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大正
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裏五条
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サイボーグ01番には、高度な人工知能が搭載されている。
3番が2年の時を費やして作った、限りなく人間に近い思考と、サイボーグとしての機械的な思考の両方を備え持つ、ハイブリッドな知能。
恐らく、六駆よりも賢いのは確実だと思われる。
そんなサイボーグ01番が、人工知能をシェイクされていた。
敵を視認したら、まずは状況確認。
それがクリアされると、相手を一撃で屠る事の出来る威力を策定。
最後はそれを淀みなく、敵の急所に叩き込む。
このシンプルで隙のない思考は、サイボーグ01番の戦闘の基礎であり、全てでもあった。
極めて強力な煌気光線を駆使し、ラキシンシを加工して作られた鉄の体は並のスキルならば回避するまでもなく弾き飛ばせる。
よって、彼の思考の中にある戦闘パターンは極めて単純。
だが、それこそが強みでもあった。
「ダァァァァイナマイトォォォォォうぉぉぉぉぉん! ダメやんけぇぇぇぇ!!!」
「目標。日本探索員協会。監察官・木原久光。目標の行動原理、理解不能。再計算。……深刻なエラーが発生。3秒ほどスリープモードへ移行。たんぽぽ、きれい」
木原久光の常軌を逸した行動が、01番を内部から破壊しようとしていた。
木原の拳に宿る煌気を一撃でも喰らえば致命的な損傷に繋がると01番は理解している。
これまでの戦闘で、『ダイナマイト』を放つ決定的な瞬間が何度もあった。
が、その拳が01番に触れる事はなく、何故か壁や天井を破壊していく。
「デスターの破壊が目的の可能性、あり」と01番は計算したが、その中途半端に凶悪な破壊活動はあまりにも無駄が多く、思考が停止される。
木原監察官としては、こちらもまたシンプルな思考で行動していた。
『ダイナマイト』を打つ瞬間に芽衣の分身が視界に入ると、どうしようもなく狙いが外れるのである。
外れているのは彼の頭のねじかもしれないが、そんな事は今さら確認するまでもない。
「再計算。不可。再計算。不可。再計算。さいけいさ、たんぽぽ。きれい」
「ダァァァァイナマイトォォォォひゃおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
彼らは何と戦っているのだろうか。
ご存じの方がいたら、至急現場に急行して頂きたい。
住所は異世界キュロドス。最北端にある軍事拠点デスターである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「おい。ヒャルッツよ。この大量のたんぽぽのイラストはなんだ?」
「01番から絶えず送られてくるのだ。私は、監察官・木原久光のデータを送れと命令を出しているのだが」
ガーガーと音を立てて、01番の得た情報がモニターに出力される。
「おい。さっきまで咲いてたたんぽぽが、綿毛飛ばし始めたぞ。意味が分からん」
「私に聞かないでくれ。ああ、綿毛がどんどん飛んでいく」
6番と4番。
彼らは「サイボーグ01番は敵によって何らかの妨害を受けた結果、故障した」と判断する。
「もう、自爆させるか。とりあえず、構成員に退去勧告は出してるだろ?」
「ああ。もうデスターに残っているのは、私とグレオ、君だけだ。あとは……」
「サイボーグたんぽぽだな」
「ああ。もう綿毛もすっかり飛んで行ってしまった」
6番は端末を操作する。
それは、サイボーグ01番の自爆プログラムの起動を意味していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「みみみっ。六駆師匠。お願いがあるです。みみっ」
いつの間にか後退していた急襲部隊の本陣にやって来る芽衣。
眼前では、まだ数百体の芽衣の分身が飛び回っている。
「うんうん。お見事! 完璧に『幻想身』を使いこなせてるね! 木原さんも芽衣のオリジナルを見分けられないみたいだ! すごいよ!」
「みみっ。じゃあ、ご褒美におじ様を『大竜砲』辺りで撃ってくださいです。誤射と言う形でお願いするです」
「なるほど! ちょっと聞いてみよう! 南雲さん!!」
「よし、やろう! って、バカ! やるわけあるかい!! 監察官を暗殺しようとするんじゃないよ!!」
