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鈴奈を腕に抱きテクテク兄弟で歩いている時に、直哉が喜びを抑えきれず、北斗に言った
「実は・・・・今朝・・・紗理奈から聞いたんだが、来年にはふたり目が生まれそうだ」
「おおっ!年子か!おめでとう!」
直哉はニヤつかずにはいられなかった、今朝からずっと紗理奈と二人で、この喜びをかみしめている
暫くして今度は北斗がニヤついて言った
「実は・・・・恥ずかしい話なんだが、俺にもお前はおめでとうと言ってくれるかな?」
直哉は目を見張って北斗を凝視した
「おい・・・兄貴・・まさか」
北斗がデレッと笑った
「実は・・そうなんだ・・・アリスも子を授かった、5人目だ!」
直哉は大きな声を立てて大笑いし、北斗の肩を叩いた
「なんと!すげーな!オイ!いい加減にしろよ、兄貴が種馬ならそれはそれは優秀だな!」
北斗は赤くなりながら頭をボリボリ掻いた
「アリスに怒られたよ「これで打ちきりだ!」ってさ、一応・・・気を付けてたつもりだったんだけど」
ワハハハッと直哉が笑った
「そりゃそうさ!アリスも大変だ!」
ブスッとして北斗が言う
「俺は別に何人でもかまわないよ、子育てが大変なら俺も手伝うし、ベビーシッターを何人も雇えばいい」
「そういう問題じゃねーだろ 」
おかしくて直哉は笑いが止まらなかった、流石に兄貴の真似は出来ない、来年には成宮牧場は羊より子供の数が多くなりそうだ
ふと紗理奈のいる方へ視線を戻した、どちらの妻もこっちを見て笑っている、紗理奈はあたまをのけぞらせ、白い喉を露わにして楽し気にアリスとケラケラ笑っていた
瑠奈がビーチボールを風に飛ばされて、大きな声をあげると子供達がここぞとばかりに、ボールに向かって駆けだした
北斗も釣竿を投げて走り出し、子供達とそのボールを笑いながら追いかけている
直哉が芝地に敷いたピクニックシートの所まで戻ってくると、腕の中にいる鈴奈を降ろした
途端にハイハイで、娘は探検に出かけようとしているのを、直哉が目を離さないで見ている、鈴奈はハイハイからの変形で
しきりにお尻を高く上げている、アリスいわく歩き出す前兆のようなものだそうだ
「鈴ちゃんに帽子かぶせて」
まだクスクス笑い続けている紗理奈が直哉の隣に来て腰を降ろした
「いったいアリスと何を話してそんなにおかしいんだ?」
「成宮家の血筋の話よ」
「血筋?」
紗理奈がクスクスまだおかしそうに笑っている
「後ろから見たら、あなた達はお尻の形がそっくり同じだとアリスさんが言うものだから」
当のアリスはボールを北斗と投げて遊んでいる、その二人の間を子供達が行ったり来たりしている
「そうなのかな?兄貴とケツの形など比べたことが無いよ」
クスクス・・・「アリスさんが言うにはアキ君も良いお尻をしていると言ってたわ」
「おいおい・・・そんな話娘に聞かせられねーな」
直哉は笑ってキョトンとしている鈴奈の耳をふさいだ
「いいのかい?アリスの所に戻らなくてスズは俺が見てるから、食事の準備してきていいぞ?」
笑う愛しい妻の陽光に照らされた髪は光り輝き、大きな瞳は娘がそっくりそのまま受け継いでいる
あの日・・・初めて彼女の家にずんだ餅を届けたあの時から、ずっと彼女はこの上なく美しい
きっと自分はこのまま二人で年を取り・・・しわくちゃになっても、彼女を永遠に美しいと思うのだろう
紗理奈は含みのある眼差しを向けた
「すぐ戻るけど・・・あなたに「愛してると」言いたくなって来たの」
「そいつは大歓迎だな 」
直哉は片腕で紗理奈を抱き寄せた、二人の間で鈴奈が楽し気な声をあげた
「愛してる」
「愛してる」
二人は同時に囁きキスをした
【完】