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何処からか、少し低い声が聞こえる。
見回しても見当たらない、この声は一体⋯?
「え、なに、この声。」
湊は焦りながら此方を見る。
「わっ、私も分からない⋯、」
咄嗟に結依が反応した
けど、聞いていると、 この声に何か思い出がある気がする。何故だろう⋯思い出せない。
すると、
廊下の奥から1人の女の子が姿を現した。
「結依ちゃん、私の事、忘れちゃった?」
「っ⋯」
「え?結依、もしかしてあのコと知り合い? 」
そうだ、思い出した。あれは中学生の頃。
桜舞う四月の教室で
波打つ胸をはずませながら⋯
と言うような思い出は無い、寧ろ逆だ。
中学の入学式。丁度3年前の今頃の時期。
初めての環境だから、今とやっぱり友達が出来るか不安で仕方がない私に唯一声をかけてくれた。
名前⋯なんだっけ、山根、サクラ、⋯。
女子力があって、地味な私に可愛い物を沢山教えてくれたり、 休日に私の家でクッキーを一緒に作って、雑誌を読みながら食べたり。
毎日がすごく楽しかった。
中学で初めてできた友達。 ずっと友達だと思ってた⋯けど⋯。
サクラちゃんは、私の事、“友達”じゃなくって、“好きな人”になっていたらしい。
いつからだったんだろう、何故そうしてしまったのかわからなくて、申し訳なくって。
ただ、仲良くしていたかっただけ。
なのに、サクラちゃんから貰う愛情が激しくって⋯途中で私が不登校になってしまった。
そのまま時が流れ迎えた中学最後。卒業式。
彼女は卒業式に出席。私は休んだまま。
家で引きこもっていた私に、お母さんが部屋に入ってきて私にこう言った。
「サクラちゃん、式が終わった後の夕方に飛び降りちゃったらしいわ。意識不明の重体⋯可哀想にね⋯。」
「⋯え?」
死ん⋯だ?なんで?やっぱり、私のせい⋯か。
色んな思いに苛まれたまま、今に至る。
死んだはずなのに、なんで今ここに居るの?
もしかして⋯
「そ、そう⋯実は、し、知り合い⋯で、」
「知り合い?そんな程度じゃないよね?結依ちゃん。」
「友達、だったのに。」
「えっ、キミ達何かあったの?ぼ、ボク、気まずい⋯」
「あ、ごめん湊、」
「それよりあんた達、何しようとしてたの?」
「ボク達?そ、それは⋯」
異世界に行こうとしてる事、バレたらどうなるか⋯。湊は頭の中で言い訳を考えていた。間髪入れずにサクラが口を開く。
「あっちに行こうとしてた。でしょ?」
「⋯、なんでそれを⋯!」
「私の名前は山根 サクラ。去年死んで、成仏出来ずにこの学校を彷徨っている幽霊。」
やっぱり、だから天使の輪っかのような物が頭上にあるんだ⋯
「ところで、結依ちゃんの隣にいるあんたは?」
サクラは眉を顰め、湊を少し睨む。
「ボクは坂田湊だよ、結依の友達〜!」
「ふーん。結依ちゃんは私の物だけど」
「ま、まぁちょっと落ち着いて⋯!」
結依が2人の口論を止めようとする。
サクラは直ぐに反応し、口を閉じる。
「結依ちゃんが言うなら⋯。」
「⋯サクラちゃん、キミさ、七瀬ちゃんから話は聞いている?」
「勿論。案内するよ。」
「、サクラちゃん、あ、ありがとう⋯ 」
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