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#nrkr
おもち
22
#A
_ ❤︎
149
🎼🈂️ の オリ曲です 。 ✋🏻🎶
“ 知らないよ ❕” って方は是非
聞いてみてから
お読みください 。 😖💭
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夜が深くなると、町の端の花街は、もう誰も近づかなくなった。
提灯の灯りが一つ残らず消えて、湿った石畳だけが、誰かの足音を待っているみたいに光っていた。
私はそこに立っていた。なぜ立っているのかは、もうよく覚えていない。ただ、足が勝手に動いて、ここに来てしまっただけだ。
「澄んだお前を、求めるだけ」
頭の中で、誰かの声がした。低い、掠れた声。男の声なのか、女の声なのか、はっきりしない。ただ、確かにあの声だった。何回も聞いた声。何回も、何回も。
私は自分の腕を見た。白く染まった肌に、紫苑色の紅が薄く残っている。誰かに塗られたのか、自分が塗ったのかもわからない。指先が少し熱くて、血の匂いがした。足りない罪を数えるように、私は指を折った。一本、二本、三本……。もう何本折ったか、数えきれなかった。
一抜けた。
その瞬間、何かが胸の奥で潰れた音がした。芳ばしくない吐息が口から溢れて、足元に広がる。
次の瞬間には、二振り、三度。餓鬼みたいな影があちこちに立ち上がって、私を見ていた。死人の声が花街に満ちて、爛れた屍が寸と五六りと転がる。音がする。湿った音。肉が擦れる音。
増えぬ変わらぬ、輪廻の契り。
消えぬ替わらぬ、壊し繋ぎ怖し繋ぎ。
私は全部を、身血ごと連れていった。個々に輪を作って、繋いで、空を亡くすようにして。さぁ、供に逝こう、と誰かが囁いた。
自分の声なのかもしれない。
嘆き囃子の世が明ける頃、私は独りで何かを喰っていた。枷が消えていく感覚。軽い。重かったものが全部剥がれていく。廻る時に彷徨うて、一人、また一人。憑れて逝くだけ。それが決まりだった。
お経が聞こえた。
罪人因果輪廻生命
罪人不退輪廻生命
罪人三途輪廻生命
罪人死相輪廻生命
罪人御霊輪廻生命
罪人六道輪廻生命
罪人亡骸輪廻絶命
常闇月虹
誰かが唱えている。私自身が唱えているのかもしれない。声が重なって、花街の奥まで響く。常闇に月が虹のようにかかる。綺麗なものではなかった。
ただ、終わりのない色だった。
現世の縛りがまた始まる。逃げ道はない。君を身血連れ、個輪して繋ぎ、空を亡くす。さぁ、供に逝こう。
同じ言葉が、何度も何度も繰り返される。歩き屍の声が響いて、独りで何かを奪う。罪が剥がれていく。
朽ちない時に生かされて、一人、また一人。憑き堕とすの。
そしてまた、嘆き囃子の世が明ける。
私は気づいていた。これが何回目の「廻」なのかを。数えきれないほど繰り返している。
毎回、少しずつ違う。前回は男だった気がする。
その前は子供だった。
その前は、もう誰かもわからない。
ただ、いつも同じ場所に戻ってくる。花街の石畳。消えた提灯。湿った夜の匂い。
「澄んだお前を、求めるだけ」
また、あの声がした。
今度は、私のすぐ後ろから。振り返ると、誰もいなかった。
代わりに、自分の影が七つに割れて立っていた。
七人の影。
全部、私に似ていた。あるいは、私を欲しがっている顔をしていた。
一抜けた。
また、その音がした。胸の奥で何かが潰れる音。
私は笑った。笑うしかなかった。廻る時に彷徨うて、一人、一人また。憑れて逝くだけ。それが、この町の、この夜の、ただ一つの約束だったから。
次は、誰が「一抜け」するのだろう。
私か。
それとも、もう一人の私か。
花街の石畳は、今日も誰かの足音を待っている。
提灯の灯りは、もう二度とつかない。
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コメント
1件
読ませていただきました……すごく、静かに胸の奥がざわつく話でしたね。花街の石畳とか、消えた提灯とか、湿った匂いとか、ひとつひとつの描写が絵みたいに浮かんできました。とくに“一抜けた”っていう言葉のリズムが、ずっと耳に残ってます。七つに割れた影の場面、すごく好きです。これからどう廻っていくのか、気になります……!