っ赤だったぜ?」
「…あれ?でも監督生ってリーチ先輩から、その…、掌にキ、、キスされた時は、普通にキョトンとしてなかったか…??」
デュースの言葉にエースはわかってないなぁ〜とデュースの肩を叩く。
「監督生はなぁ…鈍感すぎて、唇にキスするか「好き」とか「愛してる」みたいな明確な告白をしない限り彼奴に届かないんだよ」
エースは自分で言った言葉に肩をすくめる。
「ああ、。…なんというか…その…すごいな…。?………でもなんで監督生がトレイ先輩の所にいるって分かったんだ?」
デュースの問いに、エースは少し考え、「セコムの勘?」と呆れながら笑って答えた。
✧…✧…✧…✧
「じゃあ僕お風呂入ってくるね」
「おー、いってら〜」
ハーツラビュル寮生達が入り終わった後に、監督生は持参したタオルや着替えをもって大浴場に向かった。
✧…✧…✧
「うわぁ〜!あったか〜い!!」
湯船に浸かった体は言うことを聞かずに力が抜けていく。それほど気持ちがよく、目を閉じると眠くなってしまう。
薔薇の香りがするお湯を手ですくって肩にかけると更に気持ちがよい。
エース達はこんなに良いお湯に毎日入っているのかと思うと羨ましく思える。
誰も入ってこないと信じ込み、暫く一人で湯船を楽しんでいると、大浴場の入り口から足音が聞こえてきた。
びっくりして思わず声を上げると、白い湯気でよく見えないが、そこから見覚えのある声が「そこにいるのは誰だい?」と問ってきた。
「もしかして…リドル先輩?」
この声はと思い、尋ねてみると、どうやら正解だったようで、「その声は監督生かい?」と尋ね返してきた。
湯気が取れると、白いタオルを身体に巻いたリドルが立っていた。
「あれ?もう全員入ったんじゃないんですか?この時間帯は皆入り終わってるはずだってデュースが言ってましたけど……」
「ああ、それはね、今日は学園長へ提出する資料を作っていたから、入るのが少し遅くなったのだよ。」
「そうだったんですね!」
一瞬監督生は驚いたものの、知り合いのリドルだったので安心する。知らないハーツラビュル寮生と2人きりになるより全然良かった。
だが、一つ問題があった。
(話題が………ないっ…!!!!)
リドルとの間に流れる沈黙に焦り始めていた。
別に何かを話さなくてはならないことはないのだが、普通に気まずいのだ。
こんな気まずい空気の中では、せっかくのオンボロ寮のお風呂とは別格の気持ち良いお湯を楽しない。
なんとか話題を振らなければと焦っていると、リドルが体を洗い終わったようで、シャワーのお湯で全身の泡を流し、監督生の隣へ座り、お湯につかり始めた。
流石に真隣はないと思ったのに……。と監督生は頭を抱え、このフロイドよりも会話を続けるのが難しそうなリドルが興味を持ちそうな話題を振ろうとする。が、一向に思いつかずに、これ以上の沈黙はまずいと思い、咄嗟に言葉を発した。
「このお湯とても気持ちいいですね!」
そう。ただの感想だ。少しでも会話が続けば…。という願いを込めてリドルに話題をふると、そうだろう?!と顔を明るくして返してくれた。
「このお湯の薔薇はハーツラビュル寮の庭に生えている薔薇が使われているのだよ。とても良い香りだろう?喜んでもらえて良かったよ」
たった「このお湯とても気持ちいいですね!」のひと言にそんなに嬉しそうにするリドルに少し驚いてしまう。
とにかく「それはよかったよ」という寂しい吐き捨てたのうな一言で終わらなくて良かったと胸を撫で下ろす。
「キミは今日楽しかったかい?」
「あっ…、はい!とても楽しかったです!わざわざパーティーを開いてくださってありがとうございます!」
「こちらこそ。ハーツラビュル寮へ来てくれてありがとう。エース達から聞いたときは驚いたよ。キミは前にも何回か泊まりには来ていたけど、いつもそれは急に決まったことだったから準備が不十分だったんだ。今回は十分に準備の時間が取れたからキミをもてなすことができた。本当によかったよ」
