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夕飯に作った肉じゃがを2人で食べながら彼は口を開いた。
「今日俺はどこで寝ればいいんだ?またソファか?」
「……意地悪な人ですね。私が一緒に寝たいの分かってて言ってます?」
「そうだったのか?じゃあ一緒に寝ないとだな」
彼は全てを知っているかのように意地悪な笑顔を浮かべた。これからずっと、私が貴方に敵うことなんて無いでしょう。それぐらい私は貴方に惹かれているんです。
お風呂を済ませ、シングルベッドに2人でくっつきながら寝た。誰かと隣で寝たことなんていつぶりだろう。昔すぎて慣れない。きっと彼は緊張なんてしないだろう。と彼の方を向いたら、耳を赤らめていた。
それがとても愛らしくて、幸せだった。
「なぁ、菊」
「?」
「俺、お前のこと大好きだ」
「…はい。私もですよ」
「だから……その、」
ごにょごちょと喋る彼は、外にいる時とは違い紳士なんて言葉はベッドの上では似合わなかった。代わりに、私にこんなかわいい一面を見せてくれたことが嬉しかった。
「一緒に寝るんだからさ…いいよな?」
「もう、仕方のない人ですね」
「それはお前もだろ」
「ふふ、そうですね」
彼は私の首筋にキスを落とした。
その日の夜は幸せだった。
好きな人と沢山キスを交わした。
肌と肌が触れ合ってた。
初めて抱かれるという不安もかき消されるほど幸せな時間を過ごし、
その日の夜は久しぶりに悪夢を見ず、ぐっすりと眠れた。
きっとストレスが原因だったのだろう。
私にはアーサーさんしかいない。大好きで大切なな人。
目を覚ました時には裸の状態で、彼の隣で寝ていた。
カーテンから挿し込む光が眩しくて上手に目を開けられなかった。
「おはよう菊」
「はい、おはようございます、」
朝起きて好きな人の声が聞こえるというのは、とても贅沢ですねと話しながら、ふにぁと彼に笑いかけた。
その後、彼は私の頬にキスをした。
「もう、何するんですか」
「嫌じゃないだろ?朝ぐらいキスさせろ」
図星を突かれて頬を膨らます程度しかできなかった。そう。嫌な訳がない。
こんなに幸せで、死に急いだ過去の自分を恨んだ。もしあそこで逝ってしまったら、もったいなさすぎてバチが当たってしまうだろう。
毎朝飲んでいた薬も今日は飲まなかった。いつもと違う、ゆっくりした朝に浸れながら幸せを噛み締める。
『私は国なのですから、弱い部分なんて見せたらいけません。下に見られてしまいます』
いえ、違います。私は皆さんを信用出来ていないだけでした。皆さんは優しいから、下に見られない事ぐらい、考えたら分かることだった。
きっと、「そんなことか。気にすんな」とでも励まされて私の気持ちを軽くしてくれるはずです。いえ、してくれます。
弱い部分を人に見せるということは、信用しているという合図なのかもしれませんね。