テラーノベル
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🍗→Telamon (Shedletsky)
⛓️→1x1x1x1
()→Taph(筆談)
目覚ましが鳴るよりもずっと早く起きた
今日は入社してから初めての休日だ。
ベッドから起き上がり、目覚ましの針をボーッと眺めながら解体作業のことを思い返す。
何日か前に初めて現場へ行き、部長の指示でTaphが作った爆弾の威力をチェックされた日のことだ。
結果は想像以上だった。
Taphの爆弾は薄い壁を吹き飛ばし、重機がないと壊せないような壁にヒビを入れ、残りは人力でつつけば壊れるまでに持ってくることができた。
「わー!?Taphさんの爆弾すご!」
「というか、こんな威力あるもの個人で持ってて大丈夫だったの?!」
先輩は感心したように言っていた。
…この会社に入ってなければ危険物所持だかなんだかで逮捕されていたかもしれない。
先輩の言葉を聞いたとき、喜びと共に背筋が凍る感覚がしたのを覚えている。
その後、解体作業での功績と、喋れないなどのミステリアスさも相まってTaphは会社内でちょっとした有名人になった。
結果が良ければ全て良し、ということにしよう。
ベッドから降りようとしたときに、 Taphのスマホの通知ランプが光った。
宛名を確認した瞬間、Taphはあまりの衝撃に手を滑らせてスマホを床に落としてしまった。
急いでスマホを拾い、食い入るように内容を読む。
「Taph!久しぶりだな」
「解体作業のとき、俺らが色々喋っていたせいで お前の爆弾の威力が見れなくて残念だったよ」
「ずっと車の影にいたあの社員が驚く顔、見たかったぜ」
「ところで話が変わるんだが、良かったら俺のマップに遊びに来ないか?」
「お前管理者とかマップとかあんまりよく分かってなかったみたいだし、手始めに俺のマップに来いよ」
「マップの名前は『Sword Fight on the Heights』だ。」
「行くのは今日、無理なら明日…行き方も分からないだろうし、返信してくれれば迎えに行く」
「Telamon」
Telamon直々にお誘いが来た。
というか連絡先交換したっけ…?なんて思いながらも胸が高鳴る。
憧れのadminだ、今まで行くのが夢だった彼のマップに招待された。
その事実だけでTaphは夢見心地だった。
TaphはTelamonに返信する。
「行きます。楽しみです。」
短い文だが、十分だ。
Taphは急いで支度をしようとベッドから降りた。
その時、
バサッ
ベランダに何かが降りてきた音がした。
Taphはまさかと思って恐る恐るカーテンに手をかけ、ゆっくり開ける。
そこには換気扇に肘をついてこちらを見ているTelamonがいた。
🍗「よ!…ってまだパジャマじゃねえか!」
「すまん来るの早すぎた、多分起きたばっかりだろ。ここでちょっと待ってるから支度してこい」
Telamonはそう言ってそっぽを向く。
Taphは軽く会釈してからカーテンを閉め、バタバタと着替えはじめた。
いくらなんでも早すぎる、と内心思いながらクローゼットを開く。
Taphはパーカーを手に取るが、腕を通さずその場に固まった。
adminとお出かけするんだから、オシャレしたい…
でも…どれを着てけば…
Taphはクローゼットをひっくり返すように漁り始めた。
あれもダメ、これも可愛くない、それもカッコよくない。
Telamonという偉大な人を待たせているのに、中々服が決まらず焦りが募る。
ゴソゴソとタンスに腕を突っ込んでいると、後ろから逞しい腕が伸びてきた。