向こうから話題を振ってくれたことに内心感謝する。
「そうだったんですか笑?あ、でも確かにいつも僕がハーツラビュルに泊まりに来る時って、その日に決めてすぐに行くってかんじでしたね。」
その通り、いつも学園でエース達と泊まりたいねという話をして、急に泊まっているのだ。
前にハーツラビュル寮にグリムと一晩過ごすための荷物を背負って入った時にはリドルやトレイ達から大変驚かれ、慌てて紅茶やらティーセットやらお菓子やらを用意しに行っていた。その姿を見て監督生はいつも申し訳なさそうにしながら真っ赤なソファに腰掛けていたのだ。
「でも、準備とか大変じゃないんですか?僕とグリ厶だけなのにわざわざ…」
「いや、いいのだよ。キミ達が喜んでくれるのなら、僕はどんな準備でも行うよ」
リドルの優しい声に思わずキュンとなってしまう。
そんなイケメンな台詞どこで覚えたんですかと思わず聞いてしまいそうだったが、寸前でギリギリ止まってくれた。
「本当に何から何までありがとうございます!」
「ふふっ、よければまたおいで。いつでも歓迎するよ」
「じゃあ、また来てもいいですか?」
「勿論さ。」
ニコリと微笑まれ、自然とこちらも笑顔になってしまう。
こんなに嬉しそうな表情をしているリドルをみるのは始めてで、不思議な感覚に襲われた。
(意外とリドル先輩と会話続くな…。それにイケメン台詞まで大量に…。しかも少し楽しいかも…)
そんなことを考えていると、リドルは湯の中から立ち上がった。
「もう出るんですか?」
「ああ。湯船に浸かる時間は10分から15分が世界的には推奨されているからね。キミもそろそろあがったほうがいいよ」
「は、はい、!じゃあ僕もそうします、、!」
監督生もリドルへ続き勢いよく立ち上がった。
すると…。
グワンッ
「っ!!??」
突然監督生の視界が暗闇に包まれた。平衡感覚を失い、監督生は立つことができなくなり、倒れそうになってしまった。
「監督生!!!!!」
リドルは咄嗟に監督生の方へ向かい、湯船の中へ入り、倒れそうになった監督生をキャッチした。
「大丈夫かい?!監督生!!」
意識はあるのに、ぼーっとしてしまい、脳がショートしたようになっていた。
「これは貧血だね…。普段鉄分をあまりとっていないことと、僕よりも大分長いこと風呂の中にいて、急に立ち上がった事が原因だろう。僕の肩にしっかり掴まって。」
「…、す……いま………、、せ、、…ん…、」
「別にどうってことないよ。」
リドルは監督生と肩を組んだまま、浴場を出て、着替え室にある椅子に座らせてやった。
「大丈夫かい?少し落ち着いたか?」
「、はい…!さっきより大分落ち着きました…!ご心配おかけしました…」
監督生はペコリと頭を下げる。
「はぁ…。もう、まったく、日頃から気を付けるように」
「はい…」
監督生はもう一度頭を下げると、自分がタオル1枚なことに気がついた。というより思い出した。リドルが来てから気まずい空気を変えることに必死で忘れていた。
その途端顔が熱くなる。
リドルも同時に気付いたらしく、目の前で固まっている。
「…………」
「…………」
「と、取り敢えず、……き、着ましょうか……。」
「そ、そうだね……。」
ゴホンと咳払いをして、リドルは着替えが置いてある場所で服を着た。
監督生も、エースが街の店で選んだ、水色とグレーの少しお洒落なパジャマに着替えた。
✧…✧…✧
着替え終わり、リドルと共に廊下へ出た。
「じゃあ僕は部屋に戻ります!ではまた明日!」
監督生は元気に手を振ると、リドルは少し何か言いたげな表情を浮かべた。
「…どうしたんですか…?先輩…?」
