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◇◇◇◇◇
「探索局局長の松田龍作だ。今日は少し話がしたい。」
わー!威圧感ハンパない。
「緊張しなくていい。少なくとも、君には好意を持っている。少し質問するだけだよ。」
好意を持っているようには見えません!
「君は異常なレベルの上がり方をしているね。
ただし、スキルは持っていない。
何か秘密がありそうだが。」
どうしよう。隠しスキルのことは言ったらダメなような気がする。武器と装備のことだけ話すか?それもボロが出そう……。
「初対面では、教えられんか?
まあ、そうだろうな。俺でもそうする。
じゃあ、質問を変えよう。
橘君は、日本に何人のS級探索者がいるか、知っているかな?」
S級探索者かぁ。最上位がS級なのは知ってるけど、全然知らないな。
「わかりません。」
「ゼロだよ。過去を遡ってもゼロだ。
日本は、探索者後進国なんだよ。」
「すいません。俺、学校でダンジョン学とか取ってなかったんで、全く知らないんです。」
「そうか。まあ、気にしなくていい。じゃあ、S級探索者になるための条件は、なんだと思う?」
「A級ダンジョンを制覇することですよね?」
「そうだな。学校でもそう教えている。
でも、実は違ったんだよ。
日本には、A級ダンジョンを制覇した探索者は、3名いるんだ。逆に言うと3名しかいない。
そのうち2名は、日本にある4つのA級ダンジョンをすべて制覇しているんだ。
それでも、S級にはなっていない。
探索者の等級とは国際基準でね。これを満たさないとS級ダンジョンには、入れないんだよ。」
「S級昇格の条件は、なんだったんですか?」
「まだ、わからない。」
「それじゃ、S級探索者っているんですか?」
「世界には4人いる。アメリカ合衆国、中華人民共和国、ロシア連邦、フランス共和国。
この4国をS級国家と呼ぶ。探索者先進国だ。
条件を知っているのは、この4国だ。
ただし、条件を知っていても、それ以上増えないということは、それだけ特殊な条件なんだろうと考えている。」
「へぇ、世界で4人だけなんですね。」
「そうだ。S級ダンジョンに入れるのも、この4国だけだ。言い方を変えれば、地上世界型ダンジョンに入れるのが、この4国のみと言うことだ。」
へぇ、S級ダンジョンが、地上世界型ダンジョンなんだな。だからか。
「俺は、橘君がA級ダンジョン制覇者の4人目になると考えている。」
「はぁ。そうですかね。」
「君は、その歳ですでに異常な位置にいる。
藤堂、モニターに橘君の情報を映してくれ。」
「はい。」
カチャカチャ。
橘 颯 25歳 日本🇯🇵
東日本州・川崎支部所属
探索者《シーカー》ランク:国際A級
東日本ランキング:1位
日本ランキング:2位
世界ランキング:423位
え?東日本ランキング1位?
日本ランキング2位?
「橘君!探索者レベルは76だな。」
「はい、そうです。」
「日本で、そのレベルを超えているのは、1人だけだよ。」
他人のレベルはわからないから、レベル76って、そんなに高かったんだ。ヤバ。
「橘君、俺はS級ダンジョンに興味があってね。
それを追い求めている。浪漫だよ。
もちろん、国家としては、新しい資源が目的なんだろうが、俺としては、それはどうでもいいんだよ。これは外では言えんがね。」
なんか、この人いい人に思えてきた。
「とにかく、君には、S級の条件を追い求めてほしい。まずは、A級ダンジョン制覇と探索者レベルの上限レベル99を達成してほしい。
その後、もう一度会って、話をしよう。」
「わかりました。
いろいろ教えていただき、ありがとうございます。」
これってどこまでが、機密情報なん?
それを教えてほしいんだけど……。
「私からも一言。引越しした方がいいわよ。」
「え?どうしてですか?」
「たぶん、帰ったらわかるわ。
困ったら、早見さんに連絡しなさい。」
「はぁ。」
◇◇◇◇◇
はー、疲れた。今日はヘビーだったな。
ナンジャコリャ!
うちの周りに取材陣が包囲してるやん⁉︎
どうやって入ったらいいのよ〜!
これか!藤堂さんが言ってたのは!
プルルル!
「はい、早見です。橘さん?どうしたんですか?」
「うちの周りに取材陣が!」
「なるほど、それは油断しました。すいません。では、今から迎えに行きますので、家でお待ちください。」
「いや、入れないんです。」
「それは、大丈夫ですよ。A級探索者は、保護されてますから、写真や映像は撮られると思いますが、声をかけたり、体に触れるだけでも犯罪になりますから、そのまま無視して、家に入ってください。」
「はぁ。そうなんですね。」
「では、すぐ行きますので。」
◇◇◇◇◇
「ただいま……。 やっと入れた。」
「おかえり!なんか、ぐったりしてるね。」
「颯!すごいことになってるね。」
「颯くん、東日本ランキング1位って!」
「しかも、日本ランキング2位!」
「相変わらず、みんな来てるんだね。」
また、やってるよ。
お兄ちゃん、これ見て!
『本日のニューストピックスです。
まずは、こちらのニュースから。
本日、新しいA級探索者が誕生いたしました。
(今日撮った顔写真がバーン!)
(その横に、どこから持ってきたのか、キル○ルスーツの全身写真がバーン!)
橘 颯さん、東日本州川崎支部所属の25歳。』
「お兄ちゃん、写真写りいいね!」
何を呑気に言うとんねん!
『現在までの防衛省・探索局の藤堂局次長の記録を抜いて、日本最年少のA級探索者となりました。
さらに、いきなりの東日本ランキング1位となり、こちらも最年少記録を更新いたしました。
また、日本ランキングについても2位となっています。』
「このニュース、ずっとやってるね。」
「うん、何回聞いてもいいよね〜!」
「うん、いい。」
「俺、こんなになってるって知らなくって、なんか、みんなにも影響ありそうで、怖いんだけど。とにかく、帰った方が良くない?」
「うーん。どうしようかな?」
「私は楽しいけどね〜。」
「そっか。帰った方がいいかな?」
「桜!お前は俺と一緒に出ていくからな。
今から、協会の人が迎えに来るから。」
「なんで?」
「ん?なんでだろ?ま、とにかく、迎えに来るから、準備して。」
「わかんないけど、了解!」
◇◇◇◇◇
「早見さん、すいません。」
「いえいえ、いいですよ。私は橘さんの専属担当ですからね。いつでも呼んでください。」
「それにしても、なんで、みんなついて来るの?車が7人乗りだったから、乗れたけど。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。
でも、どう言う関係なんですか?」
「同級生と同級生と妹と妹の親友ですね。」
「そうですか。ふーん。なるほど。ふむふむ。
まあ、いいんじゃないですかね。
橘さんは、重婚OKになりましたからね!」
「あ!そっか。A級探索者の優遇!」
「え、そうなの〜?ガチいいじゃん!」
「お兄ちゃん、良かったね!」
「それって確か、何人でもいいんだよね?」
「お前ら、まさか、重婚賛成派か?」
「「「「もちろん。」」」」
「ははは!みんな、面白いね!
私も混ざっちゃおうかな。ってか!」
この人、溶け込んでる。すごい能力。
でも、これってどこに向かってるの?
◇◇◇◇◇