君に有難うと言いたい
君に有難うと言いたい。
俺は緑谷にそう思った。
彼奴は1Aの生徒で問題児。
人一倍正義感が強く良くも悪くも努力家だ。
俺は英語を教えている身だ。
時々ブツブツと呪文みてぇなこと言っているから、ちゃんと出来ているか手も上げていないのに当ててやっている。
おット、俺の名前いうの忘れてたなァ。
皆大好きプレゼントマイクさんだぜェェェ!
イエェェェイ!!
俺の同期…消太、本名相澤消太。
此奴は俺と同じヒーローをしている奴だ。
だがそいつは実に合理的なヤツデよぉ……
てっ…話しがそれたな。戻すぜぇ!
俺は緑谷に助けられたことがアンダよ。
マァそれは最近の出来事で……って言ってもここ(雄英高校)に入って数日、英語がある時、無いときでも荷物を持ってくれたりよ、話し相手、最近は愚痴まで言って慰めて貰った…
消太には軽く引かれたが俺は気にしなぁい!!
今日も英語があって俺は緑谷に会いたすぎて近道をするために外に出た。
「じ、実は入学の時から…その……えぇと……デ、デク君の事がす、好きでした!!付き合って…下さい/////!」
おっと、告白現場だった。
失礼しちまったなぁ。ちょっと申し訳ない。
ん?
「ふぇ?!う、麗日さん!?……え、えっと…ぼ、ぼぼぼ僕もす、好きだよ!?良ければ付き合っても…良いかな///////?」
俺はバッと振り向き告白現場を見る。
そこには照れている1Aの生徒、麗日お茶子と……
……同じく1Aの緑谷出久が照れながら嬉しそうにしていた。
は?
緑谷?緑谷??
緑谷が告白された?
それだけでも俺の心の中にチクリと何時からか出来ていた引っかかりが増し傷を付けていく。
緑谷はそれを受け取って付き合う?
心の中の傷がジワリと染みこみそこからドス黒い何かが広がっていく。
告白現場の会話が一文字一文字間違わずにリピートされエンドレスに映像が流れる。
時間が経つにつれドス黒い何かが広がっていく。
広がって…広がって……
俺を支配していく……
────殺せば……俺の物になるのか?
その考えにようやくハッとする。
俺は教師だ。
殺しなんかしちゃあいけねぇ。
自分でもこの感情、この思考に焦る。
何故こんなことを思ったんだ?
俺には…関係ない話だろ。
生徒が幸せならうれしいじゃねぇか。
俺はそれを祝福する側だ。
幸せな…緑谷を祝福……す…る。
俺はそれが出来るのか?
また緑谷の前で笑えるのか?
幸せを…嬉しいと…祝福を…出来るのか?
「マイク先生!!」
「っ!!あ、なんだ緑谷ぁ!」
「そこ間違っていますよ!」
いけねぇいけねぇ。
今は授業中だった。
いつの間にか考えている間に授業中になっていたらしい。
無意識で授業を教えれるって凄くね?
と、思ったがまたさっきの緑谷の話だけに脳全体が埋まっていく。
あぁ、緑谷ァ…
この黒いモヤを教えてくれよ…
何でそんなに嬉しそうなんだよ…
俺の気持ちも知らないで……
ただ…ただ……
俺はお前が“好き”なだけなのにヨォ……
好き?スキ?すき?
あぁ、そうか、俺はただ緑谷が好きなだけなのか…
そうか、そうなのか!!
俺の中を支配していた黒いモヤが消えていく感覚がした。
「緑谷ァ!!」
「マイク先生!!ど、どうして僕に!?」
「いや、もう時間遅いだろう?教師として見逃せねぇなぁ。」
「ウッ…確かに。」
そう、僕は皆に後れを取らないように必死に一人で自主練を放課後にしていた。
それで今はもう日が沈みきりそうになっている。
まさかマイク先生に見られるとは思っていなかったので正直ビックリした。
「俺が送ってやんよ!安心しなリスナー!!」
「え!本当ですか!?でも迷惑じゃ……」
「迷惑なんて思ってねーよ!俺がやりたいからやっているだけだヨゥ!」
「…じゃあお言葉に甘えさせて頂きます!!」
今日俺は好きだと気付いたその日から企んでいた計画を実行した。
「マイク先生、次は右です!」
「OK!こっちだな!」
「へ?!違いま……す…………ょ…………………」
ドサッ
緑谷はまるで映画のように…気絶したように綺麗に倒れた。
緑谷は寝息を立ててこの後何が起きるのかも分からずにすやりと気持ちよさそうに寝ている。
少し隙間の空いた口の中からキラリと何かが光る。
プレゼントマイクはそれを丁寧に取り除き、捨てる。
それは真っ赤なバラのようなアメ玉だ。
それは先ほどプレゼントマイクが緑谷出久に食べさせたものだ。
「あぁ、可愛いなぁ。“出久”は。」
マイクは出久の唇にキスをする。
そして首へ…
首に食らいつき赤い…バラの花びらを落とす。
それはまるでさっきのアメ玉のようだ。
マイクはそれを見て自分の物と言う印ができウットリする。
あぁ、本当に感謝したいなぁ。
麗日お茶子。
君に有難うと言いたいよ。
本当にこの気持ちに気付かせてくれて…
ようやく分かった…
緑谷は…出久は………
────俺の物だ。
君に有難うと言いたい
end
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