🍗「服はなんでもいい、時間かけすぎだ」
「そういうところBrighteyesにそっくりだなお前!」
後ろを向くとTelamonが部屋に入ってきていた。
TelamonはTaphのクローゼットからワイシャツとデニムパンツを取り、Taphに押し付けた。
🍗「外は寒いかもしれないが、俺らがこれから行くのは闘技場と似たような場所だ。」
「動けばすぐ温まるぜ!」
Telamonはニッと笑った。
フードに隠れた目がこちらを見下ろし、八重歯がきらりと光る。
🍗「おっと、すまない。今 部屋出てくから早く着替えろ」
Telamonはそう言うと、開け放してあるベランダの扉から外に飛び立った。
Taphはポカンとしながら手元のワイシャツとズボンとベランダを交互に見た。
Telamonが…選んだ服…!✨️
通常の人なら勝手に部屋に入ってきた挙句、クローゼットに手を突っ込んで服を漁った嫁持ちの変人と認識するだろうが、 adminのことを崇拝レベルで尊敬しているTaphにとってそんなこと全く関係なかった。
それよりも、壁に貼ってある歴代adminポスターがTelamonの視界に入らないかが一番気がかりだった。
TaphはTelamonが適当に選んだワイシャツに腕を通し、デニムのズボンを履いた。
姿見の前で少しシャツを整える。
すると、ガラス越しに声が聞こえた。
🍗「着替え終わったか? 正直パジャマでも構わんが…」
Taphはベランダに駆け寄り、ひょこっと顔を出した。
Telamonは腕を組んで壁によりかかっていた。
Telamonは顔を出しているTaphに気づき、パチリと目が合う。
組んでいた腕を解いて、Taphの手を取った。
🍗「準備できたみたいだな!」
「それじゃ、早速行こう!」
Telamonはバサッと翼を広げ、Taphの腕を掴んだ。
次の瞬間、Taphの足はもう床にはついていなかった。
自分の家が足元に、自分よりもずっと後ろに見える。
浮遊感に襲われたTaphはヒュッ息を飲み、バクバクする心臓を抑えながら 必死にTelamonにしがみついた。
TelamonはTaphをチラリと見て、安定するようにTaphをしっかり支え直した。
🍗「俺の時間も限られてるんだ。なるべく急ぐからな」
「しっかり掴まれよ?」
Telamonの翼が風を切る音がTaphの耳に響く。
高度はみるみるうちに上がっていく。
TaphがTelamonの服を掴む力もみるみる強くなった。
🍗「おいおい怖いのか? 大丈夫だって、俺は離したりしない」
「それに、ほら。もうスポーン地点に着いた」
街並みが米粒のようになったところで、Telamonは徐々に高度を下げ始める。
TelamonがTaphを抱えて降り立った場所には 太陽のような、日常的に見てはいたが それが一体なんなのか知らないマークが書いてあった。
Telamonは当たり前のようにそのマークの上に立つと、何かを見ながら空気を触り始めた。
Telamonさん何してるのかな…
Taphの視線に気づいたのかTelamonはこちらをちらっと一瞥した。
🍗 「今はな、マップ選択してるんだよ」
「Buildermanが作ったここ、『Roblox City』のマップを出て、俺のマップの『Sword Fight on the Heights』に行くためにな」
そう話しながら何かをタップし、Telamonはマークから降りてTaphの手を掴んだ。
🍗「…よし。ほらこっち来い!」
TaphはTelamonに手を引かれ、マークの上に足を踏み入れた。
ドギマギしているTaphを後目に、Telamonは慣れた手つきでまた何かをタップする。