「あ、…あの……良かったら…の話なのだが…これから少し時間があれば、共に、紅茶を飲みながら話をしないかい…?」
リドルは少し恥ずかしながらも監督生に提案した。どうだい?と返事を待つ顔がほんのり赤い。
「勿論です!!」
「本当かい!!??よかった、。じゃあ、今から僕の部屋へ向かおうか」
「…何で部屋なんですか?」
「談話室だと色々邪魔が入りそうでね。あ、そうだ。お菓子も用意してあるよ。」
「お菓子!!?」
先程トレイの所で食べたというのに、まだ食べ足りないのか、お菓子の言葉に反応する。
実は監督生、最後に出されたマーブルケーキを最後まで食べれなかったことが心残りなのだ。
トレイに口付けをされそうになり、焦って忘れていたが、あらためて思い返すと何故あの時エースに連れてかれる前に食べていかなかったのだと少し後悔する。
監督生はこう見えて、テレビに出てそうなくらいの大食いなのだ。
見た目は細くて痩せて、初期の頃はみんなに心配されたが、沢山食べる監督生を見るうちに、食のことに関しては特に心配ないかもと安心するようになったとのこと。
でも一部は学園長がその他の食事を与えていないからではないかと話す者もいた。
そんな人達を気にせずに食べ続ける監督生を、いつもエースは呆れながら笑って見守っていた。
✧…✧…✧
リドルの部屋に着くと、監督生は、赤いフカフカの椅子に座らせられた。リドルはお洒落なティーカップや、ティーポットを並べて、最後にチョコレートやクッキー等のお菓子を添えて監督生をもてなした。
「わざわざありがとうございます!でも、何から何まで本当にすいません…、。パーティーの準備もさせちゃったし…、貧血で倒れそうな時にも助けてくれたし…。」
「いや、礼を言うことじゃないよ。僕が好きでやっていることだ。それに今のこれは僕が言い出したことなのだから。監督生は気にしなくていい。」
リドルはまた微笑み、向かいの席から監督生の頭を黒い手袋をした手で優しくポンポンッとした。
監督生はいつもとのギャップにまたもや惚れかけてしまう。
僕は苦笑しながら、今日は何十回も言ったであろう礼を言った。
✧
それからリドルとは会話が途切れることなく話し込んでしまった。
普段の生活のことや、エースとデュースの普段の態度、そして学園生活の大変な所から、監督生の元の世界の話まで、他にも、もういいよというくらい沢山のことをリドルと話した。大浴場で二人だけになったときの最初の気まずさは一体何だったんだと思うくらい、リドルとの距離が縮まった気がする。監督生は、あまり知らなかったリドルの事について話せて満足をしていた。
「あっ、もうこんな時間!!エース達が心配しちゃうっ、!」
チクタクとなる時計の針は夜遅くを示していた。
「僕はもう部屋に戻ります!歯も磨かないといけないですし」
部屋に戻ろうとする監督生に、リドルは少し悲しげな表情を浮かべた。だが、規則は規則だ。リドルは監督生にまた明日。と告げた。
「はい!また明日もよろしくお願いします!」
そう言い、監督生はペコリと頭を下げた。
廊下に出て歩く監督生の後ろ姿をリドルはムズムズしながら見つめた。
「……」
気付けばスタスタと、廊下を出て、監督生の方へ歩み寄っていた。
「あれっ?リドル先輩…?こちらに何か用でしたか?」
監督生は問うが、リドルは無言のままだ。
監督生は戸惑い、この短時間にリドルに何かあったのかと心配になったが、それも束の間。
気付けば、頬に、ちゅっ、と音を立てて、リドルが口付けていた。
「ヘ、、??」
「そ、…それじゃあ。良い夜を…」
「え…、、あ、……は、い……??」
監督生は混乱状態に陥っていた。
今の出来事と、トレイとの出来事が頭に同時に入ってきて脳の整理が追いつかなくなる。
(今…………ほっぺに…キス……された…、?)
