少年がまだ、
    幼い頃。
 
 母が、血を流して倒れた
何でだったかは
記憶に無い
 だが、確かに覚えている物もあった。
それは
 
 血への不快感。
 
 と
 
 何かに対する静かな興奮だった。
 
 
 
 さらさら流れてくる
赤い液体
鉄臭くて
時が立つと茶色になるし
いくら綺麗にしようとしても
落ちない
 元々色白だった母の
さらに青白くなった顔が鮮明に浮かんでくる
 血が出たところを押さえた手で
赤色の手で
僕の頬を撫でた
 
 
 僕は
 母の手をはじいた
 
 
 
 「触らないで」
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