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夜深くの日、人里近くの森に少女——リリシア・アウレアが夜空を見上げていた。
今日は雲一つもなく、星や月が煌めいている。
川に足を浸かりながら、見ていると。
ザクっと草が踏まれた音がし、私は勢いよく振り返った。
そこには、十六歳近くの青年が立っていた。
柔らかなミルクティー色の髪に、水面のように澄んだ水色の瞳。
だが、青年の顔色は優れてなく、青白い頬に、微かに汗が伝っていた。
「貴女は?」
そう言われ、一瞬、息が止まる感覚がした。
…ここに人が来るはずなんて、ないのに。
私が困り顔で微笑むと。
『ちょっと、うちの可愛い可愛い、リリーを虐めてるのは君か?』
ピクシーが私の肩に乗って、青年に話しかける。
ピクシーは淡い光だから、光から声が出ているようで不思議な感覚。
「いえ、その、迷ってしまって…」
『本当?でも、これ以上は近寄らないで。ここは精霊の集まり場、人が入ってはいけない空間だわ』
ピクシーがそう言うと、彼はピタリと止まり、青年は困り顔をしていた。
「君達は精霊ってことでいいんだね?」
青年は私を見て、私は頷く。
「ええ。私は光の精霊王女、セレナ様の末娘のリリシアです。村まで案内させますね」
手のひらから放たれた淡い光が、瞬く間に一本の道となり、夜の森を優しく照らし出した。
「ありがとうございます」
青年は一礼をして、光の道へ進んで行った。
その背中はなぜか、悲しそうな不安そうな感じがあった。
その背中は、不思議と目を離せなかった。
『ほらリリー、油断しない!人間は嘘ばっかりだから!』
ピクシーの言葉は精霊にとって、普通の言葉なのに、私は少し傷ついてしまった。
…この気持ちはなんて言うのだろう。
ずっと、ずっと、青年と会ってから胸が高鳴る。
遠い青年の背中を見つめながら、小さく溜息をついた。