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「…?」
僕は見覚えのない場所で目を覚ました。
「…ここは…?」
思わず声を漏らす。
ゆっくりと起き上がるが、視界が歪み、
体がよろけた。
嫌な痛みが頭に走る。
「…Zzz」
目線を落とすと、襟足が赤い細身の人が寝ていた。
僕はその人の名前を呼ぼうとした。
だけど言葉が詰まった。
「…っ」
あれ、隣にいる人誰だっけ___
名前が出てこない。
途端にその人の存在が僕の中から消えた気がした。
「ん…」
じっとその人を見ていると、目を擦り、
声を漏らした。
目を覚ましたようだった
「っ、どこここ…」
体を起こし、まだ覚めきってない頭を頑張って動かしているように見えた。
思い出せなかった。
誰なんだ、一体。
「ん?PーP何してんだぼーっとして」
襟足が赤い男の人は僕を見あげ、問いかけてくる。
考えれば考えるほど思い出せない。
僕の中にぽっかりと穴が空いた気がした。
「PーP?」
眉を顰めていると、もう一度声をかけてきた。
「えっ…と…、」
僕は挙動不審になってしまう。
それと同時にこの人に恐ろしさを感じてしまった。
「どうした?」
怖い。
「君は…」
名前を聞こうとした。でも突然強烈な頭痛に襲われ、その場に倒れ込んだ。
「おいPーP!!!!!」
襟足が赤い男の人は僕に駆け寄ってくる。
「どうした!しっかりしろ!」
痛い、痛い痛い痛い痛い。
気持ち悪い。
ここはどこ、僕はどうしちゃったんだ。
「はぁ、はぁ、」
5分ほど経ち、ようやく楽になる。
「大丈夫か…?PーP…」
心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「あの、」
「あなたは、誰…ですか…??」
僕は切れている息を整えながら聞いた。
「…は?」
信じられなかったのか、口角だけをあげていた。
「何言ってんだよ、俺だよ」
少し口調が荒くなっていた。
僕はその口調に怯えてしまう___
様子がおかしい、なんでこんな震えてんだ
さっきからPーPが俺の事を忘れたみたいな言い方をしている。
「どうした、お前」
俺は問う。
「あ、…あの、っ…」
PーPはずっと挙動不審だ。
まるで初対面の人、いや、何か怖いものと話しているかのような表情と言動だった。
「PーP…」
俺はPーPに1歩近づいた。
「ひッッ…!!やだッ…!こっちに来るなッ!」
PーPは俺に向かって叫んだ。
「お、おい…」
「どうしたんだPーP…」
弱々しい声が漏れてしまう。
「な、なんで僕の名前を知ってるんだッッ!!!」
突然の問に戸惑う。
「そりゃあ友達…」
“友達だから”と言う前にPーPの様子が急変した。
「あああぁぁああぁ……!!!!!」
耳を塞ぎ、その場にしゃがみこんで喉が詰まったような叫び声をあげた。
「落ち着け!!PーP!!」
俺は声をあげた。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッッ…!」
まるで聞こえてないようだった。
「PーP聞け!!俺は何もしない!!」
「PーP!!!」
俺は必死に名前を呼んだ。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…泣」
でもPーPの様子が収まることはなかった。
「なあどうしたんだよ、」
俺は情けない声を漏らした。
コツ、コツ、コツ…
辺りを見渡していると、後ろから革靴のような足音が聞こえ、振り向いた。
「こんにちは」
「誰、お前」
俺は綺麗に手入れされている革靴に視線を向けたまま問いかけた。
「名前なんていい。」
落ち着いた低い声が俺の鼓膜を撫でる。
そして顔をあげた。
「…!!!」
言葉にならない驚きが俺を襲う。
「お前、頭、!」
かろうじて出した声だった。
「はは、」
そいつは意味ありげな声で笑った。
テレビの頭。液晶部には透き通るような青色の瞳が浮かんでいる。
「どうなってんだ、、」
俺は掠れた声で呟く。
「ここはどこなんだ!」
俺はそいつに叫んだ。
「ここはドリームコア。」
「ドリームコア…??」
言っている意味が分からない。
なんだ、ドリームコアって___
「周りをよーく見渡してごらん」
“ドリームコア”という言葉を理解してないまま、そいつに問われる。
「見覚えがあるんじゃない?」
「いつか遊んだあの場所、雰囲気、におい」
「ッ…」
息が詰まった。それと同時にとんでもない既視感に襲われた。
「来たようで、来たことない…」
俺は思わずそう呟く。
「そう。それがドリームコア」
「その子、君の友達?」
続けて質問をされる
「そう…だけど…」
こいつになにかいえばPーPは治るかもしれない。そう考えた。
「さっきから様子がおかしいんだよ」
俺は訴えた。
だけど返ってきた答えは期待を外した。
「はは、きっと耐えられなかったんだね」
「…は?」
俺は声を漏らす。
耐えられなかった?なんだよそれ。
「きっと、この世界に耐えられなかった。」
淡々と話すテレビ頭。
「ここは現実じゃない。」
「夢でもないどこか。」
「ここに来るまでに君の友達は耐えられなかったんだよ」
俺は理解が出来なかった。
「どういうことか説明しろ」
震える声で言う。
「説明してるじゃないか」
「耐えられなかったんだ」
“耐えられなかった”この言葉がやけに重かった。
「…どうしたら元に戻る」
意味があるのか分からない質問をした。
「戻れないかもね」
テレビ頭は妙な笑みを浮かべた
「ここにいると精神が狂い始める。」
「君の友達はそれが早かっただけ」
「いずれ君もなる」
表情1つ変えずに説明するテレビ頭を見ていると、頭がおかしくなりそうだった。
「ふざけんな…」
俺は呟いた。それと同時にPーPの手を引く。
「いくぞ、PーP」
「ッ…!触れるなッッ!!」
PーPは俺の手を振り払った。
それが頭にきた。
「いい加減にしろッッ!!」
俺は声を荒らげてしまった。
俺の荒らげた声と共に、PーPの体がびくっと震えるのが視界の端に写った。
「俺だよ、キヨだよ…」
弱々しく、涙声で訴える。
「ほんとに忘れちまったのか…」
何かの冗談じゃないか、そんな期待はまだ残っている。
「…」
「…分からない、」
だがその期待はどこか遠くへ飛ばされた。
「わかった。とりあえずついてこい」
溢れ出しそうな涙を我慢し、もう一度PーPの腕を引く。
「はは、無駄だって言ってるのに」
テレビ頭は何か言っていた。
「お前は黙ってろ」
俺の怒りは、絶頂に達していた。
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