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「たっくん、明日ひま?」
仕事終わり。
帰り支度をしていたたっくんに、リュウキが何気ないふりをして声をかけた。
「んー? ひま」
「じゃあさ、買い物行かん?」
「行く」
即答。
「……早」
「リュウキと行くの好きだから」
「……っ」
一瞬だけ固まったリュウキは、すぐにそっぽを向いた。
「別に俺も、たっくんと行くの好きやけん」
「うん」
「……なんか言えよ」
「嬉しい」
「……そんだけ?」
「うん」
たっくんはいつものふわっとした笑顔で笑っている。
その顔を見ると、なんとなく胸がくすぐったくなる。
「……たっくんってさ」
「ん?」
「俺のこと、子どもと思っとらん?」
「思ってないよ」
「じゃあなんでそげん見ると?」
「かわいいから」
「……は?」
リュウキの眉がぴくっと動く。
「俺、かわいくないし」
「うん」
「じゃあ言うなや」
「でもかわいい」
「……たっくん!」
怒ったように睨むリュウキ。
けれど、耳は真っ赤だった。
たっくんはそんな顔を見ると、また笑ってしまう。
「ほら、今もかわいい」
「もう知らん!」
ぷいっと顔を背ける。
それでも、たっくんの隣からは離れない。
むしろ、歩く速度はたっくんに合わせている。
⸻
翌日。
二人で店を回っていると、リュウキが一つの服を手に取った。
「これ、たっくん似合いそう」
「俺?」
「うん。こういうの好きやろ?」
たっくんは服ではなく、リュウキの顔を見る。
「……なに?」
「俺のことよく見てるなって」
「そりゃ見るやろ」
「なんで?」
「……好きやけん」
「え?」
「……服が!」
リュウキが慌てて言い直す。
たっくんは少し黙ってから、柔らかく笑った。
「そっか」
「……なん笑っとーと」
「嬉しいなって」
「……ほんま、たっくんずるい」
「何が?」
「そういうとこ」
「?」
リュウキはそれ以上何も言わなかった。
たっくんも聞かなかった。
ただ、並んで歩く二人の距離だけが、いつもより少し近かった。
⸻
帰り道。
「たっくん」
「ん?」
「今日……楽しかった」
「俺も」
「……また行こ」
「うん。いつでも」
リュウキは少しだけ笑った。
そして、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟く。
「……ほんとは、たっくんとおるのが一番好きっちゃけど」
「ん? 何?」
「なんでもない!」
たっくんには聞こえなかった。
……たぶん。
でも、たっくんは隣で微笑んでいた。
まるで全部分かっているみたいに。
リュウキはその横顔をちらっと見て、また前を向く。
「……いつか言えるんかな」
「何が?」
「なんでもないって!」
「そっか」
たっくんはそれ以上聞かない。
ただ、少しだけリュウキとの距離を縮める。
肩が触れる。
リュウキは避けなかった。
むしろほんの少しだけ、肩を寄せた。
それだけで、たっくんはまた嬉しそうに笑った。
コメント
1件
あー、もうこの2人の空気感がたまらんわ〜😭 「かわいい」連発するたっくんと、照れて怒るけど耳真っ赤で離れないリュウキの距離感が絶妙すぎる。肩が触れるだけで嬉しそうに笑うたっくんに、こっちまでにやける。日常の何気ない会話なのに、心の動きが丁寧に描かれてて胸がぎゅってなるわ。次も読みたい🔥