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メリークリスマス

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メリークリスマス

1 - クリスマス

♥

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2025年01月02日

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息を吐く度、目の前が白く色付く。

身体の熱が冷めていくのをじりじりと感じるほどの寒さに、両手を重ね合わせた。

手のひらに体温が戻ってきた感覚に満足感を得て、僕は先程より軽くなった足を再び進ませた


イルミネーションの輝く街は、時期のおかげか普段よりもいっそう綺麗に映る。街灯の無い夜の星空のようだ。

恋仲であろう人同士が手を繋ぎ、双方幸せそうに頬を紅く染めていたり、少しぎこちない距離感で楽しそうに笑い合う男女がいたり。

そんな幸せな日を送っている人々を横目に一人歩き続ける

そんな街並みに憧れを抱いたのも去年、昨年…。今年の僕も変わらない

でも、その足が進む先は昨今とは違い意味があるものになった。


イルミネーションとはまた違う輝きを放つ、ネオン街の疑わしい光に一段と強い拒否感を覚える。

彼女から来たメッセージを見返す度いたたまれなくなった。哀傷と共に愉悦の入り交じる感情に抑制を効かせる

「今夜、会えない?」

なんて。単純で有り触れた一通のメッセージに、ここまで心が動かされることを僕は知らなかった。



彼女の、手入れされていることが人目見るだけで分かるような綺麗な髪に、くびれがわかる程細く魅力のある身体。

それを知っていても恋仲である訳では無いから、告白をする勇気も無いから、セフレなんて曖昧な関係になってしまった。

だから彼女に恋人が出来ようが知るよしも無い。

でも正直、ほっとしているんだ。クリスマスなんて祝い日に呼び出されるなんて、きっと独り身だからだろうと

そんなその場しのぎの安心感の為に彼女にまとわりつく。


遂に、事前に連絡されていた番号の部屋に着く。

この扉越しに彼女が居ると思うとドアノブを握る事すら怖くなったが、僕はできる限り躊躇なく開ける素振りを見せた。

して、やたらと広く、ピンクの多い装飾の部屋が僕を出迎えた。

それと同時に、やっと来たんだ。と少し機嫌を損ねた彼女が呟いた。

それに僕はごめん、とおちゃらながら伝え、彼女の元へ向かった。

この先する事なんていつもと変わらず、身体を重ね、きっと街に居た恋人と同じ様に愛する人と聖夜を過ごした


事後。僕らは呼んだ側の今日はありがとう。の他に言葉を交わすことも無く一人帰っていく。

それは決して、いつもと変わりやしないと思っていたが彼女が

「メリークリスマス。」

と、僕らの関係に小さな進展を求めるかのように一言発し出て行った。


12/25、今日は何かが動き始める前兆のように思えた

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