テラーノベル
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Twitterが凍結祭りに巻き込まれて垢が全て消え去りました。全部イーロンのせいだ!!!!!書きたかったネタを書けてたいへん満足です。
タイトルは蛇帯(じゃたい)です。
※桃(出ない)←水←青
(水桃水は特に左右決めてません)
※口調迷子
蛇帯
酒とつまみとコンドーム。水の家へ行くときに必ず持っていくものだ。
水は他人が自宅には入るのを多少嫌がる人だから、呼出がないとそうそう立ち入るところじゃないし、行きたくもない。
押すと簡単に開くドアに危機感の無さを覚えつつ家主に声を掛ける。
「ほとけ〜、買ってきたで。てかまた鍵空いてたで?いい加減鍵掛ける癖つけろよ」
溜息と小言を織り交ぜながら声をかけた自身に若干顔を引き攣らせ「はいはい」と右から左に受け流しているだろう返事にまた溜息が出た。
酒とツマミに顔を緩める水に怒る気などとっくにどこかへ行ってしまい、酒缶を一つ開けた。
*
セフレ関係になったのは、今日と同じようにほとけの家で二人で晩酌をしていたとき。水に想いを寄せていた俺は、家に呼ばれているというアドバンテージにタカをくくり、恋バナ方面に話題を振り、好きな人はいないのかと揶揄い半分、確証半分で聞いたときだった。
「ぼくないちゃんが好きなんだよね〜…友達だし男同士だし、付き合えるとは思ってないけど」
酔った勢いでペラペラと惚気けてくれるがそんなものは耳に届かず落ちてしまった。
頭を埋め尽くしたのは、「何で」の二文字と桃への妬み嫉み。そんなに頭の中だから一つぐらい溢れてしまっても仕方ないと思う。溢れたのはひどく情けなくて最悪で最低の提案。
「なあ、おれが、ないこの代わりじゃあかん?」
声も体格も似てる俺なら代わりになれると思った。
*
その日のうちに床に入り、いつか水と、と準備していた穴を差し出した。
声が漏れ出ても、手足を投げ出しても、首から上さえ見なければ桃と瓜二つだと思ったから。
だけどこんな提案しなければよかった。セフレになってはや半年。待ってるのは少しの幸福と喪失感と惨めな思いだけだった。
青が先客だろうが水は桃を優先するし、行為をしていても桃の名を呼び、桃へ愛の言葉を囁く。俺がそこにいるはずなのに、俺が桃だと思い込んでしまうほど水は青を忘れていた。
回数を重ねる程に喘ぎ声以外に喋るのを嫌がり、顔を見るのさえ嫌がった。
水への言葉に反応しなくなり、顔が見えるからとバッグを好み、タオルまでかけてくるようになった。お陰で息が苦しくてならない。
桃が水に好意を持つまで、水がそれに気付くまで、二人が付き合うまで。
日に日に遠ざかっていく勝手に決めたセフレ解消の合図。二人が想いあってることぐらい、色恋に疎い者ですらわかる程だろう。本人達も、付き合うか付き合わないかの瀬戸際を楽しんでいるように思う。
声も体格も似てる俺なら代わりになれると思った。
あわよくばそのまま付き合ってくれはしないかと。でも癖っ毛の桃と長毛の俺。突っ走りがちな桃とそれを止める俺。
声と体格以外桃と正反対な俺を好きになってくれるなんてそんな夢物語ある訳がなかったのに。
「実は僕たち付き合いました!」
居酒屋、六人で食事中に至極幸せそうな顔で報告する二人に水を差すなんてことできる訳がなく、無理矢理上げた口角で祝うしかできなかった。
声も体格も似てる俺なら代わりになれると思った。
でも代わりはあくまで代わりで本物になんてなれやしなくて。初めからこの半年に一生縋っているしかないのは決まっていたことなのだろう。
*
これで最後だからと念を押された夜。頭を一周ぐるりと回せる程長いタオルは涙やら鼻水やら唾液やらでベトベトになっている。隣には碌に後処理もせず眠りこけている水。
タオルだけでは心細いと一緒に持ってきた凧糸は、果たして使えるだろうか。
全部終わったらどこか遠く行こうか。田舎でも良いし、外国も良いな。必死で学んだ英語が役に立つ。
いや檻の中も案外悪くないかもしれない。
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