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むかーしむかし
あるところに
おおきなやまがありました。
そのやまにはしろいかみさまが
すんでいて
そのかみさまはひかりをあつかうそうで。
ひとびとはそのひかりをもとめ
そのやまをさがしてまわりました。
なんでもそのひかりは
ひとをみりょうしてしまうそうな。
「光を求めたものは皆
己がその光に魅了されて
今では行方がわからんのじゃ」
ばぁちゃんが昔に
よく読み聞かせてくれた話だ。
今でもはっきり覚えていて
どこか懐かしさを感じる。
白い光にはどうやら
魅了以外にも効果があり、
神様の気分によって効果が変わるらしい。
そして僕もまた
光を求めている1人である。
何故かなんてもう覚えてすらいない。
が
どうしても見つけたかったのだ
どうしても探してしまうのだ
無性にもそれを求めてしまう自分がいる。
物語で聞くと危険な感じもするし
なぜ求めているのかもわからない。
何もわからないのだ。
だからこそ探しているのかも知れない。
そして僕は今
その村があるであろう山にきた。
その名も
「黒槍山」
僕は光を探すべく
その山の中へ入って行った。
村に着いて少しした時。
「おやまぁ、旅人かい?」
背後から突然話しかけられる。
気配の無さに驚いたが
どうやらこの村に住んでいる人のようだ
「はい、そうです。旅人です。」
人と喋るのはいつぶりだろうか
おかしな言葉になってないだろうか
あまりに慣れていないことで
不安が募る。
「めずらしいねぇ…
こんなしょぼくれた村にくるなんて」
そうなんですか?と僕は返す。
どうやら人が来るのは何年振りとのことで
おばあさんはとても驚いていた。
「今は人も少ねぇが、昔は
もう少し賑わっておったよ。」
昔とは?僕はその話に興味が湧いた。
僕がこの村に来た目的は
白い神様とやらを見つけるため。
昔の話を聞けば、何かわかるかも知れない。
僕は聞いてみることにした。
「昔って、なにかあったんですか?」
「おや、昔のことが気になるのかい?」
まぁ…?と曖昧な返事をしてしまったが
正直とても気になる。
だが今思えば昔のことを聞くのは
いいことだったのだろうか?
この人にとっては
嫌な思い出だったのかもしれない。
僕はドキドキしながら返事を待った。
「そうだねぇ…
まぁなんていうか、
変な人たちだったよ」
僕の返事よりもずっと
曖昧な回答に僕は戸惑った。
賑わっていたと言うのにも関わらず
それを変な人と表すことに
違和感を覚えた。
「変な人、ですか?」
「あぁ。あいつらは変な奴らだった。
東から日が昇る度に
日に向かって拝みおったわ。
そ奴らの目は虚でな、
何を考えてるのかもわからなかった」
背筋が凍るほどにゾッとした。
憶測だが、
その人たちは光に魅了されていたのだろう。
神が放つ光には遠く及ばないだろうが、
人々には、それしかなかったのだろう。
「なるほど…。
ありがとうございました。」
「…おぬし、まさかとは思うが、
神社に行くつもりか…?」
なぜわかったのだろうか。
やはりここに来る者は皆
その神様を求めているのだろうか。
僕と同じような人が、
まだいるのだろうか?いたのだろうか?
「その反応、
当たっているようじゃな」
「…はい。
やはり危険なのですか、?」
聞くまでもなかっただろう。
ここだけでなくてもこれまでたくさん
危険だという話を聞いてきたのだから。
「当たり前だ。
帰ってこなかったやつもいた。」
「帰ってこない…」
もし僕もそうなったら
帰ってこれないかも知れない。
もし僕が魅了されたら
日が神のように見えるかもしれない。
それでもいい。
僕はそれ以上にその力が欲しい、見たい。
「…それでも僕は、行こうと思います。」
「そうかい。止めはしないがね。」
言って仕舞えば
あの光のどこがいいのかわからない。
私の先祖の代では
その光で作物を育てていたという。
今ではもう使っていないし、
光を求めてくるやつも減ってきていた。
それなのに、それなのに、
どうしていなくなることはないのか
何がそんなにいいものなのか
あの光は先祖を殺した。
あの光は人々を殺した。
人間が
人間として生きれなくした ようなものだ。
実物を見ていなくても
物語だけでそれを求める。
わしはその気持ちが
到底理解できないし
理解することもないだろう。
あの者は行ってしまった。
神社のある方へ消えていった。
最後に私に話した言葉は
神社はどこにありますか?
この言葉を聞くのは、もう何回目じゃろうな