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同居ifシリーズなので、前話(前話というのは『愛してるよ、僕の可愛い王子様』のことです。連載とか言いながら普通に読み切りにしちゃってすみません。まだ操作を思い出せてません…)を見ていないと「ん?」となる箇所が度々あるかもしれません…!新参者なので、キャラの話し方や物語の展開など、至らぬ点も多いですがどうかお許しください…!よければ♡とコメをくださるとありがたいです…!最後に、前回に比べて物語が短くなってしまってごめんなさい…!長々とお書きしましたが、本編をどうぞ!
2.「これ、元気になるためのおまじないだから」
ーハリーsideー
ドラコの風邪が回復してから数日が経った。しかし、彼の白い肌はまだ、火傷の跡が痛々しく残っている。あのあとすぐに腕を冷やして包帯を巻いてやったものの、火傷をしてから数時間経っていたからか、どうにも治りが遅い。それなのに、あの意地っ張りな王子は、無理に家事をこなそうとする。ハリーはその度に彼を止めるのだが、それも一苦労だ。今日も、どうせ先に起きて不器用に朝食を作っているのだろう。そんなことを思いながらハリーは急ぐ足で(休日だから急ぐ必要はないのだが)階段を降りた。リビングに行くと、案の定、ドラコは不自由な手で包丁を持ち、食材を刻んでいるところだった。ハリーは、今すぐにでも止めたい気持ちを抑え、呆れた体で後ろから彼の細い肩に手を置いた。
「…おい、ドラコ。何してるんだよ、朝から。…包丁持つのは禁止だって言っただろ?」
「っ…!」
ドラコはびくりと肩を揺らして、それから気まずそうに振り返った。
「…べ、別に何もしてないだろう…」
明からさまに目を逸らしながらゴニョゴニョと呟くドラコに、ハリーは少し怒った顔を作って無理やり包丁を奪った。
「…僕には、料理を作っているようにしか見えないんだけど」
「う…」
ドラコは、まるでイタズラがバレた子供のような顔をする。その顔を見ていると、ハリーの胸は理由もなしに早鐘を打ち始めた。ハリーは、胸が高鳴るのを彼に悟られないよう抑えながら、表向きの説教を続ける。
「僕言ったよね?火傷が完治するまで何も触るなって」
「…ぼ、僕だってこれくらいできる。君、僕のことを舐めすぎじゃないか?」
「そんな震える手してよく言えるよね。食器すらまともに持てない癖に。……自分が何してるか分かってる?僕は君が心配だから言ってるんだよ?」
そう言ってドラコの目を見ると、彼は言い返す言葉が見つからなくなったように、何度か口を小さく開いたり閉じたりを繰り返したあと、上目遣いでこちらを見つめながら小さな声で尋ねてきた。
「…怒ってるか…?」
「っ……」
ハリーは思わず息を呑む。反則だ。ドラコは本当にずるい。無意識なんだろうが、そんな顔されたら、何も言えなくなってしまうじゃないか。
「べ、別に怒ってるわけじゃ…ただ心配なだけで……その……そんな顔させたかったわけじゃ…」
「…そうか」
ハリーが言葉に詰まりながら返すと、ドラコは安心したように顔を緩めた。その表情に、ハリーの心は再び大きく揺れた。こいつは、本気でハリーが怒っているとでも思っていたのだろうか。全く、本当にこのドラコという男は……。ハリーは内心の動揺を誤魔化すように、ある提案をした。
「…そうだ。朝食はもういいからさ。一緒にお茶でも飲まない?」
「…は、お茶…?」
気が抜けたように返してくるドラコに、ハリーはイタズラっぽい微笑みを返す。
「そう、お茶。紅茶でも飲まない?ほら、ドラコが淹れてくれようとしてたやつ。…覚えてる?」
「紅茶…?……ああ。あれのことか……正直、あまりいい思い出はないんだが」