監督生は頬を真っ赤に染めてその場に立ち尽くしてしまった。
✧…✧…✧…✧
4,意外と近くて
「ちょっと!!!!監督生!!!戻るのが遅いっ!!!!」
「はいっ……すいませんでした…。リドル先輩とお茶してました…本当にすいませんでした」
監督生は怒るエースに土下座をした。
帰った時刻は11時過ぎ。なかなか監督生が戻ってこないため、エース達はトランプゲームを中断して、わざわざ風呂場を見に行ったら監督生がいなく、どこ探しても見当たらなかったため本気で心配したそう。トレイがまた襲ったのかとエースは少し思ったらしいが、本人に聞いても、本当に知らないと言うので、仕方なく今回は信じたらしい。
探し回ること数十分、エースがリドルの部屋付近の廊下を見に行ったところ、監督生が唖然としながら立っていたため、部屋に運んできたそう。
「ったく…本当気を付けろよな!!」
「はい…、これからはエース達に許可をとってからこの部屋を外出します」
「それでよろしい」
2人の会話を聞いてルームメイトも、「なんだコイツら…」と少し引いている。デュースとグリムはこれがいつも通りと呆れながら笑っていた。
エースに許しを得て、それから皆でまたトランプゲームをして遊んだり、◯NOをして遊んだりした。U◯Oでは、監督生とモブ2人とエースの四人が連続で4枚追加のカードを出してデュースの手持ちが大量になり腹を抱えて笑った。
因みに愛してるゲームはモブ2人がいるため封印だそうだ。
そんなこんなしているうちに、時は早く経ち、気付けば深夜を回っていた。
「そんじゃ、そろそろ寝ますかぁ〜。ふぁ〜あぁ…ねみぃ〜…」
エースは大きな欠伸をしてベッドへ倒れ込んだ。
「…あれ、?そういや、監督生はどこで寝るんだ?」
「…え?」
監督生はデュースの問いに「いつもみたいに床じゃないの?」と答えると、エースはそれがさぁ〜と横から割り込んで話に入ってきた。
「リドル寮長が、“せっかくの客を床で寝かせるだと!!?あり得ない!誰かのベッドに寝かせればいい!!”って叱られましてぇ〜…」
「わーお」
「そう本当わーおなんだよ、こんな狭いベッドに2人入んねーっつーの!!」
エースはリドルに対しての愚痴を小さな声でボソボソと言っていた。
「となると、この部屋の4人の誰かのベッドに監督生を寝かせることになるよなぁ」
「え」
デュースの言葉に咄嗟にエースが顔を上げた。
(ちょっ、それはまずいって!!!!!!)
エースは焦り尽くしていた。
(デュースのベッドに監督生を寝かせるとしたら、デュースが寝ぼけて朝に変なことするかもだし…。他の二人の寮生が一番危険だし…だからといってオレは流石にないだろ……!!!!無理無理無理っ!!!!)
