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#8号車お絵描きホーム
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ハル__。
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りっちゃ
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※緑茶恋人/リョウガ片思い設定
※第13話🚄🍵改変版
『君の幸福に、俺はいない』
タクヤの隣にいるのが、俺じゃないことくらい
もうとっくに、知ってる。
「タクヤくん、これさ──」
マサヒロが自然に距離を詰める。
触れるか触れないかの、その曖昧な距離。
──ああ、いいな。
「ん?どこ?」
タクヤが、何も疑わない顔で覗き込む。
その距離に、何の意味も持たない顔で。
……俺には、できない距離。
「リョウガ?」
呼ばれて顔を上げると、いつものタクヤがいる。
何も知らない、無防備な顔。
「ぼーっとしてるけど、大丈夫?」
「……あー、うん。考え事」
嘘だ。
考えてるのは、いつもお前のことだよ。
でもそんなこと、言えるわけない。
だって俺たちは、“メンバー”だから。
最初から分かってたはずなんだ。
タクヤは、優しい。
誰にでも同じように手を差し伸べるし、
誰にでも同じように笑う。
だから──
自分だけが特別だなんて、
思った時点で、もう負けだった。
「マーくん、あとで合わせようか」
「あ、うん。ありがとう、タクヤくん」
その呼び方。
その柔らかい声。
……なんで、俺には向けてくれないんだよ。
いや、違う。
“向けてる”。
でも、それは全部同じ温度で。
俺が欲しいのは、そんなもんじゃない。
もっと──歪んだくらいでいい。
特別だって分かるくらい、壊れててもいい。
なのに。
それを手に入れてるのは、俺じゃない。
「……っ」
視界の端で、マサヒロが笑う。
何も悪くない顔で。
ただ、タクヤの隣にいるだけで。
──なんでお前なんだよ。
俺の方が長く一緒にいるのに。
俺の方が、タクヤのこと見てるのに。
俺の方が──
こんなに、壊れるくらい好きなのに。
「リョウガ、今日ちょっと残れる?」
「え?」
不意に、タクヤが俺に向く。
「振り、気になるとこあってさ」
「あー……いいよ」
嬉しい、なんて思った自分に
一瞬で吐き気がした。
結局俺は、
こうやって“近づける理由”を与えられるだけで満足する。
……情けないな。
2人きりのスタジオ。
鏡越しに目が合う。
「リョウガ、ここさ」
「ん」
距離が近い。
手が、触れそうで触れない。
──これ以上近づいたら、壊れる。
「……なあ、タクヤ」
「ん?」
言えばいいのに。
今なら、まだ。
全部壊してしまえば、
少なくともこの曖昧な距離からは逃げられる。
「……なんでもない」
結局、飲み込む。
だって怖いんだよ。
“メンバー”じゃなくなるのが。
お前と、同じ場所にいられなくなるのが。
「優しいよな、お前」
「え、なに急に」
「マサヒロにもさ」
「……まあ、うん」
少し照れた顔で笑う。
その顔を、知ってる。
何回も見てきたはずなのに。
それでも、胸が痛くなる。
「好きなんだろ?」
「……うん」
迷いのない肯定。
ああ、そうか。
もう、とっくに決まってたんだな。
運命、なんて言葉。
信じてるわけじゃないけど。
もし本当にあるなら、
きっと俺たちは何回出会っても、
同じ距離で、
同じようにすれ違う。
俺は“メンバー”で、
お前は“手に入らない人”。
それが、変わらない。
「リョウガ?」
「ん?」
「なんか今日、変だよ」
「そう?」
「うん」
少し心配そうな顔。
……やめろよ。
そんな顔、見せんな。
期待しちゃうだろ。
「俺さ」
気づいたら、口が動いてた。
「もしさ、違う出会い方してたら──」
「え?」
「…やっぱ…なんでもない」
言えない。
言った瞬間、全部壊れる。
帰り道。
2人並んで歩く距離。
触れられない距離。
「また明日。」
「ああ。」
手を振る背中。
その先にいるのは、俺じゃない。
それでもいい、って思おうとした。
お前が幸せなら、それでいいって。
でも無理だった。
そんな綺麗な感情じゃ、もう収まらない。
お前の隣にいるあいつが、憎い。
でも同時に、壊したくない。
この場所も、関係も。
全部まとめて守ろうとして、
結局何も手に入らない。
「……ほんと、最悪だな」
笑えてくる。
こんなに好きなのに、
選ばれないどころか、
“選ばれる側”にすら立てない。
それでもきっと、
何度やり直しても俺は同じだ。
タクヤに出会って、
タクヤを好きになって、
同じように、報われない。
だってもう、
とっくに染まってるから。
抜けないくらい、深く。
君の色に。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
1件
まあ……切ない。 読んでて胸の奥がぎゅっとなりました。リョウガの「特別になりたい」って願いと、「壊れたくないから飲み込む」って理性のせめぎ合い、すごくリアルでした。特に「俺にはできない距離」って一文、彼の立場を象徴してるようで、何度も読み返しちゃいました。タクヤの無防備な優しさが、逆にリョウガを追い詰めてるところも、なんとももどかしくて……。でも、それでも好きでいることをやめられない気持ち、痛いほど分かります。続き、気になりますね🌷