放課後になると私たちはいつも通りラウンジのところで勉強をしていた
阿久津「阿久津さん、東風谷さん、白雪さん
ちょっと3人と話したいことがあるんだけど……
九条先生の担任変更の件なんだけど」
阿久津「ちょっと勉強集中したいから私別行くね」
鵜久森「こんな時間まで3人で勉強していたのは、家に帰りづらかったからだよね?
私もそうだったから、
お父さんやお母さんに学校のことで嘘ついた日宛もなく遠回りしたりしてた
だから思う
3人は今朝のこと
後ろめたさがあるって
でも逆らえない、
逆らったら余計めんどくさいことが分かってるから
このちょっとした後ろめたさに知らないフリをすれば、明日はなにごともない毎日になるはずだ
そう願う……私も毎日願ってた
これでおしまいだ、今日を乗り越えれば大丈夫だ……
でも怖い……
寝る前、明日を想像するのが怖くて仕方がない」
阿久津「なんなの、急にベラベラベラベラと
何が言いたいの?」
そういう阿久津の声には力がなく、図星をつかれたような声だった
鵜久森「もう、そういうことを想像するのを
“一緒に辞めないか”っていう相談をしにきたの」
……怖い……
その言葉が私の中で妙に腑に落ちた……
私は怖かったのか
琉偉と離れることが……、
親にそれを知られることが……、
鵜久森「もっと簡単に考えて……
自分の周りにいる全ての人に理解されて
認められる必要なんかな行って」
阿久津「それは、
アンタがハブられたっていいって
開き直ってるから言えるんでしょ?
私は……、私たちは、そんなこと嫌だから……」
鵜久森「ほんとに嫌なことなのかな……
それって
私ね、先生から聞いて、確かにそうだなって思ったことがあるの
昔、些細なことごきっかけで先生も孤立しかけたことがあったって
でもその時に、1番仲のいい友達が聞いてきたんだって
『アイツらと仲良くしたいって思ってるのか?』って
『もし、そう思ってないなら、傷つく必要なんてない
その輪に戻る必要もない
泣きながらアイツらの自由を守る必要なんかないって言われた』って
それで最後にその友達が
『私は何があってもアンタの友達だから、
惨めな顔するのは今すぐやめろって』
その話を聞いて私は、
羨ましいと思った
そんなことを言ってくれる友達がいる先生に
……自分や自分の大切な人に
自分や自分の大切な人たちに、
後ろめたく思ってまで、
誰かに合わす必要なんてない
その気持ちを分かり合える人と巡り会いたくて
私は今日ここに来た
だから………、だから、
だから、今日私は、
友達になりにきたんです」
「もちろんこんなこと、一方的に言ってそうなれるとも思わない
でも今更、友達のなり方なんて正しい方法が分からないから……
心のままを伝えに来た
それに、
私なんかがと嘆いていても
ひとりの世界が変わることは無いって気づいたから
一緒に後ろめたさに惨めな顔するのは、やめにしない?」
東風谷「どうして、
私たちと友達になりたい、なんて言おうと思ったの?」
阿久津「やっぱり、先生に頼まれたから?」
鵜久森「先生は、ただみんなとちゃんと話したいだけだと思う
私が友達になりたいって言ったのは
もっと単純なことだよ
私は、本当は優しい3人を、
かっこいいと思ってたから
それに、何より私は、
あなた達のクラスメイトだから」