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うわっ好き
大森元貴 × 若井滉斗
恋人同士
高校生
🔞
昼休みの教室はいつものように賑やかだった。
友達に囲まれて笑い声をあげる俺の視線は、ふと窓際に座る大森元貴に向かう。
彼はイヤホンを耳に突っ込んで窓の外を眺めている。クラスの輪には加わらず、誰とも目を合わせない。声をかければ返事はあるけど、冷たい一言だけで会話はすぐ終わる。昼の彼はとにかく愛想が悪い。
「滉斗ー! 今日の昼飯、コンビニでまたからあげ買った?」
友達に背中を叩かれて、俺は笑いながら返す。
「当たり前じゃん。俺、揚げ物なしじゃ生きていけねぇ」
教室が笑いに包まれる。その輪の外で、元貴は小さく眉をひそめて、ノートに視線を落とした。
_彼と俺の関係を知る者は、この教室にはいない。
彼の本当の顔を知っているのも、この学校で俺だけだ。
夕方、教室に残っていたのは俺と元貴だけだった。
窓の外はすでにオレンジ色に染まり、机の影が長く伸びている。
「……さっき、楽しそうだったな」
不意に元貴が声をかけてきた。低く、少し棘を含んだ声音。
「え? ああ、昼休み? まあ、いつも通りだろ」
笑って返すと、元貴は視線を逸らし、唇を尖らせた。
「……俺の前であんまり騒ぐな。ムカつく」
その一言に思わず固まる。昼の彼からは絶対に出ない感情が、ぽろりと滲み出る瞬間だった。
「嫉妬してんの?」
冗談っぽく聞いてみると、彼の耳が赤く染まった。
「……うるさい」
そして次の瞬間、机に押し付けられる。細い指が俺の顎を掴み、低い声が耳元に落ちる。
「……お前、俺のもんだろ」
心臓が跳ねる。昼間のような彼じゃない。俺だけが知る、元貴のもう一つの顔だ。
唇が触れそうになった、そのとき。
「おーい! まだ残ってんの?」
廊下からクラスメイトの声が聞こえ、ドアが開きかける。 慌てて距離を取ると、大森は心底不機嫌そうに舌打ちした。
「……続き、俺の家な」
低く囁く声に、全身が熱くなる。
元貴の部屋。
整頓された空間に入った瞬間、空気が変わるのを感じた。夕方の彼の怒りをまだ引きずっているようで、鋭い視線が俺を捕らえる。
「さっきの続き、忘れてねぇよな」
ソファに座った瞬間、身体を押し倒される。背中がクッションに沈み、上から覆いかぶさる彼の顔は、昼間の無愛想さとはまるで別人。
「……俺以外の前で、あんなに笑うな」
「え、でも友達だから……」
「俺の前でだけ笑え」
唇を重ねられる。強引で、拒む余地もない。舌を絡め取られ、思考が溶かされていく。
「んっ……元貴、苦しい……」
「黙れ」
低く囁かれ、さらに深く口付けられる。首筋に唇が這い、甘噛みされるたびに、声が漏れてしまう。
「……いい声だな。俺以外に聞かせるな」
強く抱きしめられ、腰を押さえつけられる。支配的で、貪欲で_でも同時に、俺を誰よりも欲してくれているのが伝わってくる。
「……元貴、昼と夜、全然違う」
「……この顔は、お前にしか見せたくない」
その言葉に胸が熱くなる。昼間の冷たい壁と、夜の熱い支配性。そのギャップに、ますます離れられなくなる。
彼の指が髪をかき上げ、唇が耳元を這うたびに、俺の呼吸は乱れ、身体が火照る。支配されることの快感と、独占される安心感に、全身が震える。
「もっと……俺だけに甘えろ」
「は、はい……元貴……」
その答えに、元貴はゆっくりと微笑んだ。
夜の時間は無限に続くようで、昼の無愛想な顔はもはや影も形もない。