私が廊下を歩いていると突然
という音が聞こえた。あの音だ、と耳から脳へとその情報は伝わった。私は「あの音」が嫌いだった。本当に。あの
という音は私にとって脳に「近づくな」という警告を与えてくれる。本来はこの様な意味ではないだろうが私にはそう聞こえる。
この廊下に鳴り響くその警鐘は私にしか聞こえていないのだろうか?この家に住む住人はまるでこれが日常と言わんばかりの振る舞いである。こんなにも不快感を与える音なのに。
それにしても、このとてつもない不快感を与える音は私のことを煽っている様にも聞こえてきた。苛立ちを感じる。
何なのであろうか。私はこのとてつもない不快感を与える音を出す物に何か知らぬ間に酷い仕打ちでもしたのだろうか。もう少し静かにしてくれたっていいだろう。
流石に私もここまで来ると慣れると思ったが一向に慣れない。恐怖に変わる。なぜ止まぬ。お前とも言葉が分かればいいのに。
この音を最後に廊下に静寂が訪れた。ついに平和が、平和が築かれたのだと。だがあの音が私の心に遺していったものもある。例えば恐怖だ。あの音に対する。
でもこの音を次に聞くのはいつだろうか。出来ればもう聞きたくはないのだが。
しかし、当分は聞かないのだ!あの音を!
また聞く日までさようなら…掃除機よ。
コメント
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あら掃除機なのね()