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里奈がマイクに手を差し伸べた瞬間ー
「え?」
ビュウン
突然突風が吹き、何かに引き込まれるような感覚が里奈にはしていた。
「ん…?ここどこ?」
里奈は、気がつくと一人で、ひたすら真っ白な部屋に閉じ込められていた。
「え?」
里奈は動揺を隠せない。
(妖怪の仕業…?琴葉たちは無事なのかな…)
あたりを走ってみても、出口どころか、ひたすら真っ白な空間が広がっているだけ。
(扉もないし…なにかの幻覚なのかな?)
その次の瞬間。
「!?」
(妖怪の気配がする…近くにいる?)
誰だろう。琴葉かな。琴葉がいいな。他の悪い妖怪だったらどうしよう…と、里奈は不安そうにしていた。
「あ!出口!?」
突然目の前に扉ができた。里奈は無我夢中で扉に向かって飛び出して行った。
「えぇ〜っ?ここどこぉ!里奈ぁ!」
一方、琴葉も迷っていた。だが、そこは真っ白でなにもない空間ではなく、妖狐の里森に近い、竹林のようだった。
(行っても行っても同じ景色が広がってる…それに、変な気配がする…)
琴葉は耳をぴくぴくさせ、注意深く竹林を進んでいた。
次の瞬間。
「琴葉ーっ!」
「里奈!?」
どこか遠くから里奈の声がした。琴葉は疑いもせず、どんどんと進んで行った。
「…?ここは…」
霜月は、雪女の里にいた。久々の寒々とした景色に、混乱を隠せない。
(どうしてここに…?ずっと前にこの里を出たはずなのに)
しばらくあたりを見回すが、人っ子一人いない。とても静か。
(まさかまた彩がなんか変なことを…?また面倒なことになった…)
霜月はそんなことを思いながら、里の奥へと進んでいった。
「そっちは順調?」
「うん。もうすぐ出番かな。ちゃんと足止めしてるよね?」
「もちろん。皆さんに幻覚を見てもらっているところですわ」
「そう。ならいいか」
「始めるよ、私のライブ」
「里奈ー?」
琴葉は里奈の声のもと、竹林の中を彷徨っていた。どんなに走っても、里奈の姿は見えない。
「里奈。こんなところにいたの」
けれど、里奈は現れた。里奈は琴葉に向かって、まっすぐ手を伸ばす。
「力。貸してくれない?」
「え?」
「ねぇ。かして。かしてかしてかしてかしてかしてかして…」
バチン
琴葉が思いっきり手を里奈の手を叩いた。
「なんで?」
(おかしい…これは幻覚?)
琴葉は戦闘体制になり、里奈へ発火の札を投げた。
「どうしてこんなことするの?私達親友でしょぉ?」
里奈はそう笑いながら言っているが、琴葉にはその姿が不気味にしか見えていなかった。
「ごめんねっ!」
琴葉は里奈を気絶させ、あたりを見つめた。
(…)
「失敗した…」
霜月は雪女族の里で頭を抱えていた。そう、奥に進みすぎて道に迷ってしまったのだ。
(やっぱり幻覚…?なら氷で…割れないか?)
パキパキッ
「無理か…」
そのとき、霜月の頭の中に、彩の顔が浮かんだ。
(やっぱり彩が…?でもあいつあんなことできたっけ…?あああの三白眼むかつく…)
「呼んだ?」
「うわっ!」
霜月が後ろを振り向くと、彩がいた。
「え?本物…?幻覚…?」
「本物よ失礼しちゃうわねもう!今回私は被害者だっての!霜月、幻覚ってどうやって抜け出すんだっけ?」
「ほんとに被害者?すごい嘘っぽく聞こえる…」
「ほんと!!幻覚には必ずなんか…アレ…ほら…なんかあるでしょ?幻覚は永遠じゃないんだから。なにか限りがあるはず」
「確かに…」
二人して考えこんでいると…
「何してるんだこんなところで。小さなお二人」
「あぁー!怜!久しぶりっ!」
霜月が大声を上げた。そう、彼は山吹怜。琴葉の実の兄であり、霜月とおなじ組織の一員。だが、ここからは遠いところにいて、今ここにいるのには不自然な人物…
「小さいとは何よ!もう!私、一応あなたより年上なんですけどぉ?」
「失礼。口が滑ってしまい…。彩。そんなに怒らないでほしい」
「冷静だと逆にムカつく…」
この二人…彩と怜は性格が真逆なせいもあり、なかなか噛み合わないのだ。顔を合わせたら低めに毎回喧嘩をしている。
「でも…ここから出るためには手を組まなきゃいけないってことか」
「その通り。霜月、何かいい案は?」
「いや…彩、この僕たちに幻覚を見せている妖怪を呪うことはできるか?」
「ん…かなり面倒くさいけど…できるわ。でも、後で寝ちゃったらよろしく。やるわよ」
ふぅ…と、彩が深呼吸をし、紅い瞳が光る。
「よいしょっと。できたはず…」
パリン
「!?」
次の瞬間、なにかガラスが割れたような音がして、次に目を開けた時…
「出られたー」
「さすが彩。年の功かな?」
「なんだと怜。後で覚えてなさいよね」
(またやってる…)
霜月は呆れながら、元に戻った(?)世界を歩き始めた。
さっきいた山の山頂らしいくない。桜の木も一本もなかった。また変なところに飛ばされてしまったらしい。
「ここどこ?でも幻覚ではないのよね?そういえば鞠は一体どこに…?」
「鞠?あの人形使いか。それならさっき、琴葉達といっしょに…」
「琴葉!?里奈もいたの?まだ幻覚に閉じ込められてる?怜、気配わかる?」
「…」
彩が聞くと、怜は渋い顔をし始めた。それから、うーん、とうなる。
「わかんない?」
「いや…かなりやばい状況にいるっぽい感じで…まあ里奈には琴葉がいるから心配ないだろうが…ううん、よくわからない…」
「…?かなりやばい状況?あ!霜月待ってー!」
二人で立ち止まっていた間に、霜月はかなり奥の方まで行っていた。
「え…ここって…まさか…!」
「気が付いたか。ここは、俺たち妖怪が本来いてはいけない場所…人里だ」
人里。
〈つづく〉
さあ、鞠達は外へ出られたのでしょうか…彩は本当に味方なのでしょうか…そして黒幕は誰なのでしょうか…
と、疑問ばかりですね。
コメント待ってます。参加しなくても(できれば参加してほしい!)スレの方に感想書いたりしてほしいです…
参加してくれたら、敵キャラだったら立派な悪役に、味方キャラなら正義感あふれるキャラにするので!(まだまだ未熟ですが)参加してくださると嬉しいです…