テラーノベル
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その日は外は雲一つない快晴だった
太陽がキラキラと光る暑い夏日
忙しく鳴くセミ
朝露がほんのり残る草木
子供達の無邪気な笑い声
遠い街では同い年ぐらいの女の子たちが流行りのアレコレを見て話して笑ってる
でもそんな事私にとっては無縁
暖かい光を遮断する厚いカーテンに囲まれた
薄ピンクの部屋
乱雑に置かれたノート
青白く光る画面に食いつく自分
まるで引きこもりのような空間
コードに繋がれたスマホには未読のメッセージと電話の通知がいっぱいに広がっていた
カチカチとなる時計とキーボードの音がこの部屋の環境音
私はひたすら画面に広がる世界を楽しんでいた
見知らぬ人が作った作品に心を存分に溶かしてもらって
絵に対して親指をあげて
現実では言わない褒め言葉を放して
気づいたら外は真っ暗な闇が広がっていた
そしてゴミ箱に沈んだ紙を見て自分にため息をつく
「文化祭のお知らせ」
「ハァ」
目線を別方向に向けると
疲れ切った制服があった
反対方向に向けると青白い画面に
黒と白の髪というまるで二次元にしかない姿を持つ少女が立っていた
「……」
無言で私は画面の前に座り少女を動かす
今日はRPのアプデがあったはず
スマホにまた通知が入ったが知らないふりをした
「早く死にてぇわ……」
そう願うはずもない言葉を口にして
♡30↑ 夏祭りの部屋アンロック
コメント
4件
誰の部屋でしょうね