ドラコは記憶を思い出すように視線を天井に巡らせたあと、思い出したのか、少し顔を顰めて返してくる。
「あはは、そんな顔しないでよ。僕は嬉しかったんだから。ちょうど、知り合いにいいお菓子をもらったところでさ……あれ?」
くすくすと笑いながら食器棚の扉を開けたハリーは、思わずそう声を漏らした。
「どうした?」
「あ、いや……茶葉が見当たらなくて…間違って捨てちゃったのかな…?」
ハリーがそう言うと、ドラコは呆れたように返してくる。
「はあ?どうやったら手を滑らせたら茶葉の入った瓶をなくすんだ。君は本当に変わらないな」
「ごめんごめん。何か代わりになるもの……あ。これとかどう?」
そう言って、ハリーはコーヒー豆の入ったガラス製の容器を取り出した。
「…ああ、コーヒーか……まあ、悪くないな」
「あはは、相変わらず素直じゃないんだから」
いや、彼にしてはだいぶ素直になった方か。そんなことを考えながらハリーは慣れた手つきでコーヒーを淹れ始めた。これでも一般家庭で育ったのだ。見よう見まねでも、それなりのことはできる。…まあ、まともな待遇はされていなかったが。そんなハリーの心の沈みを感じ取ったのだろうか。ソファに座りながら、コーヒーを淹れるハリーを興味ありげに見ていたドラコが、不意に立ち上がってハリーの横に立った。
「…どうしたの、ドラコ。座ってなよ」
「…座らない」
ハリーが促しても、ドラコは頑なに首を横に振る。
「…なんで」
「…君が寂しそうな顔してるのに、座って見てられるわけないだろ」
「…え?」
ハリーは思わずそう聞き返す。ドラコは今なんて言った?「寂しそう」?「座って見てられるわけない」?それはつまり……
「…え、ドラコ、僕のこと心配してくれたの?」
ハリーがそう尋ねると、ドラコは真っ白な肌を真っ赤に紅潮させ、思いきり睨みつけてきた。そのまま、何かを言おうと口を開いたが、思い直したように再び口を閉じて、小さな声でつぶやいた。
「……悪いか?」
「え…」
ハリーは、あまりの予想外の反応に、驚きと戸惑いを隠せない声を漏らす。てっきり、「そんなわけないだろ!少しは身の程を知れ、この馬鹿!」とでも言い返されるとでも思っていたのだが……
「…なんだよ。黙ってないで、何か言え」
「…ドラコ、随分丸くなったね」
赤い顔で毒づくドラコにハリーがそう返すと、彼はますます顔を赤くして、「…もういい!早くコーヒーを淹れろ!」と叫んで再びソファに戻ってしまった。ハリーは、彼のコーヒーに角砂糖を入れてやりながら、呆れた体で、しかし愛おしさを堪えきれない声で言葉を返した。
「いや、君から絡んできたんじゃん」
「…君が変なことを言うのが悪い」
そう不貞腐れた声で返してくる彼が可愛くて、思わず笑い声を漏らしてしまう。
「…ふふ。ごめんごめん」
「なんで笑うんだ、気味が悪い…」
少し引いた様子でそう言うドラコに、ハリーは込み上げてくる笑いを堪えきれずにくすくすと笑いながら、コーヒーのカップを差し出した。
「ほら、コーヒー」
「…ん」
不機嫌そうな顔だったドラコが、コーヒーに口をつけた途端少し表情を緩めるのを見て、ハリーも微笑みながら自らのコーヒーに口をつけた。
ードラコsideー
「ん、このコーヒー美味しいね」
そんなことを言ってニコニコと笑いながらコーヒーを飲む同居人を見て、ドラコは一つため息をついた。もう一度コーヒーに口をつけたところで、ドラコはあることに気づいてその疑問を口にした。
「…ハリー。このコーヒー、砂糖入れたか?」
ドラコの問いかけに、ハリーは不思議そうに頷いた。
「うん、入れたけど…なんで?」
「なんで、はこちらのセリフだ。なんで砂糖を入れたんだ?」
