テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
16,372
翠玲
1,600
#緑
翠玲
13,837
「完成したー!」
教室には拍手が響いていた。
段ボールで作られた大きな門。
まだ色も塗り終わっていない。
それでもクラスみんなで作った最初の作品だった。
🦈「疲れたぁ……」
こさめが机に突っ伏す。
🍍「まだ一個だぞ」
なつが笑う。
🍍「先は長いな」
🦈「うぅ……」
その時。
教室のドアの外を歩いていた女子が、不思議そうに廊下の窓を見た。
「あれ?」
その声に、クラスの何人かも振り向く。
窓の外には。
三人の男。
🌸「……」
🍵「……」
👑「……」
らん、すち、みことだった。
しかも三人とも、ものすごく真剣な顔で教室を見ている。
「え、誰?」
「保護者?」
「イケメンじゃない?」
教室がざわつき始める。
🦈「……あ」
こさめが窓の方を見た。
固まる。
数秒後。
🦈「らん兄ーーーー!!」
教室中に響く声だった。
🌸「あ、見つかった」
らんが小さく笑う。
🍵「笑ってる場合じゃないよぉ」
すちが苦笑する。
👑「怒られるね」
みことも肩をすくめた。
こさめは猛ダッシュで廊下へ飛び出した。
🦈「何してるの!?」
🌸「見学」
らんが即答する。
🦈「見学じゃないよ!」
🌸「ちゃんと廊下から見てたよ」
🦈「そういう問題じゃない!」
こさめは顔を真っ赤にしていた。
🦈「学校来ないでって言ったじゃん!」
🌸「文化祭楽しみだったから」
🦈「まだ準備!」
🌸「知ってる」
🦈「じゃあ帰って!」
🌸「もう少し」
🦈「だめ!」
廊下では兄弟のやり取りが繰り広げられていた。
教室では。
「かわいい……」
女子たちが思わず呟く。
「お兄ちゃんたちなの?」
「なんか仲良し」
「ていうか全員イケメン」
男子たちも興味津々だった。
なつは苦笑する。
🍍「本当に来るとは……」
予想はしていた。
していたけど。
まさか三人揃って来るとは。
すると。
らんが教室の中へ視線を向けた。
なつと目が合う。
🌸「あ」
らんが軽く手を振る。
🌸「こんにちは」
🍍「どうも……」
なつも軽く会釈した。
🦈「なつくん!」
こさめが慌てる。
🦈「気にしなくていいから!」
🍍「いや無理だろ」
🦈「お願い!」
必死だった。
その様子に。
らんは少し笑う。
🌸「ごめんごめん」
そう言いながら教室へ入ってきた。
🦈「入るの!?」
こさめが叫ぶ。
担任も廊下から様子を見に来た。
「あれ?」
🌸「こんにちは」
らんは丁寧に頭を下げる。
🌸「こさめの兄です」
「ああ、お兄さんでしたか」
担任は安心したように笑う。
🌸「文化祭が楽しみで、少し見学させてもらってました」
「そうでしたか」
らんは礼儀正しい。
だからこそ。
先生も何も言えない。
「でも、生徒の邪魔にならない程度でお願いしますね」
🌸「もちろんです」
その隣では。
みことが大道具を見て目を輝かせていた。
👑「すごーい!」
👑「これみんなで作ったの?」
🦈「うん!」
こさめが答える。
🦈「頑張った!」
👑「こさめちゃんも?」
🦈「うん!」
👑「えらいえらい」
頭を撫でられる。
🦈「もう子どもじゃないって」
そう言いながらも、少し嬉しそうだった。
一方。
すちは教室を見回していた。
🍵「みんな楽しそうだねぇ」
🦈「うん!」
こさめが笑う。
🦈「毎日楽しい!」
その言葉を聞いたすちは。
少しだけ目を細めた。
🍵「……よかった」
小さく呟く。
本当に。
心から安心したような声だった。
その姿を見ていたなつは。
少しだけ胸が温かくなった。
🌸「じゃあ」
らんが時計を見る。
🌸「そろそろ帰るか」
🦈「え?」
こさめが目を丸くする。
🌸「今日は本当に見るだけだから」
🦈「最初からそうしてよ……」
🌸「ごめん」
らんが笑う。
🌸「また文化祭当日に来るね」
🦈「それはいいよ」
🌸「変装して」
🦈「しなくていい!」
教室中が笑いに包まれた。
三人は手を振って学校を後にする。
帰り道。
みことが笑いながら言った。
👑「怒られたね」
🌸「怒られた」
らんも笑う。
🍵「でも」
すちが空を見上げた。
🍵「こさめちゃん、本当に楽しそうだった」
二人も頷く。
👑「うん」
🌸「あんな笑顔、昔はなかなか見られなかったもんね」
👑「やっぱなつくんのおかげかなぁ‥」
🌸「‥ん〜そうなのかもなぁ‥」
コメント
1件
読了しました🌷 第23話、とってもほっこりしました。兄妹の「来ないで!」「楽しみだから」の掛け合いとか、みことがこさめちゃんの頭を撫でているところとか、もう……細かい仕草が全部優しいんですよね。すちの「……よかった」が特に沁みました。なつくんの存在がこさめちゃんの日常を確かに変えている、それが兄たちにも伝わっているのが嬉しい描写です。文化祭当日がもう待ち遠しいですね🤍