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#ritt
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いやー、第7話めっちゃ良かったわ…!テツの「凡人」って自己認識と、それに悩む姿がリアルで刺さった。周りから持て囃されるほどプレッシャーになってる感じ、すごく伝わってきた。それに対するリトくんの「俺にとっての特別はお前だけ」っていう言葉、優しすぎて泣くわ。ラムネとひつまぶしのやり取りも可愛くて、重くなりすぎない絶妙なバランスだった。次は絶対リトくんの前で一番速く駆け抜けてほしい🔥
麒麟高校がアツすぎた為衝動的に書きました
捏造、妄想
ご本人様とは関係ありません
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「愛知に眠る獅子」だとか、「東海の牛若丸」だとか。そんな大層な二つ名で呼ばれているが、打席に立つたび、俺は己がただの凡人であることを嫌というほど思い知らされる。喉元へ迫りくる白球の威圧感に慄き、バットが虚しく空を切った瞬間の絶望感は言葉にできない。それに加え、俺ならば打ってくれると信じてやまない監督の想いを裏切ることが怖かった。いつか俺がただの凡夫だと気づいて愛想を尽かされる日を。ベンチに下げられる日を恐れていた。
大々的に雑誌に特集されても上手く喜べなかった。いつだって、誰かに化けの皮が剥がされるのを恐れていた。膝が笑う程の走り込みも、まめが潰れるほどの素振りをしても足りないのに、世間は俺を持ち上げた。
日本代表に選出された時は素直に嬉しかったのだ。自分は凡夫から抜け出せた。世界でも戦えると傲慢にも思い上がった。結果は空振り三振、手応えも何もなく膝をついた。葛葉さんもチャイカさんも世界の強豪を相手に活躍しているのに、俺だけは世界と渡り合えなかった。
帰ってきて、マネージャーから俺たちの活躍を聞いたであろう監督が俺の側に近寄ってきた。
「な、ひつまぶし食べる?ラムネもあるよ、テツ好きだろ?」
監督の手から渡されたのは、プラスチックの容器に入ったお馴染みの固形ラムネだった。真夏だというのにキンと冷やされた部室で、手のひらに乗せられた小さな粒が、どこか冷たく感じられる。
「……いただきます」
掠れた声で呟くと、白い粒を口に一つ放り込んだ。噛み砕いた瞬間、舌の上で甘酸っぱく溶けていく。
「ひつまぶしも食べろって、あーん」
「じ、自分で食べれるって…!」
「お前はただ俺に甘えてればいいの、ほら口開けろって」
強引に差し出された箸を拒みきれず、半ば諦めるように口を開ける。甘辛いタレと香ばしい鰻の風味が口いっぱいに広がった。監督はそんな俺を嬉しそうにニコニコと見つめる。
「…リトくんは、なんで…」
「ん、?」
「…俺にそんな優しいのさ。今回、失望されたと思ったのに。君に、俺は何も返せなくて…。葛葉さんみたいに才能があるわけでも、チャイカさんみたいにパワーがあるわけでもない。ただ足が速いってだけの俺を、なんで…」
監督は少し熟考して、でもそれは悩んでいると言うより俺に伝わるように相応しい言葉を選んでいるようにも思えた。静かな冷気だけが満ちる部室で、監督――リトくんは、どこか愛おしそうに目を細めて俺を見た。
「テツは、自分を誰かと比べて落ち込んだり、悲観してんのかも知んないけどさ。……俺からしてみれば泥だらけになるまで努力して、それでも現状に満足せず足掻いてるお前は、誰よりもカッコいいって思うよ。」
ポン、と頭の上に置かれた手のひらは、すり抜けた冷気とは対照的に驚くほど温かかった。優しく髪を撫でる指先の感触に、こらえていた胸の奥が熱く疼く。
世間が勝手に貼り付けた二つ名や、期待という名の重圧に押し潰されそうになっていた。化けの皮が剥がれるのを恐れ、本当の自分を見られるのが怖くてたまらなかった。だが、リトくんが見ているのは誇張された虚像などではない。ただがむしゃらに足掻いている俺だった。
「……ずるいな、きみは」
「何がさ」
「期待に応えられなかったのに……そんな風に言われたら、俺、きみから離れられなくなる」
掠れた声で漏らすと、リトくんは可笑しそうに眉を下げて笑った。撫でていた手が滑るように頬へと降りてきて、親指で俺の目元を優しく撫で上げる。
「俺が引き留めてんだから離れなくて良いだろ」
指先から伝わる体温が、凍りついていた心を少しずつ溶かしていく。
「お前がどれだけ自分のことを凡人だって卑下しても、俺にとっての特別はお前だけだよ、テツ」
囁くような声とともに顔が近づき、額と額が軽く触れ合った。間近で見つめ返すリトくんの瞳には、惨めな敗北者ではなく、ひとりの男として愛され、求められている俺の姿がはっきりと映っていた。
「……次も、君のために走るから」
「おう。俺の目の前で、一番速く駆け抜けて見せろよ」