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4話
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森の奥深く、木々が密集し霧がさらに濃くなった場所に、私たちはついに目的地を見つけた。
それは荒れ果てた廃墟だった。
石造りの壁は苔とツタに覆われ、長い年月がこの場所を飲み込んでいたことを物語っている。
「ここが……手紙に書かれていた場所?」
リンが囁くように言う。
「間違いないと思う。」
「でも、誰かが最近ここに来た形跡があるみたい。」
足元には新しい足跡が残っており、廃墟の扉もわずかに開いていた。
「誰かがここにいるのか?」
吏都が警戒心を滲ませながら扉に近づく。
「待って。」
リルが手を伸ばして吏都を制止した。
「こんなとこで無防備に入るのは危ないでしょ。」
全員で慎重に廃墟の扉を押し開けると、内部は暗闇に包まれていた。
懐中電灯で照らすと、古びた家具や散乱した紙の束が目に入る。
その光景は、かつてこの場所が使われていたことを証明していた。
「ここ、何のための場所だったんだろう……?」
リンが古い書類を拾い上げた。
「研究所か……それとも避難所?」
私は廃墟の中を見渡した。
そのとき、奥の部屋からかすかな音が聞こえた。
「……何か動いた?」
吏都が身構える。
全員が息を殺しながら音のする方へ進む。
奥の部屋に入ると、そこには崩れた机と壊れた棚があり、その隅で何かが光っていた。
「これ、なに?」
リルが懐中電灯を向けると、それは古びたオルゴールだった。
私が慎重に手を伸ばし、そのオルゴールを拾い上げると、突然、奇妙な音が鳴り響いた。
「カチッ……カチッ……」
――オルゴールの音が重なるように、再びあの鐘の音が遠くから聞こえてきた。
「また、鐘の音……。」
リンが震える声で言う。
「でも、なんでオルゴールが鳴るタイミングと重なるんだ?」
吏都が眉をひそめる。
私はオルゴールをよく観察した。
その底には、小さな引き出しが隠されている。
恐る恐るそれを開けると、中には一枚の紙が入っていた。
「手紙?」
私がその紙を広げると、そこには簡潔なメッセージが書かれていた。
『鐘が鳴るとき、すべての真実が明らかになる。』
「どういう意味?」
リルが首を傾げる。
「でも……これが何かの手がかりであることは確かだよね。」
私は紙をしっかり握りしめた。
そのとき、廃墟全体が微かに揺れるような感覚に襲われた。
「地震?!」
吏都が驚いたように声を上げる。
「、?!、違う!外に出よう!」
リルが叫び、全員が慌てて廃墟を後にした。
廃墟の外で
廃墟を抜け出した直後、私たちは振り返り、今しがた出てきた建物を見た。
しかし、特に変わった様子はなく、揺れも収まっていた。
「なんだったの、今の……?」
リンが不安げに問いかける。
「……とりあえず、この紙を持ち帰って先生たちに見せよう。」
静空は息を整えながら言った。
「もしかしたら、この謎を解く鍵になるかもしれない。」
4人は再び足早に森を抜け、村への帰路についた。
しかしその背後では、廃墟の中から微かな物音が響き続けていた。
4話 終
next~5話
【真実への糸口】
ハート沢山頂戴?