TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
【トマ紅】コラボカフェ事情

一覧ページ

「【トマ紅】コラボカフェ事情」のメインビジュアル

【トマ紅】コラボカフェ事情

1 - 推し事って勇気や日々の幸せになるよねって話

♥

57

2024年10月16日

シェアするシェアする
報告する

『あれ、トーマスくん?』


東京に遊びに来たついでに、今話題のコラボカフェにでも行こうと足を進めていた途中


目の前に見知った顔を見つけて思わず声をかけてしまった。


「ん?あぁ、紅茶!こんなところで奇遇だね」


目が合うと、ふにゃりと目尻が下がる。

そんな姿に毎回どきりとしてしまう。



『もしかして、トーマスくんもカフェ行くん?』


「そうそう!も、ってことは紅茶も行くんだね、良かったら一緒にどう?」


さらりと一緒に行く流れを作るトーマスくん 。

俺は自分から何かを誘うのが苦手なので、正直ほっとしつつ頷く。





《いらっしゃいませ〜》



「紅茶は何食べたい?」

入口で注文するメニューを記入することは予習済だったので、食べたいものは既に決まっていた。


『これと、これ。……あと、パンケーキ』


隣に本人がいるのでかなりの勇気を要したが、どうしても食べたかったパンケーキを頼む。


「ッ!!了解、パンケーキね」


あからさまに嬉しそうな声が聞こえたが、トーマスくんをスルーして席をさがすことにした。


『ここ、ええんとちゃう?陰キャさんたちも座ってたとこや』


窓際の隅を指さすと、いいねと快い返事をくれた。


席に座れば、店員さんがランチョンマットとコースターを持ってきてくれる。

俺は三品、トーマスくんは二品頼んだので、コースターは合計五枚。


『……あ』


その中に、トーマスくんの絵柄をみつけ、思わず声が出てしまった。


「欲しかったやつ?」


『ん』


まさか自引きできるとは思っていなかった。

丁寧にファイルに挟んでカバンにしまっていたら


「……あーーーマジでなんなの………でしょ…」


手で顔を覆いボソボソ呟くトーマスくん。

訝しげにそちらを見れば、視線に気づいたのかなんでもないと手を振り姿勢を正す。


少し待つと、料理とドリンクが運ばれてくる。

パンケーキは後出しにチェックを付けたので後ほどのお楽しみ。



『うぉ、うまそー』

「しかもめちゃくちゃかわいいね」


一つ一つにかわいいだの美味いだの言いながら食べる時間は、思った以上に楽しい時間だった。


「そろそろパンケーキもお願いしよっか」


時間制ということもあり、店員さんにパンケーキを頼めば、少したって可愛らしいパンケーキがやってきた。


『まって、写真撮ってもええ?』


記念にとパンケーキを撮る。

バレないようにトーマスくんも一緒に。



……まぁ多分バレとるんやろな。にっこにこやし。



パンケーキも食べ終え、シャイニングスターの流れる店内でひとしきりゆっくりした後店を出る。


「美味しかったね」


『せやね、来たかいあったわ』


地元でもコラボカフェはやっていたけれど、トーマスくんとの空間は特別幸せだったし、料理もより美味しく感じた。



楽しい時間はあっという間で。

少しずつ日が傾き始めていた。



普段だったらトーマスくんから切り出す言葉が、カバンの中のコースターに後押しされて俺の口から溢れ出す。




『……なぁ、このあと、ちょっとでもええから……一緒にいたい』




トーマスくんが目を見開く。耐えきれず視線をそらせば、ゴクリと唾をのみこむ音がした。


一分か、はたまた10秒か。


途方もなく長く感じた静寂は、いとも簡単に彼の一言で終わりを迎える。


「もうだめ!!!可愛いがすぎる!!!」


急に大声を出すトーマスくんに反射で肩を震わせれば、慌てて謝罪が返ってくる。

「だってさ、今日一日いつにも増して可愛いじゃん。コースターの時といい、今といい……反則だよぉ」


いつも余裕な彼の、珍しく焦った表情と声に思わず吹き出してしまった。



「ちょっと!俺本気で…」


『わかっとるよ。……ふふっ、自分でもこないな感覚初めてや。なんやはずいけど、トーマスくんの新しい一面が見れたみたいで嬉しい 』


素直にそういえば、顔を真っ赤にしてあーだのうーだの奇声をあげるトーマスくんに俺はまた笑ってしまう。


「いつもそれだけ素直でいてくれたらいいのに……」

『でも、そこが俺のええ所でもあるんやろ?』



今日は全てが攻守交替で、ついつい調子に乗ってしまった。


彼の目がぎらりと獲物を狩る目になっていたことを、この時の俺は知る由もなく。





「そうだね。それじゃ、もっと二人でいいことしよっか」




きっと後日コースターを見ると、楽しかった思い出よりも恥ずかしい 思い出が先に浮かんでしまうんやろうな。


それでも、それを眺めるたびに幸せな気持ちになれるんやから、やっぱりすきなひとってすごい。


俺の大切なたからもの。


俺の元に来てくれて、ありがとう。





まぁ、トーマスくんには言わへんけど!


この作品はいかがでしたか?

57

コメント

1

ユーザー

すきだぁ、

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