あれ……
俺生きてる………なんで……
俺が銃を握っている手は空を向いていてどうやら最期の弾丸は虚空に消えてしまったらしい
? 馬鹿野郎!!!
怒鳴り声が背後から聞こえて俺は振り返る
そこには俺の手首を掴み銃口を空に向けた張本人が立っていた
らっだぁ なんで…こんなことするの…なるせ
成瀬 なんで死のうとするんだよ!!
成瀬 お前を庇っていなくなった仲間だっていただろ!?
成瀬 そいつらの意思を…無駄にする気か!?!!!
らっだぁ …
らっだぁ 俺は…さ
らっだぁ もう壊れちゃったんだよ
らっだぁ不良品は捨てないといけないでしょ
成瀬 ……
俺がそう言うと成瀬は俺の頬を叩いた
俺は反動で地面に倒れる
成瀬 なにが不良品だ!
頭上から成瀬の本心が聞こえてくる
成瀬 お前がいるから俺がここまで来れたんだろ!?
成瀬 お前がいたから助かった奴だっていただろ………
成瀬 お前が死んじゃったら…おれは………
成瀬 おれは…どうすればいいんだよ……………
ぽたりぽたりと大粒の水滴が垂れてきて俺の頬を濡らす
成瀬 なぁ…
成瀬 おれはどうすればいいんだ…
成瀬は座り込み俺を見た
しわくちゃになったその顔は俺に訴えかけていた
らっだぁ ……
俺はどうしたらいいかわからなくなってしまった
死にたい
死にたくない
成瀬をおいていけない
でもぺいんとの所にいきたい
楽になりたい
もう苦しみたくない
生きているのが辛い
助けてほしい
仲間をもう失いたくない
見え張って強がっている成瀬だけど…
でも本当のお前は誰よりも優しくてか弱くてすぐにストレスを溜め込んで
一番苦しんでいるお前を俺は見捨てたくない
お前の悲しむ顔が見たくない
一人で戦死した仲間の名簿を見て泣いているお前をもう…見たくない………
俺はそんな成瀬を宥めたかった
でも…………でも…
なぜか拭いても拭いても涙が止まらなくて
俺は混乱した
らっだぁ うぅっ……ぐすっ…スンッ……うぅ……グスッ…
成瀬 よく頑張ったよ…お前は…グスッ
成瀬が泣きながら俺に近づいてきて俺を抱きしめる
成瀬 よしよし…
背中をさすり俺を宥める
なるせだって相当辛かっただろうに……
俺たちだけが生き残って
挙げ句の果てに俺が自殺なんでしようとしたらそりゃあ泣くよな…
なのに俺に気遣って
優しくして
本当に俺は不甲斐ないな………
ぺんちゃんも、頼れる先輩も、猫みたいなかわいい後輩だって守れない……
成瀬さえも泣かして…
本当にダメだなおれは……
らっだぁ なるせぇぇぇっ……ごめん…ごめんッ………
泣きながら言っているからか俺の声は鮮明ではなかった
らっだぁ ごめんっ………
そこからの記憶は俺には残っていない
成瀬いわく疲弊し切った俺は成瀬に泣きながら謝った後急に気絶したそうだ
それで今はベースキャンプで寝ている
俺は体が起こせない
すっごく痛い
成瀬が時折テントに入ってきて俺容体を見てくれる
俺は睡眠不足、ストレス過度、栄養失調、貧血…等
健康状態が最悪だったらしい
それの反動があの瞬間、成瀬と心を通わした瞬間気が抜け気絶した…というわけ
成瀬 でー?お前は当分動けないだろうしこれから俺らはどうなるんだろうな
らっだぁ …わかんない…w
成瀬 w
成瀬 なんだよwわかんないってww
いつまでも
いつまでもこうして
ふざけて
笑い合っていたい
カラスがテントに入ってきて一つの便りを運んできた
成瀬はカラスの足につけられた紙を丁寧に外し中身を読み上げた
成瀬 親愛なる軍人たちへ
成瀬 長きに渡り続けられてきた戦争はついに終止符を打たれた
成瀬 君たちにはよく頑張ってもらった
成瀬 総司令部長官として感謝の念を贈らせてもらう
成瀬 また
成瀬 無念にも散っていった仲間たち…
成瀬 苦しんできた市民らにも深く感謝している
成瀬 戦争は終結した
成瀬 我らの勝利だ
成瀬 今までありがとう
成瀬 総司令部長官より
らっだぁ それって……
成瀬 俺たちが…勝った……
らっだぁ ……
成瀬 ……よかった…………これでもう人が死ぬのを見なくて済むのか…………
らっだぁ お疲れ様なるせ……ありがとう
成瀬 あぁ……らだお……俺もありがとう
俺たちはその後軍人をやめ各々の人生を送る
この先彼らがどうなるのかは誰にもわからない
だが
彼らの人生に
幸運が訪れることを
願いたい
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