テラーノベル
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「来週、中間試験を行う。」
担任の一言で教室がざわついた。
「げっ……。」
「もうかよ。」
「実技はともかく筆記が終わってる……。」
雷斗も思わず固まる。
「筆記……。」
異能の訓練ばかり気にしていて、勉強のことをすっかり忘れていた。
担任は黒板に試験日程を書いていく。
『一日目』
・異能学
・魔力理論
『二日目』
・魔法史
・魔物学
『三日目』
・実技試験
「なお。」
担任がチョークを置く。
「筆記試験の成績が一定以下だった者は、実技試験を受けられない。」
教室が静まり返る。
「え?」
「マジかよ!」
「そんなルール聞いてねぇ!」
雷斗の顔から血の気が引いた。
「じ、実技も……。」
「受けられない……?」
放課後。
雷斗は図書室へ向かった。
机いっぱいに教科書を広げる。
「えっと……。」
『魔力循環理論』
『異能発現学』
『魔法史』
一ページ目を読んだだけで頭が痛くなった。
「分からない……。」
教科書へ突っ伏す。
その時だった。
「何してる。」
聞き覚えのある声。
顔を上げると、黒崎が立っていた。
「黒崎くん……。」
「勉強か。」
「う、うん。」
「全然分からなくて……。」
黒崎はため息をつく。
「どこが分からない。」
雷斗は教科書を差し出した。
「全部。」
「全部?」
「全部……。」
黒崎は少し笑った。
「それは重症だ。」
雷斗は恥ずかしそうにうつむく。
「入試は実技ばっかり頑張ってたから……。」
「なるほど。」
黒崎は雷斗の向かいへ座った。
「全部覚えようとするな。」
「先生が授業で何回も言ってたところだけ覚えろ。」
「そこは出る。」
「え?」
「試験っていうのはそういうものだ。」
黒崎はノートを開き、大事な部分だけを書き出していく。
『異能』
『魔法』
『魔力』
三つの違い。
「異能は生まれつき持つ力。」
「魔法は魔力を使って発動する技術。」
「魔力はその燃料。」
「まずはこれだけ。」
「なるほど……!」
雷斗は目を輝かせた。
黒崎は次々と問題を出す。
「異能と魔法の違いは。」
「えっと……。」
最初は答えられなかった。
それでも何度も繰り返すうちに、少しずつ覚えていく。
気が付けば外は夕焼けだった。
「今日はここまで。」
「ありがとうございました!」
雷斗は深く頭を下げる。
黒崎は教科書を閉じた。
「まだ終わりじゃない。」
「毎日復習しろ。」
「じゃないと忘れる。」
「うん!」
その日から。
雷斗は朝早く起きて復習し、授業の合間にもノートを読み返した。
夜は図書室へ通う。
黒崎も時々付き合ってくれた。
「そこ違う。」
「あっ……。」
「この問題は引っかけだ。」
「なるほど!」
少しずつ。
本当に少しずつだったが、雷斗は知識を身につけていった。
そして試験当日。
教室にはいつもの賑やかさがなかった。
みんな黙って席に座っている。
担任が問題用紙を配る。
「始め。」
雷斗は深呼吸した。
(落ち着いて。)
問題用紙をめくる。
一問目。
『異能と魔法の違いを答えよ。』
(これ……。)
黒崎が最初に教えてくれたところだ。
雷斗は迷わず答えを書く。
二問目。
三問目。
分からない問題もあった。
それでも鉛筆は止まらない。
試験終了。
「そこまで。」
数日後。
担任が答案用紙を持って教室へ入ってきた。
「返却する。」
一人ずつ名前が呼ばれる。
「天城。」
「はい。」
恐る恐る点数を見る。
『68点』
「よかった……。」
思わず力が抜けた。
赤点ではない。
平均点も超えている。
昼休み。
黒崎が近付いてきた。
「どうだった。」
雷斗は答案を見せる。
「68点!」
「十分だ。」
「ありがとう。」
「まあまあだな。」
その時。
担任が教壇を軽く叩いた。
「静かに。」
教室が一斉に前を向く。
「筆記試験は終了した。」
「そして明日は――。」
担任は教卓の下から、小さな木箱を取り出した。
「実技試験を行う。」
教室の空気が一変する。
「来た!」
「待ってました!」
「今回は一対一。」
「対戦相手は……。」
担任は木箱を教卓へ置く。
「くじ引きで決める。」
教室中から歓声と悲鳴が上がった。
「黒崎だけは引きたくねぇ!」
「頼む! 運よ味方してくれ!」
雷斗も木箱を見つめながら、小さく息をのんだ。
(お願い……。)
(強い人じゃありませんように……。)
コメント
1件
読み終わりました!第6話、地獄のテスト編ですね。雷斗が筆記で苦しむ姿、すごく共感できました。異能ばかり鍛えてて勉強を忘れてる設定、リアルで好きです。黒崎くんの「全部覚えようとするな」っていう教え方、実践的でいいなと思いました。そしてラストの試験終わりの空気の変化、実技試験への期待と不安が一気に高まって、続きが気になりすぎます!みたらし団子さん、今回もメリハリのある展開ありがとうございます。
お湯の中の葉っぱ
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#学園
たまごさんど
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