テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
帳の部屋
51
烏野高校排球部の日向翔陽は、この日、自らの部屋で頭を抱えていた。
なぜなら、彼のスマホは次から次へと知人からの着信を告げ、その都度、彼の口調と人格が狂ったように変貌せざるを得ないという恐怖のデスマッチが繰り広げられていたからである!
第1幕:西谷夕からの電話(あざと可愛いギャル)
ピロリロリーン♪
画面を見ると「西谷先輩」。日向は一瞬で目を輝かせ、声のトーンを三段階くらい上げてスワイプした。
日向(ギャル):「もしもーし! ノヤさんっ!? えへへ、しょーちゃんだよぉ〜☆ 今なにしてるのぉ? ねぇねぇ、今度タピオカ一緒に飲も? げろ甘なやつ! しょーちゃん、ノヤさんのこと世界で一番ダイスキぴょんっ! ❤️」
西谷:「うおおおお可愛いなおい!! 今すぐ奢ってやるぜぇぇえ!!!」
日向:「きゃはは、大好きっ! バイバァイ♪ 」
ガチャ。
真顔に戻る日向。汗が滝のように流れる。
第2幕:影山飛雄からの電話(メンヘラ彼女)
ブーッ、ブーッ。
「影山」。日向の顔が青ざめ、目から光が消える。恐る恐る出て耳に当てた瞬間、低音のドスの利いた声が響いた。
影山:「……なぁ、日向。今、どこにいる」
日向(メンヘラ彼女):「……え、なんでそんなこと聞くの? 飛雄ちゃん……私いま、部屋に一人だけど……。もしかして、私のこと疑ってるの? 私が他のスパイカーと話してるって思ってるの……? ねぇ、そうなんでしょ!? 私のすべては飛雄ちゃんなのに、そんなこと言うなんて……私、消えちゃったほうがいいのかな……っ!」
影山:「……は? いや、そんなつもりじゃ……待て、泣くな、お前は俺のトスを打ってればいいんだ……っ! 切るなよ、おい!」
日向(メンヘラ彼女):「ふっ……ざけんな、先に切ったのはそっちだからね……ブチッ」
(※即座に電話を切る日向)
「あぶねぇ……! 一歩間違えたらマジで殺される……!」
第3幕:月島蛍からの電話(狂気)
ブルルル……。
「月島」。日向は絶望に顔を歪めながらも電話に出る。
日向(狂気):「……フハッ、ハハハハハッ!! 来たねぇ、ツキジマァ……! お前のその、綺麗に並んだ白い歯を、一本残らずペンチで引っこ抜いて、首からネックレスにしてやろうかァ!? フハハハハハハハハハハ!! キリトリ線なんてないぜぇ、お前の人生にはよぉ!! ギャハハハハハハッ!!」
月島:「……キモ。頭のネジが完全に外れてる音がしたんだけど。二度とかけてこないでくれる、ゴミクズくん」
日向(狂気):「逃げるなァ!!! 俺の太陽を返せぇ!! ハハハハハハッ!!」
ビシャッ!と自分で電話を切る日向。息が荒い。
第4幕:菅原孝支からの電話(致命的にウザいイケボ)
プルルルルン。
「菅原さん」。深呼吸をしてスワイプ。
日向(致命的ウザイイケボ):「フッ……マイ・エンジェル菅原。君からのホットな着信、俺の鼓膜が火傷しそうぜ……。なぁ、今夜は俺の『特製スパイク』で、君のハートをブチ抜いてやってもいいかい……? ベイビー……」
菅原:「…… お前、昨日頭でも打ったのか? なんだそのキモい喋り方は……鳥肌立ってきたわ、じゃあな」
日向(致命的ウザイイケボ):「待てよシャニーング……俺の声という名の毛布に包まれて眠れ……」
ツー、ツー、ツー。
第5幕:黒尾鉄朗からの電話(幼い妹)
ピロリン♪
「黒尾さん」。日向は声を一段と高く、幼く、あざとく作る。
日向(幼い妹):「もしゅもしゅ〜? おにいちゃぁん? どちたの〜? しょーちゃん、いまおねむなのらよ〜♡ なでなでちてくだちゃい♡ あちょぼ? ねぇねぇ、あちょぼちぇよぉ〜♡」
黒尾:「ブハッ!? おいおい、どうした翔陽、俺に妹なんていたっけか!? 可愛すぎてお兄ちゃん、今すぐ宮城からそっちに飛んでいっちゃうぞ〜」
日向(幼い妹):「やーだー! おにいちゃんきらい! ばいばーい!」
黒尾:「おい待て可愛いなおい!!」
ガチャ。
第6幕:孤爪研磨からの電話(甲高いお母さん)
ブルルル。
「研磨」。日向は背筋をピッと伸ばし、肝っ玉母ちゃんスイッチを入れる。
日向(甲高いお母さん):「ちょっと研磨ァーーーッ!!! あんた、またゲームばっかりやって朝ご飯抜かしたでしょーーっ!? ちゃんと野菜も食べなきゃダメでしょ! 目悪くなるよっ! 手洗いうがいはしたのっ!? あと靴下裏返しにしっぱなしよ、いい加減にしなさいっ!!!」
研磨:「……うわ、うるさい……お母さんよりお母さんじゃん、翔陽……分かった、ご飯食べるから、そんな甲高い声出さないで……耳がキーンとする……」
日向(甲高いお母さん):「分かればいいのよっ! じゃあねっ!!」
ガチャッ!
