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side:m
遠い遠い時の果て
そこに住まう人々は
永遠の命を持つ
世界での話
赤い実の成る木の下
m「LaLaLuLa」
生まれながらに
死の呪いがかけられた
少女の話
side:r
僕の名前は藤澤涼架
色付いた街外れにある青く光る湖畔に建つ赤い実のお菓子屋で一人寂しく暮らしている
r「ちょっと寒いなぁ」
赤い実で作った自信作のお菓子を売りに行く
待ってて
今度こそ美味しいんだから!
時計塔のみえる市にやってくると 今日は珍しく賑やかで驚いた
賑やかな街の様子を見ながら街の隅に佇む
行き交う人々に
r「赤い実のパイどうですか?」
「自信作なんです」
と問いかける
だけど
a「そんなの一つも売れないさ」
僕を見て蔑む人たち
みんなと何も変わらないのに
美味しくできたのに
今日も声は届かないのね
まるで透明になったみたいだわ
side:m
そうして誰もが知らぬふりをした
なぜなら少女は呪われてるから
彼女がお菓子に使う赤い実は食べると死の呪いを受ける実だ
だから人々は彼女と距離を置いている
死んだ世界で唯ひとり生きていた少女の話
side:r
r「できたっ!」
どんなに避けられても諦めたくない
今日は夜なべして作ったアレンジパイを持って街に行こう
r「よし!」
にっこりスマイル引っ提げて家を出る
街へ行くと時計塔の針が空を指している
きっとみんなお腹が空いているだろう
ドンッ
r「へっ?」
バタッ
後ろから誰かに押された
パイが入った籠が地面に落ちる
人々は平気な顔をして落ちたパイを踏んで去っていく
僕は惨めに落ちてしまったパイを拾っていると
ふともうひとりの手が伸びてきて
人々が踏んでどろどろになってしまったパイを口に入れ
?「おいしいね」
と言ってくれた
僕の目から涙が溢れてきた
その声で心は溢れた
まるで輪郭を描いたみたいだわ
side:h
初めて見た時から彼女のことが好きだった
優しい笑顔の綺麗な人
そして泡のように儚く消える命を持っている
俺にとって死の呪いは彼女の欠点ではなく彼女に心惹かれる理由だった
h「これで俺も君と一緒」
「永遠の命じゃなくなった」
「これからはふたりで生きていこう」
r「…うんっ!」
side:m
そうして彼は手を差し出した
何故なら少女に呪われてるから
死んだ世界で唯ふたり生きていた遠い物語
side:m
街の人達 は哀れむ
赤い実を食べて呪われた者を
b「永遠に生きられずに死ぬのさ」
c「嗚呼なんて可哀想な話」
ふたりは笑う
それでも笑う
m「La La La」
side:r
r「とっても素敵な呪いね」
「例え明日死んでも」
「『今』が大切で確かになるから」
終わりがあるからこそ、それまでの一瞬一瞬を大切に生きられる
明日死んでも後悔のないように
今を大切に生きよう
side:r
もう声は届かないのね
まるで透明になったみたいだわ
そうして誰もが知らぬふりをした
何故なら世界が
m「呪われてるから」
r「へっ?」
side:m
『永遠』の呪いは解かれていた
まるでふたりの方が狂ったみたいだろう
そうしていつか笑うように眠る
何故ならふたりは放たれてるから
r「短い人生を愛そう」
「そして存分に楽しもう」
h「共に寄り添い手を取り合って幸せに生き」
r.h**「幸せに死んでいこう!」**
m「死んだ世界で唯ふたりだけが幸せだった」
林檎売りの泡沫少女/ゆっけ
end
ご一読いただきありがとうございます
よければ♡、コメントよろしくお願いします
天使のボクは1247いいねありがとうございます
飛び跳ねて喜んでます
よければ曲パロの方もよろしくお願いします