3話
Start~
満月の夜が近づく中、私たちは計画をまとめた。
手紙の示す「森の奥」を目指す準備は整ったものの、不安と緊張が胸を締めつける。
技術室に集まった4人は、紫塚先生が用意した道具を受け取った。
懐中電灯、簡易的な地図、森の中で役立つ簡易工具が整然と並べられている。
「これは、?」
吏都が不思議そうに持ち上げたのは、手のひらサイズの小型トランシーバーだった。
「森の中でお互いを見失うこともあるでしょ?それ用です!」
紫塚先生がさらりと言う。
「一人にならないのが大事です!特に、廃墟に近づくと妙な電波障害が起きることがあるからね!」
「そんなに用意周到だと、逆に怖くなってくるよ、、、」
「備えあれば憂いなし、だ」
ノア先生が軽く微笑む。
「君たちの計画には反対したいところだけど、どうしても行くと言うなら、これだけは守って。絶対に一人で行動しないこと。そして、何か異常を感じたらすぐ引き返して」
「わかりました、必ず気をつけます」
森への出発
その夜、村の教会の鐘が再び鳴り響いた。
低く重い音が、夜空に吸い込まれていく。
私たちは約束の場所に集まり、深い森へと足を踏み入れた。
「これ、本当にやるのか?」
吏都が小声で問いかける。
「ここで引き返したら、何も解決しないでしょ、」
リルが毅然と言い放つ。
「それに、あの失踪した子を助ける手がかりが見つかるかもしれないんだから」
「リルって、こういうとき意外と頼りになるよね~!」
リンがクスリと笑った。
森の中は昼間と違い、別の世界のようだった。
木々が月明かりを遮り、足元は霧に包まれている。
時折、動物の気配がするものの、それ以外は不気味なほど静かだった。
「地図だと、廃墟はこの道を進んだ先だね。」
私は地図を照らしながら確認する。
「でも、なんかおかしくない?」
吏都が眉をひそめた。
「道が、、やけに整ってる気がする、」
その言葉に全員が足を止めた。
確かに、村長が言っていたような「廃墟に続く荒れた道」という印象とは異なり、
足元の道は最近誰かが整備したかのようにきれいだった。
「誰かが、、、先にここを使ってる?」
リンが呟く。
その瞬間、私の耳に微かな音が届いた。
「、、鐘の音?」
全員が息をのんだ。
遠くからかすかに聞こえる鐘の音は、昼間に村で聞いたそれとは少し違う、
低く不気味な響きを持っていた。
「とにかく行こぅ」
リルが先頭を歩き出す。
こうして4人は、音のする方へと慎重に進み始めた。
その先に待ち受けるのが、手がかりか、
それとも――何か別のものかはわからなかった。
next~4話
【廃墟に響く影】
、、はーとちょうだぃ、?
コメント
8件
すごい楽しい …どきどきしながら読んでる 笑
続き楽しみ〜! 頑張ってね! …無理にとは言わないけど今から参加ってできるかな…?