第7幕:担任からの電話(ヤクザ)
ドドドド……(着信音)。
「担任」。日向は冷や汗を拭い、腹の底からドスの利いた声を絞り出す。
日向(ヤクザ):「あぁ、先生か。で、なんの用だコラ。夏休みの宿題? ……あァ? 白紙で出したからって、なんだってんだ。カタギの人間が舐めた口きいてんじゃねぇぞ、オイ。タイマン張るならいつでも受けて立つぜ、あぁん?」
担任:「明日、職員室に来い。退学届と一緒に待ってるからな」
日向(ヤクザ):「へっ、上等じゃねぇか(ツーツー)」
青ざめてスマホを放り投げる日向。
第8幕:監督(烏養コーチ)からの電話(毒舌皮肉)
ブルルル。
「監督」。日向は皮肉屋の仮面を被る。
日向(毒舌皮肉):「おや、烏養コーチじゃありませんか。体育館の窓ガラスを割った弁償代ですか? あいにく僕のその鮮やかなオレンジ色の頭を丸ごと売り払っても、あのガラスの修繕費には一歩届きませんね。いっそ僕を解体してリサイクルショップにでも持ち込んだらいかがですか? あ、頭の悪さは買い取ってもらえないか、ハハ」
烏養コーチ:「お前、朝からどんだけキャラ渋滞してんだよ。つーか窓ガラスの件はまだ根に持ってんのか! 今すぐ走ってこいボウズ!」
ガチャッ。
第9幕:桜遥からの間違い電話(たぬきち)
プルルルルン。
見知らぬ番号。日向はもう何が何だか分からず、反射で出た。
日向(たぬきち風):「もしもしだなも、新しいマイホームを建てたいだなもか? それともローンの返済? ベルが足りないなら、島で虫でも捕まえてくるといいだなも!」
桜遥:「なんだお前、ふざけてんのか? 間違えたわ、切るぞ」
日向(たぬきち風):「待つだなも! ボッタクリじゃなくて、親切なリフォームプランがあるだなもよ!」
桜遥:「二度とかけてくるんじゃねぇ!」
ガチャッ!
最終幕:千切豹馬からの電話(教官・風間公親風)
ブーッ。
「ブルーロック:千切豹馬」。日向は最後の力を振り絞り、目を細め、冷徹な教官になりきった。
日向(教官風):「君は一体、何のためにピッチを走っている? その甘ったれた『スピード』は、ただの自己満足の散歩道か?君の 代わりなど、いくらでもいる。君の未来は、ここで終わりだ。早く退校届を出せ」
千切豹馬(ブルーロック):「俺の足をもぎ取る気? おもしろいじゃん、ぶっちぎってやるよ」
日向(教官風):「……退出を許可する」
ツー、ツー、ツー……。
終幕
すべての電話を切り終えた日向翔陽は、床に大の字にバタリと倒れこんだ。
「もう、二度とスマホなんて出さないっ!」
しかし、その手で握られたスマホは、再び無慈悲なバイブレーションを轟かせ始めるのだった――。
コメント
1件
うわっ…第1話からカオスすぎる(笑) 日向くん、電話一本でこんなに人格切り替わるんや…! 特にメンヘラ彼女と狂気の月島回し、キャラ変えの振れ幅エグすぎて笑った🤣 タピオカギャルからヤクザ担任まで、使い分けのバリエーション豊かすぎる… 元ネタ知ってると更に面白い構成だね! 新作投稿ありがとうございます🥀次も楽しみにしてます🌙