ガチャ___受話器を取った
「ただ話、聞いて欲しくて」
とても綺麗な声だった
大人の女性の声だった
今にも消えそうなほど儚い声だった
「友達が、親友が死んだんです」
ああ、またこういう子か
まぁそれを聞いてあげるのが私の仕事なんだけどね
私は電話相談窓口に勤めている
死にたい、余命宣告が、みたいな重い話も聞くし
友達と喧嘩して、失恋してみたいな上記より軽い話も聞く
「だけど、」
「だけど、悲しくなかったんです」
声がないている声に変わった___
ぇ、
私はこの子みたいな事例が初めてだ
悲しくてどうしたらいいの、?
自殺したい、と相談してくる子を何人も見てきた
でも、“悲しくない”と言ってきた子は初めてだった
「多分私は現実を受け止めれてないんです」
「でも、お葬式にも出席したし、」
「それに、それに10年以上の中だったのでご両親ともよく話していて、」
「形見とかも分けてもらったりしていて、」
「でも、泣けなかったんです、悲しくなかった」
「私は可笑しいのでしょうか」
「話聞いてくれてありがとうございました」
貴方はおかしくないよ
そりゃ、親友だもん
死んだことを事実だって認めたくないよね、
久しぶりに貰い泣きしたなぁ笑
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