一瞬だけ、宙に浮く画面のような物が見えた気がした。
フッと足元の感覚が無くなり、Taphは思わず目をつぶる。
感覚が戻ってきて、目を開けた時にはもうRoblox Cityは消えていた。
代わりに、空中に浮かぶ複数の島や構造物で構成されているアスレチックのような世界が広がっていた。
もし足を踏み外したりなんてしたら、奈落へ真っ逆さまだろう…。
中央には炎のリングのような模様が描かれたエリアがあり、そこでは多くのRobloxianが激しい戦闘を繰り広げていた。
🍗「『Sword Fight on the Heights』へようこそ」
「新しい剣士を歓迎するぜ」
Telamonはニッと笑ってどこからともなく剣を取り出した。
銀色の刃に持ち手は青、金色の鍔が付いた剣だ。
🍗「こいつはリングソード。このマップに入ったらみんな貰える剣だ。」
「この剣を使いながら特殊能力がある7本の強力な剣を集めて戦闘に勝利する、これがこのマップの醍醐味だな」
「進め方はーー」
⛓️「あっ…あの…師匠…」
「少し…お時間いただけませんか…?」
突然後ろから声が聞こえ、Taphは後ろを振り返る。
そこには緑色のドミノ冠を被った銀髪の少年がいた。
緑色で黒いオーラを纏った剣を胸元に抱え、手は少し汗ばんで震えていた。
🍗「…会話に割り込むとは関心しないな」
突然冷たい声色が頭上から聞こえ、TaphはビクッとしてTelamonの方を見た。
先程までの笑顔を跡形もなく消し、Telamonは無表情でその少年を見下ろしていた。
⛓️「…ッごめんなさい…!」
少年は顔を真っ青にして俯いてしまった。
Telamonは腕を組んで溜息をつく。
🍗「要件は?」
⛓️「…っあ、あの…剣士たちの中にチーターが居て…それで……」
🍗「…対処は?」
⛓️「…いえ…まだ…どうしたら…」
🍗「私が留守の間はお前に管理者権利を譲っているだろう。 なぜ私が帰るまで待っていた?」
⛓️「…ッ…あ…その…」
🍗「…これではお前に管理者権利を与えた理由が分からない。」
⛓️「…………ごめんなさい…」
🍗「…」
重苦しく気まずい雰囲気が漂う。
Taphは双方をチラチラ見ながら この雰囲気をどうすれば良いか考えていたが、どう割り込んでも火に油を注ぐことになりそうだ。
Taphは恐る恐るTelamonの顔を横目で覗いた。
無表情さに冷酷な眼差しが加わったような気がした。
Taphが動くより先にTelamonが口を開いた。
🍗「…もういい。チーターの対処は私がやっておく。」
「お前は…そうだな…お前が邪魔をしたのだから、私が案内するはずだったTaphを任せよう。」
⛓️「…は…はい」
🍗「Taphは今さっきこのマップに来たばかりだ。サポートしろ。」
⛓️「…はい!」
少年は背筋をしゃんと伸ばし、大きな声で返事をした。
TelamonがくるりとTaphの方を向くと、恐ろしく感じた表情はすっかり消えていて、Taphのよく知るTelamonに戻っていた。
🍗「よし、それじゃあTaph、俺は少し席を外すからコイツに着いて行ってくれ!」
「まあポンコツだが、優秀な弟子だ。安心してもらって構わない」
「ーーあ、そうだ。忘れてた」
Telamonは何かを思い出したかのように指を鳴らす。
次の瞬間、どこからともなくTelamonが被っているものとよく似たフード付きマントが出てきた。
Telamonはそれを取り、驚いているTaphに手渡した。
🍗「これは国際ビルダー協会のマントだ。」
「俺が着てるタイプの小さいサイズ。よくファンが作る模倣品じゃなくてガチの本物だ。」
「よかったらやるよ」
(いいんですか!?)
