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ある種の百日紅に「霊夢」という名前がついたらしい。
いつしか幻想郷に咲き始めた赤いサルスベリ。
霊夢のリボンに、確かに似ている。
近づくと甘い香りがするんだ。
愛らしい赤い花からほんのりと香る、上品な香り。
実は、咲きたての朝のほうがいい匂いがする。
やっぱり霊夢に似ている。
毎年、7月から10月くらいまで咲いてる。
花が1番綺麗なのは、8月とか9月だ。
いつからか分からないけど、咲き始めたそれを見続けるうちに覚えてしまった。
道を歩いていてふわりとおしろいの香りがすると、思わず霊夢に会いに行くようになった。
私にとって…そうだな。
霊夢の次くらいに大切な、大切なお花だった。
世界に「魔理沙」という花はない。
別にどうでもいい。
あいつだって、『自分の名前の花なんてなくたっていいんだぜ』って言うと思う。
だけど。
私、知ってる。
魔理沙が『霊夢』を見るたび、本当に嬉しそうに笑うこと。
私だって、『魔理沙』があったら、きっと同じようにする。
『霊夢』のおかげで、霊夢はもっと有名になった。
嬉しいことだ。
身内の誰かだけじゃなく、もっと広い世界に名を残す。
私達の誰かだけが霊夢のこと思い出すんじゃなくなった。
ちょっと嫉妬してる私。自分が可笑しくて笑う。
ある日、魔理沙が向日葵に見えた。
次見てもやっぱり向日葵に見える。
魔理沙は素直に努力を積み重ねる、負けず嫌い。
刻一刻と動く太陽に合わせ、懸命に向きを変え続ける負けず嫌いな向日葵を見ていた。
ひたむきに努力を積んで私の隣で笑う魔理沙が、向日葵に重なった。
だから―――
いつだって真っ直ぐ太陽の下を歩く魔理沙は
向日葵だ。
朝の柔らかい光を受けて、淡い赤色の花が揺れている。
『霊夢』が滅びないことを願って。
幻想郷にだけでも、残ることを願って。
私にとっての太陽が、これからも輝き続けることを願って。
私は今日も、霊夢に触れる。