考えれば考えるほど策が思いつかない。デュースにどうした?と問われたが気にせず思考を巡らせていると…。
「エースのベッドでいいんじゃね?この部屋の中で一番背ちっさいし」
「あー、言われてみればそうだわ。エースなら監督生と寝ても狭くならなそう」
「確かに!エースなら僕よりも小さいもんな!」
「いやデュースに関しては俺と一センチしか変わんねーだろーがっ!!!!」
「よし、それで決まりなんだゾ、オレ様は眠いから寝るんだゾ〜。おやすみぃ〜………スー……カー……スー……カー」
相変わらず寝るのが早いグリムにもため息が出る。
なぜ自分が、と思ったが、逆に他の3人は信用ならない。まだ自分で良かったのかもしれない。だって自分が手を出さなければいい話なのだ。
エースはそうだと自分に言い聞かせた。
✧
「…じゃ、じゃあ…………監督生、……入るか…、?」
オレは自分の1枚の布団を軽くめくる。
「じゃあお邪魔します」
相変わらず警戒心ゼロの監督生は、オレの布団にすんなりと入ってくる。
「ありがとね。狭くない?」
「そりゃせめぇーよ。でも別にいーぜ」
「ふふっ、ありがと」
相変わらず監督生の笑顔は刺さる。オレじゃなかったらイチコロだぜ?
「んじゃ、おやすみ監督生」
「うん、おやすみ、えーす」
おやすみ。といったものの。
全く寝れない。
意外と二人一つのベッドは窮屈で、動く隙間がない。
仰向けのまま、ちらりと横に寝転がっている監督生を横目で見ると、監督生はわざわざ外側ではなく内側を向いていて、オレに張り付いている状態になっていた。
「??!!!!」
マジでっ……、コイツ…………。
こんなんだからリーチ兄弟やマレウス先輩みたいな特殊なヤバい人にも好かれんだよっ……、!!!!!!
誰が苦労すると思ってるんだ!!!!!こいつは!!
エースは監督生と向き合わない方向へ体を倒した。
すぅ、すぅと監督生の吐息が首元にかかってくすぐったい。
後ろに監督生がいるとなると何故か緊張してしまう。
そんな自分が少し嫌になってきてもある。
「………えーす、おきてる……?」
首元で急に話されたためビクッと身体が跳ね上がる。
小声だから余計にだ。
「ん?どうした?」
何も感じなかったように振る舞うと、監督生は少し恥ずかしそうな声を出してオレに話してきた。
「いや…その…ね…、実は…」
「うん」
「その……リ……リドル先輩に………ほっぺにね、…その……き、……きす…されたの」
「………は?」
オレは驚愕しすぎて固まる。
だが“ほっぺ”という言葉に、唇ではないという少しだけ安心はできる。
元々リドル寮長が監督生に好意を抱いていたことは知っていたが、まさかここまであの人が踏みよるとは…。警戒心が監督生だけではなくオレも足りなかった。
一応、前に監督生がヴィル先輩にキスをされたときから、誰かにキスされた時は必ずオレに言うようにと言ってあったため、素直な監督生はちゃんときいてくれた。
前にそれを言った自分を褒める。
「それで、お前はどうしたの、、?!」
「いや、驚きすぎてその場に立ち尽くしてた。その所をエースに取っ捕まえられたの」
「あー…」
これはあと少し早ければ止められでたかもしれないぞ…。何やってんだオレ…。
はぁ…とため息をつくと、オレは監督生の方向へ寝返りをして、深いことを考えずに監督生と狭い距離で向かい合わせになった。
「お前は本当に警戒心がなさすぎなの」
「警戒心?」
まあ何が問題なのか全く分かっていない様子で。
「そう!実際今お前、オレがお前と同じベッドで、同じ布団にはいって、枕も二人で一つで、なによりこんな近くにオレがよって向かい合わせになっても全然動じねえーし」
「いやだってそれは友達だから…」
「あのなぁ!お前が友達だと思ってても、相手からは友達じゃなくて恋愛対象として見られてるかもしれないだろ!?実際、ヴィル先輩やリーチ兄弟とかマレウス先輩とか、トレイ先輩とリドル寮長だって、お前は普通の友達や先輩だと思ってたけど向こうから向けられてた感情はお前とは違っただろ?」