🍗「ああ。」
「好きなんだろ?admin。」
その言葉にドキッとして固まる。
Telamonはニッと笑って言葉を続けた。
🍗「adminポスター壁に貼ってあったよな」
(すみません忘れてください)
🍗「いーや?w 部屋にあったポスターざっと見た感じだと、adminの中でも俺らが特にお気に入りみたいだなぁ〜。他のadminは集合写真みたいのなのに、俺らのだけわざわざ一人ずつ写ってるポスター飾っちゃってな! 」
「あとでBuilderやMattにも言っといてやるから安心しろよ!w」
元はと言えば勝手に入ってきたTelamonがわるいのだ。
Taphは顔を赤くしながら力任せにTelamonを叩く。
当たり前だがTelamonの身体はビクともせず、笑ってこっちを見てるだけだった。
🍗「弱っちいなw」
「まー、このマップにいれば自然と強くなる。精進あるのみ …っと、もうそろそろ行かないとまずいな。」
「じゃ、俺はチーター成敗しに行ってくる。またな!」
そう言うと、Telamonは羽を広げて飛び去った。
⛓️「…じゃあ、僕らも行きましょう。」
「ここには詳しいので、分からないことがあればなんでも聞いてくださいね」
少年の名前は1x1x1x1。
Telamonが作ったRobloxianらしい。
「少年」と言っているが、Telamonと並ぶとそう見えるだけで、実際は「青年」の方が合っているように思えた。
1xはTaphと同じぐらいの背高をしていた。
⛓「まずはこのマップの楽しみ方とルールと…剣の使い方をお教えします 」
Telamonの前ではまるで怯えた動物のような表情をしていた1x。
Taphや他のRobloxianの前では無表情に近かった。
淡々と説明を進めるその姿はまるで機械のようだ。
少し…Taphは1xが心配になった。
1xはTaphの視線に気づき、無機質な瞳 をこちらに向ける。
⛓「…………どうかしましたか?」
(…いや…その…Telamonさんは1xさんのことを厳しく育ててるんだなあ…と…思って)
⛓ 「……まあ…そうですね」
(1xさんは、Telamonさんのことどう思ってるんですか…?)
1xの瞳が少し揺らぐ。
⛓「そんなこと聞いてくる人初めてです」
「…そうですね…剣術に関して尊敬できる人、だと思っています。」
1xはそう呟き、Taphに剣を握らせる。
⛓「僕の話はこのぐらいにしましょう。」
「次は剣の使い方を説明します」
1xは丁寧に剣の使い方を説明した。
言葉の節々、1xが見せるお手本からかなりの実力者であることが伺えた。
ある程度手ほどきをしてもらい、いよいよTaphはフィールドに立てるようになった。
⛓「かなり上達しましたね。これであとは経験を積めば立派な剣士になれますよ」
「また分からないことがあれば聞きに来てください。僕はここ周辺の監督を任されているのですぐに見つかると思います。」
1xはそう言うとTaphに向かって軽く会釈をし、手を振った。
⛓「ご武運をお祈りします」
その後、TaphはTelamonのマップを楽しみながら剣を2本ほど集めることができた。
一日だけにしてはかなり良い結果だ。
帰る際、またTelamonが現れて家まで送り届けてくれた。
(今日はありがとうございました!)
(とても楽しかったです)
🍗「おう!俺の代表作みたいなマップだからな、楽しんでもらえて良かった」
「…ところで聞くが、1x1x1x1は変なことしなかったか?ミスしたり、とか」
(いいえ!そんなこと全くなかったです)
(むしろ丁寧に教えてくださったことをもう一度感謝したいぐらいです!)
🍗「…!そうか、ならよかった!」
「1xはまだ未熟なところがあるから、心を鬼にして育ててるんだ。」
「1xには悪いが…」
嬉しそうな、安心したような、緩んだ表情を浮かべるTelamon。
Telamonさんは1xさんのことを大切に思ってるんだなぁ…
だけど、甘やかすのも愛じゃないかな…
Taphは少し複雑な気持ちになった。
🍗「おっと、すまん。今日は夜に会議があるんだった」
「前に遅刻したから次はないんだよな〜…」
「それじゃあ、またなTaph!お前の仕事が上手くいくよう願っとくぜ!」
Telamonは羽を広げて飛び去って行った。
夕日と重なって遠くなる背中を眺めながら、Taphも家の鍵を開けた。
あ、ベランダ開けっ放し…
Taphが着てるフードをTelamonから貰うお話が書きたかったんですが、話の流れが…ちょっと…
なんだかよく分からないお話ができました
次はもっと大きな事件とか書きたいなーと思ってます!
長いのに読んでくださりありがとうございました!
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