「ふわぁ〜〜っ……」
海賊船サウザント・サニー号の船内…男部屋で、1人、目を覚ました野郎がいた。
欠伸をして、うーんと背伸びをひとつ。
サンジだ。金髪とグル眉が特徴の、賞金ベリー”黒足のサンジ”。そんな風に恐れられてる彼も、ここではただの青年だ。
現在の時刻は朝の5時。他の野郎共が起きるにはちと早い。
かわいい船医も、いつもケンカする剣士も、大食いの船長も、まだ寝てる。
(揃いも揃って、鼻ちょうちん出して寝やがって…)
_今日も、あいつらのために作ってやるとするか。
まだ寝てる船員達を起こさないように、慎重にハシゴを降りた。
ドアまできたところで、サンジは、1つだけ木製ハンモックの席が空いてることに気づいた。
(起きてるとすりゃあ、あいつか)
おそらく起きてるであろう船員を思いながら、音を立てないようにドアを開けた。
忙しくとも楽しい、賑やかな一日が始まる。
甲板に続くドアを開けた。
今日初めて見る朝日が、少し眩しい。
でも、細めた目に映る朝焼けの空は綺麗だった。
……こんな綺麗なオレンジ色を見ると。
麗しい、海が似合う女神のような航海士が目に浮かぶ。
「サンジさん、起きてたんですね」
不意打ちで声を掛けられたが、サンジは動揺はしなかった。
聞き慣れている、優しい声だったからだ。
その声の正体なんてわかっている。……見た目は、夜に見たら少々…いや、かなり怖いが。
「おはよう、ブルック」
サンジは、自分に声をかけてくれた”ブルック”に視線を合わせて、言った。
「ええ、おはようございます、サンジさん」
高身長イケメンならぬ、高身長ガイコツが、サンジの顔を見て、微笑んだ。
このガイコツこそが、この船の一味の音楽家・ブルック。
何故ガイコツなのかと言うと、それは彼が食べた悪魔の実「ヨミヨミの実」の能力だからだ。
ヨミヨミの実は、その身を食べた人間が死んだ際、1度だけ、現世に甦らせることが出来る。
彼も1度死んでいて、実のおかげで黄泉の国からヨミがえり、現世に再び戻って来たのだ。
1年程、霧の中をさ迷い、見つけた時にはもうガイコツになっていた。らしい。
「さて、私もヴァイオリンを……あ、サンジさん、紅茶お願いしまーす」
「あ?紅茶くらい自分で……」
「……いねぇ」
ブルックは、もう居なかった。
さすが、海上を走れるやつなだけある。
「ったく」
サンジは、キッチンに向かった。
終わり。疲れた。
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