「お、おはよ、陽詩!」
グレーががった白い髪に、特有の赤い目。触れたら折れてしまいそうな程細い身体。おまけに見た目にそぐわない乱暴な口調。
――嘘だろ。
「あー、これあれだ。夢だ。どんだけ音の事好きなんだ、俺…」
「ごめんけど、夢じゃないぜ」
「いやいや、だって音は死んで…」
「だけど夢じゃないの」
「俺、夢って久しぶりに見」
「だぁから、夢じゃないっつってんの!」
言い切る前に、ぎゅむっと頬をつねられる。…うん、普通に痛い。
ぽかんとしていると、ぱっと音(?)が手を離した。
「な、夢じゃねーだろ?」
自慢げにこちらを見上げる彼は、間違いなく音だった。見間違うわけがない。けれど、理解が追い付かない。
「………音、さん?」
「はい?」
「もしかして、…死んでなかったの?」
「いや、俺の葬式見ただろ?死んだよ、俺」
更に訳が分からない。…もし仮に、本当にこれが夢でないのであれば、俗に言う…
「い、生き返った…⁉」
「あーっ、惜しい!残念‼」
ぶっぶー、と顔の前で大きなバツを作る音に、ますます混乱する。音は生き返ったわけじゃない。でも死んだことは事実。死んで尚今ここにいる。
………もしかして。
「ゆ、ゆ、幽霊になったってこと…⁉」
「そう、あったり~‼」
いぇーい、と音はダブルピースを作る。恋人が、幽霊になった。―…こいびとが、ゆうれいになった…………。
「……………っはぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁああ!!!!!!???????」