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リビングの丸い木製テーブルに、少し奮発して作ったカルボナーラや、市販で買ったマルゲリータを設置してパーティコップにオレンジジュースを注ぐ。
今日は我が娘のラテカの誕生日で、折角だから親戚や友人を呼んでのパーティだ。
「ママぁ?ケーキは?」
「ケーキは一番最後に食べるんですよ、ラテカ」
そして今回の主役のラテカは、親戚の息子さんとシルバニアで遊んでいるが、偶にケーキは?と強請ってくる。
「お邪魔して悪いねぇ、伽羅さん」
「いえいえ、流石にこの量も食べれないですし、ラテカも大勢のほうが退屈しないと思ってのことなので遠慮はいりません」
遊ぶ子供達を眺めながら、ツマミのポテチや柿の種を頬張りながらカシューッと音を立ててビールの缶を開ける。
ママ友の柚月さんと一緒に最近は子供達がどうとか、と愚痴や相談事を話し合いながらビールを飲む。
「酒は我慢してたんじゃなかったのかい?伽羅さん」
「あの時は子供も幼かったので我慢はしてたんですが、胃の検査でお腹がかっぽり空いた時に酒を飲み散らかしたら案外お酒に強いことを知って飲むようになりました」
「反省はしてないのね」
胃の検査というのは看護師に偶にある検査で、胃の中を見るもの。そのため、お腹は空かしておかないと駄目だからご飯は食べてはいけなかった。
慣れているにしても、流石にいつもキツイと思います。
「伽羅さんとこのヒサリちゃんは最近産まれたんだって?大丈夫なのかい?」
「思ったより大人しいんですけど…夜泣きも最近は酷く、オムツもしょっちゅう濡らしてるんで大変ですね。そういう柚月さんはどうなんですか?双子が産まれたとか…」
意外と切実な悩みがこれだ。ヒサリの夜泣き。酒を飲んで頭がガンガン痛い時に泣きわめく声が聞こえたら頭に響いて体調が優れなくなるのだ。
あと、柚月さんは双子が最近産まれて、夫と頑張って世話をしているそうだ。最近にはまた子供が孕んだとか…。
「一番上の子はもう6歳で年長意識が高くて偶に料理を手伝ってくれるんだけどね…あんなポワポワしたちっちゃいおててで包丁を持ったりするのは危なくて見ていられないんだよねぇ…」
「こわいですねぇ…」
二人とも酒が頭に周り、まともな思考はしていない。それでいいのか看護師共。
「ちょ、待てーいねけめ!!」
「らっだぁ煩いです黙れ」
「いつもより辛辣!」
そしてあそこの高校生といえど自分より遥かに年下の子供達と戯れているニット帽の彼は、お酒は飲めないので潰れた大人達の介護やもしものための保険に来てもらったんだが…
「Hi.my name is ラテカ!」
「えなんでこの子英語喋ってんのこわ」
見ての通り遊んでいるだけ。
時間が経ち、ピザも無くなり、パスタもみんな食べ終わった頃。黒いリボンをつけたラテカはフォークを握りしめ今か今かと我が母が来るのを待っている。
そして現れた我が母が両手に持っているのは楽しみに待っていた、6というロウソクが刺さったアイスケーキ。
ロウソクに火を宿し、ハッピバースデーの歌を歌って、ハッピバースデートゥーユーラテカの合図と共にフゥ~と息を優しく吹いたラテカによって、火が消え去る。
「cake!!」
「待ってね、今6等分するから」
火を消したラテカは早速ケーキにフォークを突き刺そうとしてきて、一旦ラテカを止めて、ケーキナイフでサクリと切っていく。
切れたケーキをそれぞれの皿に乗せて、改めていただきますと手を合わせた。
チョコアイスのケーキで、外はシットリしたクリームが塗られているが、中はアイスらしいなめらかで冷たいチョコアイス。
子供達は口周りにチョコをベタベタとつけて不器用にフォークでケーキを頬張っていた。
らっだぁは育児疲れの私のような顔をしたままチョコアイスの味を噛み締めて食べていた。まぁあんなに体力化け物の子供達と遊んだもんね。
柚月さんはツマミでお腹いっぱいなのでケーキは遠慮しておくだそうだ。
子供達も食べ終わって、柚月さんとらっだぁはそろそろ帰るらしい。あっという間だったが、子供達は大満足したよう。
ヒサリはもう寝ていて、今はこの荒れ果てたリビングには私とラテカがいる。
黒いリボンで飾り付けられた部屋を掃除機でゴミを吸い取ったり、リボンを剥がしたりして、食器は紙製なので全部ゴミ箱に。
ラテカはもう眠いのか、歯磨きをして布団にダイビングしていた。
結局、パーティ後の後片付けが一番大変なんだよねぇ…
多分今私の顔は死んだ魚の目をしているよ
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メーカーで作ってふと思いついた話
↓ラテカちゃんと母氏
コメント
11件
最後のアイコンwママめっちゃ疲れてそうだったよw
めっちゃ良かった!