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「降下十分前。総員、降下準備。」
降下マスターの号令で全員が一斉に準備を始める。
アサルトライフルの薬室が金属音を奏で、無線の音声が響き渡る。
「降下一分前。総員準備完了。」
全員が装備を確認し終え、降下マスターの話が始まる。
「我々は今からロズ市のボークに降下し制圧、補給基地を潰し、最終的には軍の本拠地を叩く。地理的に雪の中での戦闘が予想される。凍死しないよう気をつけろ。それじゃあ、、、降下開始だ。」
夜間降下作戦なのでハッチの外は暗く、ナイトヴィジョンが無ければほとんど何も見えない。私は降下マスターの「降下!」
の号令と共に降下してゆくーーー
〈ダダダダダダダダダッ!!〉「敵兵を確認!」「撃て!確実に仕留めろ!」〈ババババババババッ!ババババッ!〉
私は戦闘地帯から2㎞ほど離れた地点に降下した。
軍が最近導入したセミオートライフルであるMR-28マークスマンライフルを担ぎ、山道を登っていく。
部隊内の私の立ち位置は「スナイパー寄りのマークスマン」という酷く曖昧なもので、自分でも「自分は選抜射手(マークスマン)なのか?それとも狙撃手(スナイパー)なのか?」と稀にわからなくなる。
まあそんなことはどうでも良い。射撃位置に着いた私は、MR-28のバイポッドを開き、地面に据え付ける。そして銃口にサウンドサプレッサーを着け、薬室を確認する。異常なし。
隣の観測手(スポッター)は愛用するスポッティングスコープを覗き、距離や風速を測定している。ちなみに私の名前はシド、スポッターの名前はレグだ。
「目標までの距離800m。ゼロイン無しで当てれる。」と彼。
私はスコープを覗き、敵の一人にレティクルを合わせる。’’スナイパーが存在する’’ことは敵にとってかなりの大きな脅威になる。それだけで、敵に「自分も狙われているかもしれない」という恐怖を与えることができるからだ。これによってかなり敵の士気が下がり、一気に戦闘しやすくなる。
しかし、’’スナイパーの位置が露見する’’ことは絶対に避けなければならない。
位置がバレたら敵のカウンタースナイパーやら迫撃砲やらで木っ端微塵にされる。
だから今回の狙撃はかなりの賭けだ。
「位置がバレませんように、、、」
敵が明後日の方向を向いているのを確認し、息を止め、引き金を引く。
鈍い銃声。肩に伝わる反動。
「ヒット。一人処理できた。」レグが言う。続いて救護しようとした衛生兵らしき敵に弾丸を叩きこむ。
「ヒット。いい腕だ、だがそろそろ場所を変えたほうが良いぞ。敵が気付き始めてる。」と無線から音声が流れる。ヘルメットに着いている高性能カメラによって、ヒットかどうかの判定ができるみたいだ。ものすごく便利だ。
スコープを覗くと、敵がこっちに向けて迫撃砲を撃ち込んできているのがよく見える。「了解。移動を開始する。」と無線に向かって言い、私とレグは狙撃ポイントを移動し始めたーーー
先程、俺らの部隊が攻撃を受けた。敵の狙撃によるもので、仲間の兵士一人と衛生兵がやられた。今は狙撃が止んでいるが、この間にあの狙撃手はさらに詰めてくるだろう。恐らく俺らを包囲して投降させる気だ。
「そんなことしてたまるかよ、、、!!撤退だ!!行くぞ!!」
俺はその場にスモークを張り、狙撃除けにする。残念だったな。敵のスナイパーよ。これでお前は狙撃ができない。それに対して俺の部隊はいつでも撤退ができるように
〈カランカラン、、、〉6.8㎜弾の薬莢が地面を転がっていく。
「ヒット。スモークが張られてたのによく当てたね。」とレグ。私のスコープは自分用に改造してあるので、サーモグラフィー機能が備わっている。よってスモークの中でも狙撃が可能なわけだ。しかし備品の改造は部隊内でもタブーだ。なので、取り敢えず彼には「まあな、、、」と言ってごまかしておく。
「おっ、、、?」無線に緊急の通信が入る。
「カナダの政府が和解を提案してきた。よって進行は中止とする。降下地点にCH-47が向かうので、集合せよ。」
「さっきのは無駄な死だったわけだね、、、。」彼の方を向く。目を伏せていた。私は彼の背中を優しく叩きながら、
「確かに無駄だったかもしれない。だけど大事なのは、この死をどう感じたかだ。ただ『敵の兵士が死んだ、やったぜっ』て捉えるなら、それは紛れもなく人間性が無い。だけど君は敵の死に泣けている。これは人間として、兵士としても素晴らしいことだよ。」と言った。
「、、、、」彼が黙り込んでいるので、私は「、、、悪い、慰めにならなかったか?」と聞く。
「いや、ありがとう、元気が出たよ。」と顔を上げて言ってくれた。その顔は小さく涙を流しながらも微笑していて、とても綺麗だった。それも、思わず見惚れてしまうほどに。彼は元から顔が美形だが、ここまで綺麗だったときはまずお目にかかったことが無い。
「、、、どうしたんだ?そんなに僕の顔を見て。何か付いてるか?」、、、ハッ、まずい、見惚れていた、、、最近、彼に見惚れることが多くなっているが、これで確信した。私は彼のことが好きだ。、、、同性愛者と言うなかれ。だがバレるとまずいので、「いや、何でもない。」と言っておく。「ふうん、、、そうかい。」と怪しむように言われた。彼は洞察力が鋭い。バレてなきゃいいが、、、
「そろそろヘリが来る時間だね、、、っと、一つ確認しなきゃいけないことがある。耳貸して。」と彼。
嫌な予感がするが、言われた通りにする。彼は耳元で囁いた。
「君ってさ、僕のこと好き、、、だよね?」と。、、、バレていたか。
「あはっ、やっぱ君分かりやすいね。耳まで真っ赤じゃん。」と言われる。、、、駄目だ、、、反論できない、、、
「君がちゃんと告白してくれるなら、付き合ってあげてもいいよ。」と言われた。なので正直に告白することにする。
「レグ、正直に告白しよう。私は君が好きだ。もし君が良ければ、付き合ってほしい。」
彼からは予想外の答えが返ってきた。「うん。いいよ。というか僕もシドのことが好きだしね。」と。まさか両思いだったとは。そこからは、お互いに話をしながら待機場所まで向かった。
「それじゃあ、、これからよろしくね?シド。」
目の前にヘリが降りてくる。いつの間に来ていたんだろう。発するライトが眩しい。
「ああ、こちらこそよろしく。レグ。」
どうもlongbowです。現在(執筆時)、夜12時でございます。明日学校の大事な行事です。いろんな意味で終わりました。
さあ、それはさておき、この物語を読んでいただきありがとうございました!!
最後のシドとレグのお話は軽い匂わせ程度にするつもりだったのですが、がっつり告白までいっちゃいました。すいません。一応この物語が僕の初投稿になります。なので誤字脱字等あるかもしれませんが、大目に見てください。お願いします(泣)
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それではまた~