ドラコが少し急かすように返すと、ハリーは少し慌てたように返事をした。
「え、ドラコって甘いもの好きでしょ?…あれ、もしかして違って?」
「…!」
ドラコは思わず息を呑む。なんでハリーは、自分が甘いものが好きだということを知っているのだろう。ハリーどころか、父上や母上にすら教えたことがなかったのに…
「…なんで、知ってるんだ」
「え?だって…部屋に色々甘いもの置いてあるし…甘いもの食べてる時、ちょっと表情緩むから、好きなのかなって…」
戸惑いの色を隠せないドラコとは対照的に、彼は平然とそう返してくる。
「…そんなところまで、見てくれてたのか…?」
ドラコが遠慮がちに尋ねると、ハリーは当たり前だと言わんばかりに、屈託のない笑顔で頷いた、
「当たり前じゃん。好きな人のことなんだから」
「っ…!?っ、ゲホッゲホ…!」
ハリーの真っ直ぐすぎる告白に、ドラコは思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。それをなんとか堪えて、しかし思い切り咳き込んでしまうドラコに、ハリーは慌てて駆け寄って背中をさすってくれる。
「え、大丈夫?また風邪でもぶり返してきた?」
その言葉を聞いて、ドラコは心底呆れてしまう。こいつは自分が言った言葉の大きさを分かってないのか…
「…簡単に好きとか言うな、この馬鹿…!」
咳が治まり、ようやく出せるようになった声でそう言いながら軽くハリーを叩く。だったつもりが、火傷を負った手は、軽く叩いただけでもズキズキと痛む。
「っ……」
無言で痛みを堪えるドラコを見て、ハリーは、「ごめんごめん」と言いながらしばらく面白そうにくつくつと笑っていたが、何かを思いついたように「あ、そうだ」などと言ってドラコの手をそっととる。
「ドラコ、ちょっと手、貸して」
「…?なんだ…?」
不思議に思ってそう返すドラコを、ハリーは、にっと笑って見つめ返した。あ、これは嫌な予感がする。そう思って止めようと思った時にはもう遅かった。
「ほら、行くよ?…痛いの痛いの、飛んでいけー!」
ハリーは、わざとらしくそう叫んでドラコの手に添えていた自分の手を勢いよく払ったかと思うと、そのままドラコの手の甲にキスを落とした。
「っ…おい、何をする…!」
ドラコが真っ赤になって抗議すると、ハリーは手から唇を離してまたもやにっと笑った。
「あ、これ?極東の国に伝わるおまじないだよ」
「はあ?これがか?…怪我人の手にキスをするなんて、極東の人間は随分変わってるんだな」
ドラコがそう皮肉をこぼすと、ハリーはおかしそうに笑ってこう付け加えた。
「あはは、キスは僕のオリジナル!」
「なっ…!ふざけるなお前…!」
ドラコは真っ赤になって、そばにあったクッションを彼に投げつける。ハリーは「悪かったって、そんな怒るなよ!」と言いながら笑っていたが、ふと柔らかな笑みを作り、優しい手つきで再びドラコの手を取った。
「でも、本当におまじないだよ?ドラコが早く元気になるためのおまじない。…元気になった?」
そんなことを言いながら確信犯的な笑顔で聞いてくる。いつになく真っ直ぐなハリーの目に見つめられ、ドラコはこれ以上ないほど赤くなりながらこう返した。
「…ふん。こんな効果的な魔法は初めてだよ。……またやってくれ」
それを聞いたハリーは、驚いたように目を見開いたあと、とても愛おしいものを見るような目でとろけそうな笑みを浮かべてくれた。
コメント
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ハリドラかわいいです〜 フォロー失礼します!
めっちゃいい!文の作り方とか天才か、、、?ノベルかけんのすげぇな(私はチャットノベルしか書けない😭)