「ダメだってさ。南雲さんが良いって言ったら、僕はやったんだけどね」
芽衣は目に見えてしょんぼりして見せた。
だが、さすがに六駆も味方をフレンドリーファイアで亡き者にするのは抵抗がある様子。
彼に人の心が残っている事実を、我々は安堵するべきだろう。
「……ん? あ、まずいな、これ」
「なに? 逆神くん、ヤメてくれる? そのガチのトーンで呟くの。本当にまずいみたいな空気になるからさ。うひょーとか言ってよ」
「南雲さん。僕たち、死ぬかもしれません」
「嘘でしょ!? どういう流れで!? 大相撲の八百長よりも説明がずさんなんだけど!?」
六駆は暇に任せて『観察眼』を使い01番を眺めていた。
単純に、サイボーグと言うものが懐かしかったからである。
「珍しかった」ではなく「懐かしかった」と感想を抱いた理由は、六駆がかつて転生した先の異世界でサイボーグ兵器が実戦投入されていた事を思い出したからだった。
『観察眼』が捉えた、01番の煌気の高まりはかつて見たサイボーグ兵器が自爆する時のものによく似ていたらしい。
と言うよりも、確信が持てるレベルで酷似していたらしい。
ひとまず、「そんな感じです」と上官に情報を伝える六駆。
南雲は慌てた。
「ば。爆発の規模はどの程度になる!?」
「この軍事拠点は吹き飛びますね。確実に」
「逆神くんの防御スキルで対処できないのか!?」
「いやー。僕を含めて何人かまでならイケますけど。だって自爆するまであと2分くらいですもん。全員を守るのは自信ないです」
「で、では、『門』でとりあえず避難しよう!」
「それは良い手ですけど、この距離だと木原さんが1人で死にますよ? もしかするとあの人なら生き残るかもしれませんけど」
南雲は「ぐぅぅ」と唸り、考えた。
木原久光は面倒な人間であり、扱いも極めて難しい。
が、監察官最強。つまり、六駆を除けば最強の矛となり得る男。
そんな彼を見殺しにする選択肢を、優しい南雲は選べない。
「逆神くん! 50万円あげるから、どうにかできない!?」
「う、うひょー! じゃあ、どうにかします!!」
南雲は思った。
「どうにかできるなら、最初からやってちょうだいよ……」と。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふぅぅぅんっ! 『瞬動・三重』!!」
「おうおうおう! 逆神ぃ! てめぇ、芽衣ちゃまの前でカッコつけるつもりだなぁ!?」
六駆は右手に煌気を集めながら、木原に説明をする。
端的に。要点だけに絞って。
「このロボ、あと1分ちょっとで自爆します。それをされると、僕たちは無事ですけど、木原さんの大事な芽衣が死ぬかもしれません。とりあえず自爆を阻止したいので、木原さんはこのロボの胸をこう、ガバッ! って開けてくれます?」
「マジかよ! そりゃヤベェじゃねぇの!! 任せとけよ!! うぉぉぉぉん!!」
シンプルなオーダーは脳筋戦士になるほど、常人よりもすんなり通るものである。
「ダァァァァイナマイトォォォォ! ガバァァァァッ!!!」
「あっ、いいですねー! やっぱりあった! これが爆弾かな? じゃあね、これを引きちぎりまして……!」
「ガ、ガガガガガ。機体に深刻な損傷発生。ワタシは、もう、死ぬ?」
「大丈夫ですよ、ロボさん。あなたを生かしておくと南雲さんがもっとお金くれそうなので!! ご安心を!! ふぅぅぅぅん!! 『急な単身赴任』!!」
六駆は01番から爆発物を分離させ、空間転移スキルで消し去った。
転移先は、キュロドスの荒野。
アタック・オン・リコでは酔うので、ここまで空を飛んで来た六駆。
その道中で無人の荒野が広がる空間座標を覚えていたのが幸いした。
「よし、あとは僕が素早く消えると! カメラには映らない!! ふぅぅぅぅん!! 『瞬動・三重』!!」
逆神六駆。
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コメント
1件
あはは、いやもう最高でしたよこの回! サイボーグ01番が木原さんのあまりにも謎すぎる行動パターンに困惑して「たんぽぽ。きれい」ってスリープモードに入るの、完全に壊れてて笑いました。あと六駆さんが50万円で「うひょー!」と掌を返すところ、お金にがめつくて最高にかっこいいですね。今回はコメディ全開で、でもちゃんとバトルとしての緊張感もあって、とても楽しかったです! 次も楽しみにしてます!