「………確、かに…?でもフロイド先輩とジェイド先輩は遊びじゃないの?」
まあ確かにあの二人が監督生を好きになって告白してた時はオレも遊びかと思ってたよ本当…。だけど二人は本気なんだよ…。
でも可哀想だよな…笑。日頃の行いが悪すぎるせいで本気で好意を向けても、その相手にはどうせ遊びだろうという捉え方をされているのだ。自分だったら結構傷つくかもなぁ…笑。
「まあ、お前はそういう捉え方でいいんじゃね?」
オレは頭をかきながら笑った。
逆に監督生がリーチ兄弟からの好意に気付いていない方がこちらとしては色々と楽な気もする。
監督生は人からの好意を素直に受け取り、ちゃんと真剣にこたえようとしてしまう。だからもしも、監督生が二人の感情に気付いていたら真剣に向き合おうとして二人から好き勝手されてオレが大変になるだけだ。
それだけはごめんなので、彼自身が気付くまで言わないことにしておく。
「まあ、よくわからないけど、僕はヴィル先輩とかツノ太郎とかトレイ先輩とかリドル先輩に好かれてるの…?」
「うん、めっちゃ好かれてる」
暗闇の中で深く頷く。
電気が消されて部屋の中が暗くても、距離が近いのでお互いの顔は見える。監督生はオレが頷いた姿を見て徐々に顔を赤らめさせていった。
かぁぁぁっと熱くなった監督生のかおから伝わる熱はこちらまで伝わってくる。
「お前いい加減相手からキスされたり告白される前に相手から向けられてる好意にちゃんと気付けるようになれよな!!」
「だって、皆友達だもん…」
「さっき言ったでしょ!相手はそうは思ってないってこと!」
「……………じゃあエースもなの……?」
「え?」
「エースも友達じゃないと思ってるの…?」
「は?」
監督生の言うことが頭に一瞬入ってこなかった。何を言っているんだこの人、と固まってしまった。
どうして0か100しかできないんだコイツは…!!!テストすら満点だし警戒心はゼロだし本当に0か100なんだな…。
オレは思わず溜息をはいてしまう。
「違う、オレはお前のことちゃんと友達だと思ってる。オレはお前に寄ってくる害虫を駆除したり見極めたりしてるだけだからっ」
「害虫…??駆除…、…?」
監督生は頭をぐるぐるさせる。
これは分からなくて当然だ。
フッ、っと笑ってからオレは勢いよく監督生の額にデコピンをする。
「いたぁっ」と小さな声で叫びながら額に手を添えて「なにするのっ!!」と可愛らしく睨んできた。
「まあそういうことだからさ」
「そういうことってなに??」
「そういうことはそういうことなのっ!!!おやすみ!!!」
オレは一方的に話を終わらせて、体を監督生と逆方向を向いた。
だが監督生は向きを変えるつもりはないらしく、そのまま仕方なさそうに「おやすみ」と告げてすぐに寝てしまう。
どうしたらそんなにすぐ寝れんだよ…。
オレはちらりと監督生を横目で見ながら睨み、一人で溜息をついた。監督生と出会ってからずっと溜息ばかりをついている気がする……。
そんなことを考えていると、当然脇腹を触られた感覚がした。びくっとなり、後ろをみてみると、監督生がオレの脇腹をぎゅっと掴んでいた。
すぅー、すぅーと静かな寝息を立てて俺の背中に無意識に息を吹きかけてくる。それがくすぐったくて仕方がない。
「……〜……んぁ……、えーす、、…ぐりむが、…また、〜…」
監督生は寝言を言いながらすりすりと監督生の頭がオレの背中にすがりついた。
段々とオレの鼓動が速くなるのを感じた。
顔がとにかく熱い。
このままではまずいと思い、オレは目を閉じて、一刻も早く寝ようと試みた。
✧…✧…✧…✧
最近監督生がヤバい人達に好かれまくってる件について【10】〜inハーツラビュル寮編1日目〜 終
次回ハーツラビュル寮編2日目に続く〜…✧
#監督生嫌われ
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