コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──窓から差し込む、やさしい朝の光。けれどその穏やかな空気にそぐわず、ハイネの目はカッと見開かれていた。
「…………っ!!??」
寝具は見知らぬシーツ、天井も自分の部屋のものではない。
そして、すぐ横──
「ヴィクトール……??」
幸せそうにスヤスヤ眠る国王。
その胸元は大胆にはだけ、身に纏っているのは、昨夜のバスローブ一枚。
「…………え???」
ハイネはゆっくりと自らの身体を確認する。
──バスローブ一枚。
それも若干、着崩れている。
「えっ、いや、そんなはずは……」
一気に顔を真っ赤にしながら、ハイネは思い出そうとする。
──確か、昨日はワインを飲みすぎて、二人で酔いつぶれて……ソファで話しながら……そのあとは………。
記憶が、ない。
ないことが逆に恐怖を煽る。
「……まさか、一夜の過ちを……」
バッと布団をめくった瞬間、寝ていたヴィクトールがゆっくりと目を覚ました。
「……おはよう、ハイネ」
「おはようじゃありません!!」
「ん? どうしたんだ、朝からそんなに取り乱して」
「どうしたもこうしたも、見てくださいこの状況!」
「……ああ、確かに……これは」
ふと起き上がり、無防備に首筋をかくヴィクトール。
その無自覚な色気に、ハイネはさらに混乱。
「そう見えるかい?」
「見えてしまうのが、困るんです!!!」
「……ふふ、君のそういう反応、好きだよ」
「茶化さないでください!」
その後──
ちゃんとルートを確認すると、昨夜ふたりとも酔って廊下で寝落ちし、召使いが「これはまずい」と思って同じ部屋に運んだ、というだけだった。
「……なんという、全力のすれ違いコント」
「だが君が顔を真っ赤にして慌てる姿を、朝から見られた私は幸せだよ」
「もう黙ってください」