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ピチュ、ピチュン
朝です。
あれからとてもとてもとても苦労しました。
だって、ライトってば戻り方を教えないまま消えてしまうんだもの。
あんなことしたまま放置されて、なかなか止まない心臓の音や、真っ赤になった顔を押さえながらなんとか自分の部屋に戻って、いざ自分の体に戻ろうとして焦ったのよ!! もう!
自分で自分を抱き締めたり、頬っぺた伸ばしてみたり、死んだふりポーズで重なってみたりetc、etc!!
眠気に負けて気がついたら、この通り。
ただいま、私の体。よかった、戻れて……。
ちょうど起きたタイミングでコンコンとノックの音がなった。
「おはようございます。リサ様。よろしいですか?」
ルーシーの声だ。
「おはよう、ルーシー。何?」
ルーシーがドアをあけて、中に入ってくる。
「アリスト様より言付けでございます。本日の予定は、出席しなくても大丈夫。とのことです」
よかった、カナちゃんはちゃんと目を覚ましたのね。
ホッと胸をなでおろし、私はベッドからでる。
「それと、これを」
ルーシーがそっと私の服を渡してくれた。
おかえりぃぃぃ!! 私の服達。元気だったか!?
「試作もはじまるそうなので、後程採寸もあるかと思います」
「あ、……はい」
採寸までにやせ…るのは無理よね。流石に。
最近、体重計に乗ってなかったから怖いわ。
そうだ、カナちゃんが起きたなら、私のスケジュールってどうなるんだろう。
今日もあの虚しい魔法の練習をしないといけないのかしら……。
あとで、アリスに聞きにいこう!
今日はこの服を着て、ルーシーに髪を結ってもらった。
とてもかわいいハーフアップになった。
ーーー
アリスは朝早くから執務室で、仕事をこなしていると聞いて、もう少し先にあるというアリス用の執務室へと向かった。
流石にこの距離を迷子になることはないので、私一人で来たのはいいのだけど……。
何か、言い合ってる声が聞こえるのよね。
「……婚約者だから、言わせてもらうけどアリスト様――」
婚約者? あれ……。
「私、もう……」
う、うぅと泣き声が聞こえてきた。
私は聞いてはいけないものを聞いてしまったのでしょうか。
そーっと、そーっと足音をたてないように、自分の部屋にもどってきました。
アリスってば、婚約者がいたの?! しかもかなり可愛らしい声だったんだけど。……どうしよう。私の存在が彼女を苦しめていたりするのかな。
もし、そうだったら……。
チクリと、胸の痛みがした気がした。
ーーー
少したってからコンコンと、扉をノックする軽い音と共にアリスの声が聞こえた。
「リーサーちゃん! おはよ。あけていい?」
ドキリとしたけれど、深呼吸して答えた。
「はい、どーぞ」
さっきの声の子、どうなったのかとても気になるけど、流石に聞いちゃ駄目よね。盗み聞きと思われたくないし……。
「ルーシーから聞いたと思うけど、聖女の子目が覚めたよ」
こくこくと頷く。私が起こしましたって言うべきなのかしら。
「あとね、今日の分のお仕事終わらせてきたよ。今日はルードが急遽聖女の護衛につくみたいだから、パレード見物を兼ねてボクと街中デートしよう!」
とても嬉しそうな顔のアリスに、やはりさっきのことは聞けない…。とてもモヤモヤするんだけど。
さっきの女の子置いてデートですかっ?!
「リサちゃん?」
「はぃぃ!」
「大丈夫?」
「はい、行けます!」
さらっと聞けばよかったのかな。さっき聞いてしまったのだけどって。あぁ、もうタイミング遅いかな。モヤモヤを引きずりながら、パレードを見に行く準備に入った。
ーーー
「わぁ、すごい!」
お城の外側にある街にでたのはこれが初めてだ。
中世ヨーロッパとか実物は見たことないけれど、こんな感じなんだろうなという街並みがずっと広がっている。
今日はお忍びらしいので、フード付きのローブを着て、アリスもお揃いのローブでフードを被り耳を隠していた。微妙に隠れていないような気がするけれど……。あの、ちょこんととがったところとかね。
パレードが始まる前に街にでようと馬車でガタゴト揺られて着いた場所は街の大通りかな?
「大きな街だね」
「うん」
アリスがはいっと言って手をだしてきた。手を繋ごうということだろうか。
「人がいっぱいだね」
「うん、だから迷子にならないようにね!」
ぎゅっと握られた手は温かくて、繋いだ場所がポカポカしていた。
「本当に人だらけ……」
パレードを見るためだろうか、街の中は人で溢れていた。
「ボク達で守っていく大切な民たちだ」
優しい瞳で街道にいる沢山の人たちを見つめる。
ボク達……、その中に帰ってしまう私は入らないのだろうと思うと少し寂しくもあった。
ドンッ
アリスを見ていた私に、横から突然の衝撃があった。
「何?!」
子供がぶつかってきたんだろうか?衝撃の元凶っぽい子供が走り去っていった。
「リサちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫……」
はたと気がつく。
「あ、でも……」
「でも?」
「アリスにあげたマタタビの残りがなくなっちゃった……かも?」
コメント
1件
うわあ、もう朝からどたばたしててリサちゃん大変そう…! でも無事に自分の体に戻れてよかったね。あの死んだふりポーズで重なるとか、想像すると笑っちゃうわ(笑) アリスの婚約者っぽい声を聞いちゃったところは胸がチクリとしたよね…リサちゃんの立場からすると気になるし、モヤモヤするのがすごく伝わってきた。それでもデートに行く流れ、優しい手の温もりが切なくもある。 最後の子供の衝撃とマタタビ紛失の伏線も気になる…! 次が楽しみ。
百はな🍑
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しめさば
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花月夜れん
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